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» 2021年05月25日 08時00分 公開

体重100kg超でも品の良い着こなしを 大柄な男性向けファッションブランド「carorie」がこだわったことダイレクトな人々 第7回(1/2 ページ)

話題のD2Cブランドとそこで生まれるコミュニケーション、ブランドの仕掛け人の思想について考察するこの連載。第7回は異色のメンズアパレルブランド「carorie」のオーナーである小林稜さんに取材しました。

[池田園子,プレスラボ]

この連載について

 自社で企画・製造した商品を自社のチャネルで販売するD2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルが注目されている。D2Cの本質は、購入までのプロセスを通して、ブランドの価値を直(Direct)に体感してもらうところにある。それを後押しするのが、顧客の共感を生み出す「ストーリー」だ。この連載では、筆者が注目するD2Cブランドのストーリーとその語り手であるブランドオーナーに注目し、顧客の心をつかむコミュニケーションの在り方を考察する。

 体重100kg、体格はラガーマン並み――このレベルまでの「大柄」になると、着る服を探すのは一苦労だ。かっこ良く品良く決めたいと思っても、選択肢は大きなサイズまで展開しているアメカジ一択。まずサイズが合うことが優先され、ファッションを楽しむどころではない。そんなボリューミーな男性の悩みを解決するメンズアパレルブランドが2020年に誕生した。今回取り上げる「carorie(カロリイ)」が、それだ。

「着られる服」ではなく「着たい服」を作る

 小林稜さんが代表取締役を務める「いいね」は、スニーカーのキュレーションメディア「足元倶楽部」や、Instagramを活用したメンズファッションメディア「RETALES」を運営する。ファッション領域の仕事をし、個人的にもおしゃれを楽しんできた小林さんだが、身長175センチで体重100kgという自身の体格から、服選びに苦労することも少なくなかった。

小林稜さん

 一般的なサイズ表記といえば、S、M、L、XL、2XL、3XL……と続き、大きいサイズになればなるほど生産数が少なく、そもそも大きめなサイズを用意していないことも多い。購入できる店やブランドは限られてもいる。おしゃれで大柄な人にとって「買いたいブランドで買えない」「着たいと思う服を着ることができない」というのは大きな悩みの一つだ。

 それでも小林さんは、恵まれた環境にいた。公私を共にするパートナーが、小林さんが気に入って買った服を、小林さんの身体に合わせてリサイズしてくれるようになったからだ。着られる服のバリエーションが広がったことで、小林さんはこれまで手を出さずにいたデザイナーズブランドの服を買うようになる。しかし、服にハサミを入れることに抵抗もあった。

 「デザイナーの思いまで切り刻んでしまっているという罪悪感がありました。すてきだなと思って気に入った服を、自分の手で壊してしまうことにも葛藤がありました」(小林さん)

 小林さんは、大柄であることを誇りに思っている。かっこいい服を着ることを我慢したくはない。同じ思いを抱えている人は他にも必ずいるはずだ。数は多くないかもしれないが、そうしたニーズに応える質の高いモノを作って自分で展開したいという思いが芽生えた。そんな中、小林さんは某ファッションメディア関係者と出会い、その思いを伝えた。すると「密着取材をしたい。応援したい」と背中を押してくれた。こうして2019年10月、小林さんは「carorie」立ち上げに向けて始動した。

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