本連載もいよいよ最終回となりました。今回はHubSpotを使ったインバウンドリクルーティングの実践について解説します。
インバウンドリクルーティングとは、企業が理想とする顧客像が興味を引くであろう情報を提供し、サービスや製品への理解を深め、顧客化につなげるという「インバウンドマーケティング」の概念を人材採用に適用した施策です。
今回は、実際に採用というゴールに向かって、求職者と中長期的なコミュニケーションを取るための具体的な手法を解説します。
インバウンドリクルーティングの流れは、以下のように整理できます。
インバウンドリクルーティングに取り組んでいる海外企業として、本連載の第2回「HubSpotに学ぶインバウンドリクルーティング事例」でHubSpotを紹介しました。同社は、インバウンドマーケティング&セールスソフトウェアの「HubSpot」という、社名と同じ名前のツールを提供しています。
インバウンドリクルーティングはHubSpotを使わなくても実現できますが、HubSpotを活用すると、求職者の情報やWebサイト上の行動、送ったメールへの開封やクリックなどの状況を把握できるので、求職者ごとに適した内容やタイミングでコミュニケーションを取ることができます。
先に紹介したインバウンドマーケティングの流れに沿って、それぞれのフェーズごとにやるべきこと、具体的なHubSpotの活用について見てみましょう。
求職者を集める集客フェーズでは、Webサイトにコンテンツを用意し、企業側が求める人材像(採用ペルソナ)に合致する人に見にきてもらうことを目指します。
インバウンドリクルーティングで特に重要なコンテンツは、自社のカルチャーやミッションに関連する内容です。経営を通じて何を目指し、何を成し遂げたいのか、そのためにどんな人と働きたいかということを明確に打ち出しましょう。その他、社員の働き方や制度など、有効なコンテンツはさまざまです。それらについては、第2回と第3回「メルカリ・ガイアックス・サイボウズに学ぶインバウンドリクルーティング」で紹介した国内・海外企業の事例をぜひ参考にしてください。
コンテンツを軸にオーガニック検索経由の流入を待つ他、SNSでの情報発信や広告などを使って、採用ペルソナに合致する人をサイトに誘導します。他の媒体への露出を増やしてPRによる認知を拡大することや、社員による紹介(リファラル)も有効な集客手段となります。
獲得フェーズでは、自社に興味のある求職者の情報(氏名、希望職種、入社希望時期など)を取得するための仕組みを用意しておきます。例えば、以下のようなフォーム付きのページが考えられます。
コンテンツを用意したら、各フォームに誘導するバナーやボタンを設置します。HubSpotには「トラフィックアナリティクス」という、「Google アナリティクス」のようにアクセス解析ができる機能があります。これで求職者がどのチャネル経由からサイトに訪れているか、よく読まれているコンテンツは何か、求職者の情報取得につながったのはどの獲得手段かなどを把握して、採用に強いコンテンツを強化します。
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