2024年の日本の広告市場は、インターネット広告を中心に全体として成長を続けた。マスコミ四媒体広告費も3年ぶりに前年超えとなった。
電通は2025年2月27日、わが国の総広告費および媒体別、業種別の広告費を推定した「2024年 日本の広告費」を発表した。2024年の日本の広告市場は、好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりに支えられ、大きく成長した。特に「インターネット広告費」が市場をけん引し、「マスコミ四媒体広告費」「プロモーションメディア広告費」も増加した。2024年の総広告費は通年で7兆6730億円(前年比104.9%)で、2021年から4年連続で成長し、3年連続で過去最高を更新した。
媒体別広告費の推移は以下の通りだ。
インターネット広告費(インターネット広告媒体費、物販系ECプラットフォーム広告費、インターネット広告制作費の合算)は、前年比109.6%の3兆6517億円と大幅な増加を見せた。特に、SNS上の縦型動画広告やCTV(インターネットに接続されたテレビ受像機)などの動画広告需要が市場全体の拡大に大きく貢献した。
インターネット広告媒体費は2兆9611億円(前年比110.2%)と二桁成長。マスコミ四媒体由来のデジタル広告費も1520億円(同117.5%)と好調を維持している。動画広告の需要の高まりがこの成長を後押ししていると考えられる。
一方、物販系ECプラットフォーム広告費は2172億円(同103.4%)と、前年までの勢いはやや落ち着きを見せた。これは、原材料費や物流コストの高騰による物価上昇で生活者の節約志向が強まったことや、リアル店舗への顧客回帰によるチャネルの多様化が影響していると考えられる。
マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)は、2兆3363億円(前年比100.9%)と、3年ぶりに前年を上回った。内訳を見ると、新聞広告費は減少したものの、雑誌広告費、ラジオ広告費、テレビメディア広告費が増加している。雑誌広告費は、出版社や雑誌編集部などによるタイアップコンテンツのSNS上での二次展開や、広告主へのオリジナル企画コンテンツ提供などが増加し、プラス成長となった。ラジオ広告費は、radikoを含むデジタルオーディオ広告の増加とともに、地上波ラジオ放送における広告市場も好調に推移した。
テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は、1兆7605億円(前年比101.5%)となった。地上波テレビはパリ2024オリンピック・パラリンピックをはじめとした大型スポーツ大会や各種イベントの開催に伴い好調に推移した。
プロモーションメディア広告費(屋外、交通、折込、DM、フリーペーパー、POP、イベント・展示・映像などの合算)は1兆6850億円(前年比101.0%)と、前年に続き増加した。人流がコロナ禍前に戻ったことで、屋外広告や交通広告、POPが増加。特に、インバウンド需要などを背景に、リアルな場面での成長が目立った。
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