コカ・コーラ幹部が語る、生成AIが広告クリエイターの役割に及ぼす影響：Marketing Dive

Coca-Colaのグローバルカテゴリー担当プレジデントであるセルマン・カレアガ氏は、同ブランドが人工知能と人間の知能の均衡をどのように取っているか、詳しく説明した。

[Chris Kelly，Marketing Dive]

　OpenAIがChatGPTをデビューさせてから1年、生成AIは、広告、テクノロジー、カルチャー全般にわたるトレンドウォッチャーを魅了した。消費者ブランドの中で、生成AIを牽引してきたのは、業界で最も有名な企業の一つであるCoca-Colaだ。わずか9カ月の間に、Coca-Colaはこのテクノロジーをさまざまな方法で応用し、最高のキャンペーンの一つを作り上げ、2024年以降に他のブランドが進むべき道を示した。

　2023年初頭、多くのブランドがAI軍拡競争を傍観していた中で、Coca-Colaはいち早く経営コンサルタント会社Bain & CompanyとOpenAIの提携を利用し、「Create Real Magic」プラットフォームを立ち上げた。以後、ラスベガスの球体型施設「Sphere」に関する話題を利用した最近のキャンペーンを含め、多くのデジタルおよび体験型チャネルに、このテクノロジーを使用している。

　Marketing Diveは、Coca-Colaのグローバルカテゴリー担当プレジデントであるセルマン・カレアガ氏に、同社のパートナーシップエコシステム、AI支援による「Y3000」フレーバーの発売（限定生産製品に特化したCoca-Colaの進行中のCreationsプラットフォームの一環）、そして同社が消費者向けと社内業務の両方に生成AIをどのように使用しているかについて話を聞いた。

　このインタビューは、明確かつ簡潔にするために編集されている。また、2回に分けて公開する。

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HI（ヒューマンインテリジェンス）はAIと同じくらい重要

――Coca-ColaはBainとOpenAIの提携における最初のクライアント企業になりました。今年の取り組みにおいて、それはどのような役割を果たしたのでしょうか。また他の代理店との関係は？

セルマン・カレアガ氏（以下、カレアガ氏）　まず第一にこれはパートナーシップです。私たちはどこか1社と提携しているわけではありません。私たちには利用する代理店やパートナーのチームがあります。今はあいまいな世界です。Bainはコンサルティング会社で、 OpenAIはテクノロジー分野のリーダーです。そして、広告代理店のWPPもまた、デジタルエク体験を創造しようとするスピードの速い世界にいます。

　これは私たちが提携する人々のエコシステムであり、前進する方法であり、プラットフォームとなるものを創造することです。以前は1つの代理店に依頼してプラットフォームを開発していました。何カ月もかかって学びながら、他のアイデアを引き出していました。今日では、世界はその点でより柔軟になってきています。

　私たちはBainとOpenAIの提携を使った「Create Real Magic」からスタートし、そこから学びました。私たちはその結果に大満足でした。12万以上のコンテンツが投稿され、人々は7分以上このプラットフォームと交流していました。私たちはこれらの学びを基にに、このプラットフォームから20人のトップクリエイターを選び、夏には彼らと［Real Magic Academy］で会い、今後どのように改善していくかを話し合いました。

生成AIで作られたCoca-Colaのキャラクター「ポーラーベア」（出典：Coca-Cola）

――Coca-ColaのAI実験は、クリスマスキャンペーンでどのように結実したのでしょうか？

カレアガ氏　現在クリスマスキャンペーンとしてご覧いただいているのは、人々がよりエキサイティングに、より簡単に交流する方法を中心に、私たちがプラットフォームで学んだことの結果です。大切な人と共有できるクリスマスカードを作成することで、より人々に優しいプラットフォームができたと考えています。

　私たちが一緒に仕事をする代理店のエコシステムについて言うと、私たちは主にWPPと連携しています。「世界にもっとサンタクロースを。」というアイデアの核心はWPPグループの中でも主にVMLY&Rと彼らの代理店ネットワークの一部と提携することから生まれました。その中にビデオコンテンツがあり、ストリーミング配信される2本の短編映画を制作しています。私たちは今、ストリーミングの世界にも参入しています。昨年はストリーミングが人々と別の方法でつながる方法であることを学びました。

――「Real Magic Academy」の話が出ましたが、生成AIはCoca-Colaが考えるクリエイターの役割にどのような影響を与えていますか？

カレアガ氏　まず専門家から始めています。彼らがそのテクノロジーをどのように使うのか、Coca-Colaが持つ資産とどのように相互作用するのかを学び、それをよりメインストリームでスケーラブルな体験へと導く方法を学びます。これが今、私たちがクリスマス向けにやっていることです。私は、AIが全てに取って代わるとは思っていません。AIはより速く、より優れた洞察を得るためのツールだと感じていますが、私たちにとってはHI（ヒューマンインテリジェンス）もAIと同じくらい重要なのです。

（続く）

原文：What Coca-Cola’s generative AI experiments mean for the brand’s future（Marketing Dive）