日本を代表するアパレルブランドのユニクロを支えるのは、UNIQLOCKをはじめとする数々のWebブランディング戦略だ。世界的なアパレル産業を目指すにはWebサイトも世界レベルに、という信条を持つ勝部健太郎クリエイティブ・マネジメントディレクターに海外進出とWebの関連性を聞いた。
カジュアル衣料品「ユニクロ」は日本を代表するアパレルブランドに成長した。それを支えているのは、Webを巧みに使った数々のブランディング戦略だ。「UNIQLOCK」をはじめとするユニクロのWebプロジェクトを率いているのは、ファーストリテイリング グローバルコミュニケーション部 部長 クリエイティブ・マネジメントディレクターの勝部健太郎氏である。日本発の世界的なアパレル企業を目指すには、Webサイトも世界レベルに――という勝部氏の信条は、世界で支持を集めるユニクロのWeb戦略に反映されている。企業の海外進出にWebがどう寄与するかを聞いた。
ITmedia 世界を知らなければ、自社の位置が分からない。そのため海外に業務の基準を置くことが大切という話がありました。ユニクロのWeb戦略は世界基準を達成しているとみますか。
勝部 手掛けてきたWebプロジェクトの多くは達成していると考えます。UNIQLOCKは(カンヌ国際広告祭でグランプリを獲るなど)世界中で評価を受けましたし、2009年に開始した「UNIQLO CALENDAR」はUNIQLOCK以上の早さで世界中の利用者を獲得しました。「これはすごい」というWebのプロジェクトを継続的に出せる企業は、世界で見てもあまりないのではないかと思います。
Webプロジェクトを成功に導くこつは、コンテンツの内容そのものや導線の設計にあります。商材の価値があることも成功には必要ですが、Webにおける人々のコミュニケーションはもっと端的なものです。(Webコンテンツの内容が)パッと見てすごい、かっこいい、見たことがない――といった要素をWebで表現することが必要です。
ITmedia 端的なWebコンテンツで消費者の心をつかむことは、企業ブランディングに寄与するのでしょうか。
勝部 寄与します。例えば10月にオープンしたパリの旗艦店に行ったとき、現地の広告・PR関連の人はユニクロを知っていました。その理由は大きく分けて2つです。1つは(2006年に開設した)ニューヨークの実店舗、もう1つはUNIQLOCKの存在です。事前に情報を流通させるWebの特性をうまく使えば、企業ブランドを世界に浸透させることができます。
ITmedia Webでブランディングを成功させるには、商品や店舗などがあることが不可欠になるのでしょうか。
勝部 Webは企業ブランディングに生かしやすい特徴があります。つまり消費者は、商品を買う前に商品を提供する企業が好きかどうかを考え、「企業(のブランド)自体」を買うのです。
商品のみにひも付いたWebキャンペーンで成功した例は、ユニクロではあまりありません。企業は、Webを使ったブランディングを大前提としておくべきです。ユニクロではWebを使って消費者に伝わる企業ブランディングを行うという戦略が根幹にあります。
例えば「UNIQLO INTRODUCTION」というWebコンテンツは、ユニクロを世界中の人々にエンターテインメントを交えて伝える役割を担っています。中国語や韓国語、英語、フランス語などの多言語に対応させ、グローバルで情報を発信する場所になっているのです。
海外展開をする企業が自己紹介をする場合、紹介内容を集積した場所作りが不可欠です。顧客、商品を生産する工場、代理店、現地の社員を含めて、企業の輪郭をはっきりさせるブランディングが重要であり、それはWebで実現できると考えています。
(商品の購入に結び付く)企業ブランディングを実施している国内企業はあまり多くないように見えます。あるいは、実施したブランディングの施策がきちんと消費者に伝わっていないのかもしれません。
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