マーケティングリーダーが押さえておくべきデジタルテクノロジーのトレンドをエキスパートが毎月リレー形式で解説。初回は「GA4」をテーマにお届けします。
Googleは2020年10月21日、β版として提供していた「アプリ+Webプロパティ」というGoogleアナリティクスのバージョンを「Googleアナリティクス 4 プロパティ」(以下、GA4)と名称変更し、製品版として正式にローンチしたことを発表しました(外部リンク)。結果として、これまで多くのGAユーザーが利用してきたバージョンである「ユニバーサルアナリティクス」(以下、UA)は最新版ではなくなりました。
後述しますが、GA4は、慣れ親しんでいたUAとは多くの点で異なることから、利用者であるWebマーケティング担当者は、戸惑いながらもGA4の活用法を何とか見いだそうとしている状態です。
本稿では、そうした現場レベルの戸惑いとは別にGoogleがGA4を投入した意図を推測し、そこから企業のマーケティング部門を統括するトップ(CMO:最高マーケティング責任者)が学ぶべきことを考察してみます。
GA4の特徴をUAと対比したのが以下の表です。CMOレベルでは細かな仕様の詳細を知る必要はないと思いますが、従来のGoogleアナリティクス(UA)と最新版のGoogleアナリティクス(GA4)が大きく異なることは理解できるかと思います。筆者は2004年よりWeb解析業界で仕事をしており、各時代のGoogleアナリティクスをつぶさに見て利用してきました。今回のUAからGA4への変化は、Googleアナリティクス15年強の歴史の中で最も大きいものといえます。
各種の変化を一言でまとめると、「ユーザー軸での分析の強化」ということになります。主に関連するのは「ユーザーの識別」です。アプリとWebの統合分析が可能になったこと、レポートのモデルが収益化だけでなく顧客維持までをカバーするようになったことなども、ユーザー軸での分析の強化に当たります。
具体的には何が違うのか。以下のユーザーの振る舞いがあったときUAとGA4でそれぞれどのようにどのようにレポートされるのか、見てみましょう。
ユーザーAがスマートフォンでSNSを見ているときに出てきた広告をクリックし、あるWebサイトを初めて訪問した。だが、出先で慌ただしかったためページを開いただけで内容の熟読までは至らなかった。後日、PCでそのWebサイトを自然検索して再訪問し、コンバージョンした。
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