イーロン・マスク氏は自身のXアカウントで、ショート動画サービス「Vine」を復活させるべきかどうかをXユーザーたちに問いかけた。マスク氏によるVine復活の匂わせはこれが初めてではない。
イーロン・マスク氏の真骨頂と言えば、企業に注目を集められる点だ。常に話題の中心でありたいという彼の思いは、良い理由であれ、悪い理由であれ、自分の会社を常にスポットライトの当たる場所に保つのに役立っている。あなたが読んでいるこの記事も、そのために何らかの効果をもたらしてそうとしている。
Teslaではレイオフが行われ、Cybertruckでは故障の報告が続いた。さらにXではアカウント制限を巡るブラジル司法当局との対立姿勢を一転させたこと、プラットフォームがネオナチのコンテンツを増幅していることに関する報道もあった。
こうした状況下でマスク氏は注意を他のことに向けようとしている。2024年4月17日(米国時間)、マスク氏は自身のXアカウントで、旧Twitter時代のショート動画サービス「Vine」を復活させるべきかどうかをXユーザーたちに問いかけたのだ。
実際、XはVine復活に向けて具体的な計画を進めているようだ。例えばXのエンジニアであるクリストファー・スタンレー氏は、米国のインフルエンサーとして知られるローガン・ポール氏の古いVineページへのアクティブリンク(外部リンク/英語)を共有している。
Vineは2017年に閉鎖され、サーバのコストを削減するために全てのクリップは最終的に非アクティブ化された。しかし、少なくともXのスタッフは、アプリのコードベースと、それが新たな視聴者のためにどのように再燃し得るかを探っている。
マスク氏は2022年11月にTwitterを引き継いで以来、何度かVineを復活させるアイデアを出してきた。
概念的には、VineはTikTokの先行者となるものだ。TikTokはいまや10億ユーザーのプラットフォームであり、XがVineを復活させれば、TikTokと同様に大流行する可能性があるということは注目に値する。しかし、Vineは皆が思っているほど人気があったわけではない(ピーク時には2億人のユーザーに達したが)。また、Vineの崩壊の原因は、TwitterがVineからお金を稼ぐ方法を見つけられず、Vineのトップクリエイターに確実に報酬を支払うことができなかったからだということは注目に値する。
そのため、マスク氏とXがVineを復活させても、それをうまく収益化できるかどうかは分からない。また、VineにはTikTokの人気の源泉である、非常に同調したアルゴリズムもない。
要するに「Vine 2.0」が誕生したとしても、それは多くの人々が期待するほど素晴らしいものではなく、おそらくさほど人気が出ることはもない。Vine復活は良いアイデアとはならないだろう。
しかし、このことでより多くの注目を集め、他のことから目をそらさせることはできるかもしれない。冒頭の繰り返しになるが、それこそがマスク氏の得意とするところなのだから。
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