日本コカ・コーラのSNS事例、ガイドラインは“べからず”からの脱却が鍵ソーシャルメディアガイドライン(1/2 ページ)

2007年ごろからソーシャルメディアを取り入れたマーケティング活動を行っている日本コカ・コーラ。広報担当者にどのようなガイドラインを設けているのか、また具体的に実施している施策を聞いた。

» 2012年02月22日 10時00分 公開
[「月刊総務オンライン」]
SOS総務

 日本コカ・コーラは、以前からSNSに代表されるソーシャルメディアを自社のブランドマーケティング活動などに積極的に活用してきた。では、ソーシャルメディア先進企業である日本コカ・コーラでは、どのようなガイドラインを設けているのだろうか。同社広報の佐藤克哉さんに話を聞いた。

2007年、従来のマス広告からネット口コミへシフト

 日本コカ・コーラのソーシャルメディアに関するガイドラインについて見る前に、まずは同社のコミュニケーション戦略の変遷を、佐藤克哉さんから説明してもらおう。

 「当社では2007年ごろから統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)を展開しています。また、マーケティング活動にソーシャルメディアを本格的に活用するようになったのも、まさにこの時期でした」

 それまで同社では、テレビ、新聞、雑誌、ラジオの四大マスコミを中心としたマーケティングを行ってきた。しかし、インターネットの台頭によって状況が変化し、それまでのマーケティング活動では対応しきれない部分が出てきたのだという。また、世界的規模でテレビコマーシャルによるブランド想起率が低下しているという調査結果が出たことで、同社では変革の必要性を感じていた。

 そこで、新たな枠組みとして導入したIMCでは、媒体視点ではなく消費者視点に基づく価値の伝達・体験の提供をすることを目指した。これについて佐藤さんは、こう要約する。

日本コカ・コーラ 広報・パブリックアフェアーズ本部の佐藤克哉さん

 「当社が販売している商品はとてもシンプル。ですから、1人でも多くの人にブランドを好きになってもらって、当社の商品を飲んでもらおうという活動なんです」

 このことを実現するために、あらゆるコンタクトポイントで一貫したメッセージを訴求していくことがIMCの要点といえる。コンタクトポイントとは、マスコミに加え、イベントやサンプリング、プロモーション、パッケージデザイン、ニュース報道など、消費者が情報に接触するあらゆる場所や機会である。インターネット施策としてバナー広告も挙げられる。そして、これらコンタクトポイントの1つに、ネット上の口コミも想定されていた。

 2007年の時点で、既にソーシャルメディアを取り入れたマーケティング活動を行っていたということであり、かなり早い時期からの取り組みといえる。

Twitter、mixi、Facebook――毎年新たなチェレンジ

コカ・コーラ パーク

 ここで重要なのが、ソーシャル以外にも同社が行っているWeb上での積極的な取り組みである。2007年6月から会員制サイト「コカ・コーラ パーク」を開設した。佐藤さんはいう。

 「もともとコカ・コーラ、ジョージア、爽健美茶など各飲料のブランドサイトが独立してあったのですが、それをブランド横断で捉えることで顧客とコミュニケーションを図ろうと考えたわけです。コカ・コーラ パークを入り口にすることで、各飲料のブランドサイトを回遊できるようにしました。ネットの強みは、PV(ページビュー)数など成果がリアルタイムで分かることと、すぐに改善していけるところ。弊社のインタラクティブマーケティングチームはサイトをオープンした後も、緻密な分析と改善を重ねて、今日までサイトを大きく成長させていきました」

 このコカ・コーラ パークは、2012年2月時点で会員数約1100万人という、企業サイトとしては圧倒的な規模となっている。外部の広告も掲載するなど、オウンドメディアの成功例として注目される存在となった。この成功の理由はさまざまあるというが、開設された2007年には既にモバゲータウンとのコラボを実現させるなど、新しいことにも積極的に取り組んでいった姿勢がつながっているのかもしれない。

 このように、コカ・コーラ パークをプラットフォームとする戦略の中で、2009年にはTwitter公式アカウントを開設。まずは、コカ・コーラ パークで開催するオンラインのビンゴ大会に合わせて、一週間限定でアカウントを開設。ビンゴ大会のようすをTwitterで実況中継して、どのような効果が得られるのか検証した。

 以降も、2010年にはmixi内でのサンシャイン牧場とのコラボレーションや、Twitterと連動したテレビCMのオンエアなど、ソーシャルメディアを利用して意欲的な活動を行ってきた。そして2011年にはFacebookページをオープン。FacebookやTwitter、mixi、Amebaといった主要ソーシャルメディアの投稿管理をコカ・コーラ パーク内で一括して行えるよう、いわゆるサイトのソーシャル化を進めるなど、ソーシャルメディアの特徴を自社のコミュニケーションに効果的につなげていく施策を次々と実施した。

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