LINEをビジネスにどう生かす?――ローソン、ピザショップ、京都府の場合自社のファンをLINEで増やす(1/3 ページ)

スマートフォン向け無料通話アプリ「LINE」を、ビジネスに活用する企業が増えてきている。そんな中、廉価版公式アカウントとして注目を集めているのが「LINE@」だ。

» 2013年02月28日 12時15分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
LINE登録ユーザー数の推移。1カ月1000万ペースで増えている

 2013年2月現在で世界約1億1000万、国内だけでも約4500万ユーザーが登録するスマートフォンアプリ「LINE」。リリース当初は無料通話&メッセージをシンプルなインタフェースで利用できる点が特徴だったが、最近ではSNS機能を追加したり、LINEアカウントにひも付いてゲームがプレイできるなど、徐々に機能を拡張している。

 そんなLINEだが、ビジネス面での活用も広がっている。企業が自社のLINEアカウントを作成し、そのアカウントを登録した(友達登録した)ユーザー向けに自社のキャンペーンを告知したり、割引クーポンを配布したりするのだ。2012年6月に開始したこの取り組みは、ローソンや日本コカ・コーラ、ケンタッキーフライドチキンといったサービス業を中心に展開しており、いくつか実績も出ている。

LINEの公式アカウント、登録者数ランキング(2013年1月22日実績)。企業だけでなく、芸能人のアカウントや、天気、ニュースなどの配信サービスを公式アカウントとして運用している場合もある
順位 アカウント名 登録者数(友達数)
1位 ローソン 539万136
2位 コカ・コーラ 426万8660
3位 ケンタッキーフライドチキン 413万9526
4位 H.I.S 312万1632
5位 資生堂ワタシプラス 311万2459
6位 東京ディズニーリゾート 235万1741
7位 マツモトキヨシ 232万8437
8位 ファミリーマート 221万3045
9位 すき屋 207万3758
10位 TSUTAYA 204万3509

 一例としてローソンでは、同社の公式アカウントで「からあげクン」など特定商品の割引クーポンを定期的に配信している。その効果は、1回の配信で約10万人が店頭に訪れるほど。ある店舗ではLINEユーザーの高校生が1日に100人近く来店し、対象の商品が品切れしてしまう事態もあった。ローソン本社には同店舗のオーナーから「何が起こったんだ」とうれしい問い合わせがきたのだという。

公式アカウントはどれだけ使われている?

 ローソンの例に限らず、企業アカウントの効果は定量的なデータでも明確だ。NHN Japanとマクロミルが全国のLINEユーザー1032人に対して1月下旬に実施した調査によると、回答したLINEユーザーの約58%が、何らかの公式アカウントを登録していた。NHN Japanの田端信太郎執行役員は2月20日に開催したLINE@のビジネスセミナー「〜できる店舗・施設オーナーのLINE@活用術〜」の中で「友達のアカウントと一緒に企業アカウントが並ぶことにそれほど抵抗がなく、特に若い層では積極的に公式アカウントを登録しているようだ」と話した。

 登録後も放置することなく、62.6%が「(企業アカウントから送られてきた)メッセージを読んだ」、27.1%が「(メッセージ内に含まれていたURLリンクから)Webサイトを訪れた」、17.6%が「商品やサービスへの理解が深まった」などの効果があったという。




 さらに公式アカウントが配布した割引クーポンは31.7%が利用しており、顧客の来店や購買に結び付いていることが分かった。これは、ユーザーかスマートフォンでオンライン時にLINEを使うことで、オフラインでの行動へも影響を与えるマーケティング手法「O2O(Online to Offline)」の側面でも効果があることを裏付けている。

 NHN Japanの田端氏は、上記の調査とローソンが個別に収集したデータのクロス結果を基に「LINEの公式アカウントを通じて、ローソン店舗に訪問して商品を買う割合が6.5%上昇した。この数値は高くないように思うかもしれないが、従来のメールマガジンなどの開封率や全体のボリューム感を考慮すると、LINEがいかに人を店頭に呼び込んでいるか、そのインパクトが分かると思う」と話す。

なぜLINEで人が動くのか

 NHN Japanによると、LINEが企業のマーケティング活動に与える影響は以下3点だ。

(1)いつでも、どこでも、誰でもの普遍性がある

 LINEの特徴の1つがスマートフォンユーザー向けのアプリであること。そしてスマートフォンは今やいつでもどこでも誰でも持つものになりつつある。スマートフォンの国内ユーザーは約4000万人以上と言われ、LINEを使う母集団も利用率もさらに日々増加している。

(2)即時性があり、生活導線の途中で読まれる

 LINEのメッセージはプッシュ配信で届く仕組みだ。よってユーザーが移動中やちょっとした待ち時間、昼食前、休暇中などあらゆる時間に、そのタイミングでメッセージを見てもらえる。例えばお昼時を狙って日替わりメニューの告知をしたり、金曜日の夕方にビールの広告を打ったりなど、適正な時間に情報を届けられる。

スマートフォンユーザーが最も画面を見ているであろう帰宅時間などメッセージを配信することで、例えば一度家に帰ってしまえばもう外に出ては来ないかもしれないが、帰宅中であれば寄ってみるか、というように客引きができる

(3)メッセージの読まれやすさ、到達アドレスの正確性

 LINEのメッセージは待ち受け画面にポップアップ表示するので、ほぼ確実に読んでもらえる。これはPC向けのメールマガジンと比較すると非常に高い割合となる。さらにLINEは携帯番号にひも付いてユーザー登録するので、機種変更をしたり海外に行ったりしても、アカウントが消えることはない。メッセージの到達性が確保されているというわけだ。

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