コールセンターがビジネスの生命線〜アクサダイレクト顧客満足を決める(1/3 ページ)

アクサ損害保険は、コールセンターをビジネスの中心におく企業の1つの典型例。同社はCTIにGenesysのT-Serverを導入。キメ細かなサービス体制で保守的な日本市場で積極的なビジネスを展開していく。

» 2004年09月06日 23時55分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 コールセンターを導入する企業の背景にはさまざまな事情がある。顧客へのサポートを充実させたり、販売チャネルの強化を図るために導入するケースも多い。

 一方で、実店舗を持たず、インターネットやコールセンターをメインの販売チャネルとしてビジネスを展開する企業も多くなってきた。

アクサ損害保険のコールセンター。現在は180名前後。新規契約の担当が120名、住所変更など既存の契約者の管理が60名ほどとなっている。

保険代理店中心の日本市場で苦労も

 1999年より通信販売方式で自動車保険を販売してきたアクサ損害保険は、コールセンターをビジネスの中心におく企業の1つの典型例だ。今まで、日本の保険業界では、俗に保険のおばちゃんなどとも呼ばれる保険代理店を経由して、一般顧客に保険が販売される形態が根付いており、この牙城はなかなか崩し難かったようだ。

 だが、ブロードバンドなど情報技術の進展に伴い、潮目は確実に変わりつつある。アクサ損害保険におけるコールセンター導入の目的や効果、今後の方向について聞いた。

コスト競争力と信頼獲得がカギ

 アクサ損害保険でCIO取締役を務める喜多暢之氏は、「コストをいかに下げられるか、また、フェイス・トゥ・フェイスの代理店マーケットに負けないくらいまで信頼関係を築けるかがポイント」と話す。同社のビジネスモデルは、広告投資をきっかけにした電話をコールセンターで受け付け、見積もりを提供、商品販売につなげるというもの。

 アメリカンホーム保険、チューリッヒ保険、ソニー損害保険、三井ダイレクトといった同じ業態のライバルよりも、ターゲットは国内の大手損保だ。というのは、ダイレクト販売の保険会社は、ここ数年の派手なテレビCMなどで目には止まるが、「実際のシェアは合わせても5%に満たない」(喜多氏)からだ。この間に、各社が投資した広告費は数百億円にも上るとも言われており、「日本市場の保守性が表れている」と同氏は話す。

保険販売について「情報を売っていると考えている」と話す喜多暢之氏

CTI採用の理由

 現在のコールセンターにCTIを導入前も、同社はPBX(構内交換機)で電話のルーティングを行っていた。だが、PBXだけでは、顧客からの電話の1つひとつを適切にオペレータにアサインするには限界があったという。また、通話時間や本数といったPBXで取れるデータだけでなく、各オペレータごとの作業状況など、細かい統計数値も蓄積し、分析したいというニーズもあった。

 こうした用件を実現するためには、電話やFAXを情報システムと統合する技術であるCTIの導入が不可欠と判断した。CTIを活用し、顧客データベースと電話が連動するコールセンターを構築、電話をかけてきた顧客のプロフィールや取引履歴を、オペレータが瞬時に理解できる体制を敷くことになった。

 CTIの導入により、「生産性は以前の3倍に達している」と喜多氏。オペレータをスキルレベルによって区分けし、電話へのオペレータの振り分けを最適化することで、放棄呼率もかなり減った。

手際のいい電話対応がカギ

 顧客がコールセンターに電話をかける目的は幾つかに分かれており、新規の見積もりや契約、内容変更、そして、事故対応などが含まれる。

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