やっぱりX(旧Twitter)のユーザーは減少中? 10万ユーザーの追跡データが示す公式発表との乖離Social Media Today

Xのユーザー指標については多くの疑問が投げかけられている。特に、イーロン・マスク氏がオーナーとなって以来、同プラットフォームの利用者がさまざまな「過去最高」を記録しているという主張の正確性については疑問が投げかけられている。

» 2023年11月07日 12時00分 公開
[Andrew HutchinsonSocial Media Today]
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 Xが報告する数字は誤っている可能性があり、それどころかイーロン・マスクと彼のチームによって実施される変更が増えるにつれて、視聴者が減少している可能性さえあるようだ。

マスク氏の改革とユーザーのX離れとの関係

 10万人を超えるモバイルアプリユーザーの利用習慣を追跡するApptopiaの分析によると、Xのデイリーアクティブユーザー数は現在約1億2100万人で、X自身が報告した2億5300万人を大きく下回っている。

 ジャーナリストのアレックス・カントロウィッツ氏が運営するテック系メディア「Big Technology」(外部リンク/英語)は次のように伝えている。

 「マスク氏は2022年10月に同社を買収して以来、毎日のアクティブユーザーの約13%を失っている。そして、TwitterからXへのブランド変更により、減少が加速した」

(出典:Apptopia)

 Apptopiaの分析からは、Xを利用している人々は従来同様に利用しており、平均利用時間にも重大な悪影響はないことが示唆されている。Metaの「Threads」もこれまでのところXの衰退に直接的な相関を与える影響はなさそうだ。

 それでもこの数字は、マスク氏とCEOのリンダ・ヤッカリーノ氏が一般向けのさまざまなプレゼンテーションで示唆しているほどには、Xがうまくいっていないことを示唆している。

 Xのユーザー指標については多くの疑問が投げかけられている。特に、マスク氏がオーナーとなって以来、同プラットフォームの利用者がさまざまな「過去最高」を記録しているという主張の正確性については疑問が投げかけられている。

 そして、それは指標そのものだけでなく、細部にまで及ぶ。

 例えば、マスク氏傘下になってから数週間後、Xは2億5000万人の収益化可能なデイリーアクティブユーザー(mDAU)の新記録に達したと主張した。一方で、マスク氏は440億ドルの買収提案から逃れようと、ユーザーの20%が実際にはbotであると主張してもいた。

 従って、マスク氏が主張するようにbotを根絶した(または少なくともその存在を大幅に減らした)というのなら、Xはマスク氏による買収前の最後の業績報告である2022年第2四半期から1200万人のユーザーを追加しただけでなく、同期間に4760万人の偽プロフィールを実在の人物に置き換えたということになる。

 あるいは、マスク氏は買収金額を値切るためだけに、その20%という数字についてうそをついていたのではないか(だとすれば、彼の今の発言を信用できるだろうか?)、あるいは、botは依然として存在し、その数字通りにまん延しているのではないか。

 真実がどこにあるのかは分からないが、これまでずっと年間2000万人以上の新規ユーザーを追加するのに苦労してきたプラットフォームがわずか数カ月で6000万人近くを追加するのは大変なことのように思える。

 新しい数字に基づくと、Xのユーザー数の計算には疑問符が付く。月間アクティブユーザー数5億5000万人というXの主張はやはり疑わしい。

 ソーシャルプラットフォームが報告する日次ユーザー数と月次ユーザー数は、平均して約1.8倍になる。例えば、Snapchatであればデイリーアクティブユーザー数は3億9700万人、月間ユーザー数は7億人だ。 

 Apptopiaの数字をそのロジックに当てはめて計算すると、Xの月間アクティブユーザー数は約2億2300万である可能性が高く、公式発表とはかなりの開きがあることになる。

 この説をさらに補強するように、Apptopiaの分析は「日々アプリをチェックする人々と月に一度しかチェックする人々との間には、差が広がっている」と示唆している。

 したがって、アクティブユーザーはさらに少ない可能性があり、Xの実際のオーディエンスはFacebook、Instagram、TikTok、Snapchat、およびPinterestを下回ることになる。

 もちろん、これはマーケティング分析の観点から見た相対的なものだ。ターゲットオーディエンスがXを利用しているなら、全体の利用状況に関わらず、そこで活発に活動すべきだろう。1億2100万人でも立派な数字だ。また、Xの影響力は常にその利用者数以上に重要であり、単に数字上の影響以外にもアプリを利用する理由はある。

 しかし、これはX社の業績に関する興味深い別の見方を示すものではある。Xの広告収入は前年比60%減で、広告収入の減少を補うために期待されたサブスクリプションサービスも、まだ大きな伸びには至っていない。

 一方でマスク氏とTwitterは、何とかして他の統計に注目してもらおうと必死で、定期的に「ユーザーが後悔しない時間」や「累積ユーザー秒数」といった新しい指標を自慢しており、これらが最高値を更新したと頻繁に主張している。

 もしかしたら、これらの代替統計は、Xが全体的に利用者が少なくても実際にユーザー体験を向上させていることを示しているのかもしれない。そして、マスク氏の「全部乗せアプリ」というビジョンの下にプラットフォームを再調整するために必要なリセットなのかもしれない。

 いずれにせよ時間が経てば分かることだ。しかし、最近Threadsが注目を集めているように、Xの利用者数が同社の報告よりも低下していそうな現在、Xの競合他社にとっては成長の機会が増えていると言える。

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