Netflixのグローバル広告担当プレジデントを13カ月務めたジェレミ・ゴーマン氏が退任し、スタジオ運営担当副社長だったエイミー・ラインハードがその役職に就任した。
Netflixのグローバル広告担当プレジデントを務めたジェレミ・ゴーマン氏が、入社からわずか1年余りで職を辞した。ゴーマン氏は2022年8月にピーター・ネイラー氏とともにSnapから引き抜かれ、Netflixの広告事業を軌道に乗せた。
ゴーマン氏の後任は、これまでスタジオ事業担当バイスプレジデントだったエイミー・ラインハード氏が務める。Ad Age(外部リンク/英語)によると、ネイラー氏はNetflixのグローバル広告セールス担当バイスプレジデントの職にとどまる。Webメディア「Variety」(外部リンク/英語)は2023年10月3日、Netflixがエリザベス・ストーン氏を最高技術責任者に、ユニス・キム氏を最高製品責任者に昇格させたと報じている。
ゴーマン氏はNetflixが発表した声明の中で「私はビジネスを初期段階から拡大させることに情熱を注いでいる。何度もそれを経験してきたが、Netflixほどエキサイティングなところはない。私たちは世界クラスのチームを作り、永遠の広告ビジネスを創造するために必要な基盤を築いてきた」と述べている。
「Netflixのストーリーは他の追随を許さず、ブランドはその時流に乗ることを熱望している。この1年間、エイミーとともにリーダーシップチームで働き、彼女の卓越したオペレーションとエンターテインメントの専門知識を目の当たりにしてきた。これによって、ブランドは『Netflix効果』から新たな目覚ましい恩恵を受けられるだろう」(ゴーマン氏)
米国で2022年11月に始まった月額6.99ドルのNetflixの広告付きプランは、長い間コマーシャルというアイデアを嫌ってきた同社にとって未知の領域だった。NetflixはMicrosoftと協力し、広告販売とアドテク事業を強化してきた。Microsoftはこれらの業務を担当する上でダークホース的存在だったが、両社の関係には紆余曲折があったと言われている。Netflixはまた、アドベリフィケーションにおいてIntegral Ad ScienceやDoubleVerifyをパートナーとするなど、他のサードパーティーにも協力を要請している。
Netflixは広告部門を立ち上げるために「ハイハイして、歩いて、走る」アプローチを取っていると繰り返し説明しているが、その進展はいまだ「ハイハイ」の段階にある。経営陣は以前から、最終的には広告が総収入の少なくとも10%を占めるようになるとの見通しを示しているが、第2四半期の売上高はほぼ3%増の82億ドルで、広告はまだ重要な収益源にはなっていない。
Netflixの広告フォーマットはかなり簡素で、中断のない体験に慣れた視聴者をイライラさせないよう、限られた量のコマーシャルしかプッシュしていない。NYX Professional Makeup、L'Oreal Paris、AB InBev、Subway、Googleなどの広告主がこのサービスでキャンペーンを実施している。
Netflixは、春に行われた最初のアップフロント(広告主向けの説明会)で、広告付きプランが開始後6カ月で約500万人の会員を獲得したと発表した。The Wall Street Journal(外部リンク/英語)によるとNetflixは現在、SAG-AFTRA(全米映画俳優組合)のストライキが解決次第、広告なしプランの価格を引き上げることを検討している(※)。
※編注:本稿の原文公開後の2023年10月18日(米国時間)、Netflixは2023年第3四半期の決算発表(外部リンク/英語)において、パスワード使いまわし対策が奏功して会員数が876万人増加したことを説明すると同時に、米国や英国、フランスで月額料金を改定した。米国では広告なしのベーシックプランを9.99ドルから11.99ドルへ、プレミアムプランを19.99ドルから22.99ドルへ、それぞれ引き上げた。
広告ビジネスを強化しようとしているのはNetflixだけではない。Amazon.comは2023年9月に「Amazon Prime Video」でコンテンツの周辺に限定した数のコマーシャルを2024年から流すと発表したが、これはストリーミングの収益化努力を大幅に拡大するものだ。ストリーミング配信業界全体が会員数の伸びよりも収益性を重視し始める中で、MaxとDisney+も広告付きオプションをさらに重要視している。
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