上場企業のDX組織設置率は11.7% IT、建設、不動産、製造の順に設置率が高い――Nexal調査今日のリサーチ

マーケティングや営業プロセスの変革を全社DXのテーマの1つとして捉える企業も増えているようです。

» 2023年10月18日 07時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 デジタルマーケティングの戦略策定支援を手掛けるNexalは、Webサイトに人事情報を公開している企業5206社の発表記事を、自然言語解析によって分析・集計した結果に基づき、国内企業のDX関連組織とマーケティング組織の設置状況について調査しました。

上場企業のDX関連組織の設置状況(出典:nexal、以下同)

上場企業のDX組織設置率は11.7%

 調査対象となった5206社の中で「DX」「デジタル推進」「デジタルトランスフォーメーション」のDX関連ワードを含む組織名がある会社は628社でした。5206社中、上場企業は3503社。その中でDX関連組織がある企業は410社でした。2023年5月の時点で上場企業のDX関連組織設置率は11.7%という結果になりました。2021年に同じ手法で実施した調査では6.47%だったので、これと比較して5.2ポイントの増加、社数では2年間で166社増えたことが分かります(調査全体では263社増加)。

 5206社に企業属性情報を付与(業種大・小区分、資本金区分、従業員数区分、売上区分、上場区分、都道府県など)し、国内企業63万社の企業DBを母数として各属性の組織設置状況を分析した結果は以下の通りです。資本金50億円以上(全体)のDX組織設置率は14.5%、従業員数1000人以上(全体)は8.3%、売り上げ500億円以上(全体)は12.1%という結果になりました。売り上げが500億円以上で平均より設置率が高い業種には、IT業(26.9%)、建設業(25.3%)、不動産業(16.5%)、製造業(15.6%)などがあります。

属性別のDX組織設置状況

マーケティング組織よりDX組織が急増

 同じ手法で「マーケティング」を抽出ワードとして調査したマーケティング組織の設置状況は以下の通りです。調査全体では12.83%、上場企業では11.36%で、前年より微減という結果でした。

マーケティング組織設置率の推移

 Nexalでは2018年からマーケティングオートメーション(MA)ツールの普及状況を定点調査(外部リンク)しています。2021年頃まではMA実装率の増加に伴って事業体の中にマーケティング組織を設置する動きが連動していました。

 事業体を横断した形でマーケティング本部を組織化する企業では、事業単位に個別に導入していた複数のMAを統合して全社でデータを一元化・共有する傾向があり(業界や商材の親和性が高い事業体同士に限られる)、マーケティング本部は各事業体のマーケティング活動を支援するマーケティングオペレーション組織(以下「MOps」)として機能していることが多くなっています。しかし、2021年下期頃から違った動きが出てきました。以下のグラフは上場企業におけるDX関連組織とマーケティング組織設置率の推移を示しています。

上場企業におけるDX関連組織とマーケティング組織設置率の推移

 マーケティングや営業プロセスの変革が全社DXのテーマの1つとして捉えられ、マーケティング専門の組織はなくともDXの一環としてマーケティングDX、営業DXといった課題に取り組んでいるケースも増えつつあるようです。

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