「Adobe Experience Cloud」の製品アップデートを中心にAdobeの年次イベント「Adobe Summit 2021」のハイライトを紹介。
2021年4月28日(米国時間)、Adobeの年次イベント「Adobe Summit 2021」がオンラインで開催された。本稿では、Adobe会長、社長兼CEO(最高経営責任者)のシャンタヌ・ナラヤン氏と同社エグゼクティブバイスプレジデント(デジタルエクスペリエンス事業部門およびワールドワイドフィールドオペレーションズ担当)兼ゼネラルマネージャーを務めるアニール・チャクラヴァーシー氏によるキーノートから、製品アップデートに関わる部分を紹介する。
例年、米ラスベガスで開催されてきたAdobe Summitだが、2020年に引き続き今回もオンライン開催となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)終息はまだ見通せない現状だが、異例のスピードでワクチンが開発されるなど、明るい兆しも見える。
ナラヤン氏は冒頭「デジタルエクスペリエンスは私たちの暮らしのあらゆる面でなくてはならないものになっている」と切り出した。あらゆるビジネスがデジタル化している。この流れはもはや元には戻りそうもない。Adobeが提唱するデジタル世界の消費者トレンド指標「Digital Economy Index」によると、2020年3月から2021年2月までの世界のeコマース支出は8440億ドル、2022年には1兆ドルを超えるという。
Adobeは「Adobe Creative Cloud」「Adobe Document Cloud」「Adobe Experience Cloud」という3つの代表的なクラウドサービスを通じて数多くの業界、業務のデジタル変革に貢献してきた。それができるのも、製品売り切りからSaaS型のビジネスモデルへ大転換を遂げたAdobe自身の経験があればこそだ。
顧客価値とビジネス成長を高めるためには、データに基づき改善を重ねるというアプローチを愚直に続けていく必要がある。顧客に関連するシステムを再構築しようとすれば、マーケティング部門とIT部門連携は欠かせない。今こそ顧客体験管理(CXM)という新しいカテゴリーに技術と人、プロセスを最適化させる必要がある。
「デジタルビジネスの実現は終わりのない旅。デジタルエコノミーは顧客とのつながりの上に成り立つ。顧客との関係強化に欠かせないのがパーソナライズされた体験だ。顧客の期待に応え、それを実現できたブランドは新たなデジタルエコノミーの勝者になるだろう」とナラヤン氏は語る。
Adobe Experience CloudはCXM実現のための製品群だ。傘下には「Adobe Analytics」「Adobe Target」「Adobe Experience Manager」「Adobe Campaign」「Marketo Engage」などが並び、各製品は「Adobe Experience Platform」という共通の基盤の上に構築されている。
Adobe Experience Cloudの構成はこれまで、プラットフォームレイヤーとアプリケーションレイヤーの間にサービスレイヤーを挟んだ3層構造で提供されてきた。今回、これが2層構造に改められた。
顧客のプライバシー尊重がようやく重視されサードパーティーCookieが過去のものとなる世界で顧客獲得とエンゲージメントを実現するため、Adobeはファーストパーティーデータの活用を提唱する。自社が顧客の同意を得て取得したファーストパーティーデータ戦略であれば、適切な形でパーソナライズされた体験を提供できる。
「正しく行われたパーソナライゼーションはビジネスに成長をもたらす。Adobe Experience Cloudの各アプリケーションはAdobe Experience Platformの上で統合されている。これにより毎日平均17兆件以上のオーディエンスセグメント評価を処理し、多くの企業でリアルタイムパーソナライゼーションの実現に役立っている」とチャクラヴァーシー氏は語る。
チャクラヴァーシー氏が紹介した主要な製品および機能アップデートは以下の通りだ。
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