アイスに焦げ目はつけられるのか 開発チームの“想い”が生んだパリパリ食感――オハヨー乳業 松山吉孝氏イノベーター列伝(1/2 ページ)

新市場の創造を目指す挑戦者を紹介します。

» 2019年04月11日 08時00分 公開
[BRAND PRESS]
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(このコンテンツはBRAND PRESS連載「イノベーター列伝」からの転載です)

 市場の常識を変えるような華々しいプロダクトやサービスが日々メディアに取り上げられる今日。その裏では無数の挑戦や試行錯誤があったはずです。「イノベーター列伝」では、既存市場の競争軸を変える挑戦、新しい習慣を根付かせるような試み、新たなカテゴリーの創出に取り組む「イノベーター」のストーリーに迫ります。今回話を伺ったのは、牛乳・乳製品の製造・販売を手掛けるオハヨー乳業でプレミアムアイス「BRULEE(ブリュレ)」の開発に携わった松山吉孝氏。BRULEEは日本食糧新聞の「優秀ヒット賞」を受賞しましたが、人気のあまり製造が追い付かなくなり、発売1カ月後には販売休止となった過去もあるほどです。ヒット商品を生み出すまでの開発の苦悩についてお聞きしました。

商品開発で最も大切なこととは

 「モノづくり」への興味と、出身地である岡山の産業にかかわりたいという“想い”から、同地に拠点を構えるオハヨー乳業を志望しました。1998年の入社後に配属された製造部では、開発部門が作った商品の量産が主な仕事でした。当時は、食品偽装や集団食中毒などの事件・事故もあり、乳製品の安全性への注目度が特に高まっていた時期でした。そのため、製造工程のチェックも一段と厳格になり、多忙な日々を過ごしていましたが、「このような時代の変革期にこの仕事をできることを誇りに思え」という先輩社員からの一言に触発され、精力的に働いていました。

松山吉孝
オハヨー乳業株式会社 マーケティング戦略本部カテゴリー戦略2部部長。1998年に入社後、製造部を経て開発部に異動。さまざまな商品開発に携わり、現在は人気商品「BRULEE」のマーケティングを担当。

 その後、商品開発を担当する企画開発部に異動しました。開発部の仕事は、新商品や商品リニューアルを企画する、いわば「ゼロを1にする仕事」です。開発部が最も大切にしているのは、商品を消費者に届けるための想いです。異動したばかりのころは、私が考えた企画案に対して「お前はこの商品に対してどんな想いを持っているんだ。誰に届けたいんだ」と、先輩社員から毎回質問されていたことをいまも思い出します。商品の製造や工程の課題を解決する製造の業務とは考え方がまったく異なっていたので、慣れるまでは苦労の連続でしたね。

 一方で、オハヨー乳業には、新商品への確固たる想いがあれば前例のない商品でもプロジェクトを立ち上げることができるという、チャレンジ精神旺盛な社風があります。そのため、周囲の開発メンバーが血眼になって新しいことに挑戦する姿勢は、自分自身のモチベーションアップにつながりました。先輩社員の言う想いの大切さを感じながら、必死になって仕事に励んでいましたね。決して楽ではありませんでしたが、毎日が充実していました。

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