Instagramの国内月間アクティブアカウント数が2900万を突破。ユーザーの利用動向と、企業のコミュニケーションチャネルとしてのInstagramの意義が大きく変わりつつある。
Facebook傘下のInstagramは2018年11月1日、広告主・マーケター向けのイベント「Instagram Day Tokyo 2018」を開催した。同イベントは今回が2回目となる。2017年に「インスタ映え」が流行語大賞に選出され、日本社会に急速に浸透したInstagramだが、広告ビジネスにおいても進化のスピードを加速させている。
同イベントは、インスタ映えの代名詞となったカラフルな綿あめが振る舞われるなど、華やかな雰囲気の中で開催された。とはいえ、インフルエンサーの集いなどではなく、参加者は主にブランド広告主であり、その内容は至ってビジネス志向だった。ここでは、2017年3月の開始以来急成長している「Instagramストーリーズ広告」をはじめ、先進的な広告ビジネスを加速する同社の方向性が明確に示された。
Instagramの2018年を振り返ると、ストーリーズ広告の展開、ビジネスプロフィールへのアクションボタン実装、フィードやストーリーズから商品が購入できるショッピング機能、長尺動画「IGTV」など、動画プラットフォームとしての価値向上とビジネス利用への機能強化が目立った年といえる。
動画そのものも、テレビ以来の横長アスペクト比のそれではなく、スマートフォンのディスプレイに合わせた縦型が主流になりつつある。冒頭で登壇したInstagram ビジネス&メディア部門グローバル責任者のジム・スクワイヤーズ氏は「正方形の画像とフィルターを特徴としてスタートしたInstagramだが、現在では縦型のクリエイティブが注目されるプラットフォームへと変化した」と述べた。
Instagramの調査では、スマホユーザーが携帯を縦型のまま使用する割合は90%、携帯を横向きにしないミレニアル世代は72%という結果が出ている。広告に関しても、縦型動画など新しい広告フォーマットを好意的に思うユーザーが76%、縦型動画の広告を配信するブランドが革新的だと感じるユーザーは65%に上るという。
若い女性が支持するおしゃれなSNSとして知られるInstagramはこれまで、良い雰囲気のビジュアルでブランドイメージを認知させ、ファン作りに貢献するメディアと考えられてきた。しかし、実は意外にも購買に直結することが分かってきたという。同調査では、ストーリーズで商品を見た後にオンラインで購入したユーザーは50%、店舗で購入したユーザーは31%もいる。
フィード投稿と同様にストーリーズでもショッピング機能が使えるようになった今(関連記事:「Instagram『ショッピング機能』がストーリーズでも利用可能に」)、Instagramはダイレクトレスポンスも期待できるメディアとして、ますますビジネス価値を高めているといえそうだ。スクワイヤーズ氏は、「ブランドにとって必要なのは、ストーリーズの多様性を生かすことだ。プロフィール、フィード、ストーリーズ、ストーリーズ広告、IGTVといったタッチポイント全ておいて、一貫したメッセージを伝えることが重要だ」とアドバイスする。
続いて、Facebook日本法人であるフェイスブック ジャパン代表取締役の長谷川 晋氏が、日本におけるInstagramの最新の利用状況について説明した。Instagramの日本国内における月間アクティブユーザー(MAU)数は2018年9月時点で2900万。また、男性が全体の43%を占めるようになった。先述したようにInstagramは一般的に若い女性層向けと考えられているが、実際には男性にもリーチできるメディアであることを長谷川氏は強調した。
もう1つ注目すべき点はストーリーズへの急激なシフトだ。ストーリーズの国内投稿数は2016年からの2年間で20倍に増加し、現在では1日当たり700万の動画がシェアされている。
この他、日本市場の特徴として、検索機能の利用が活発である点も興味深い。Instagram上の検索機能を使用するユーザーは20%。調査によれば4人に1人がハッシュタグ検索で情報を入手しており、この数字は世界平均の3倍にもなるという。長谷川氏は「Instagramは発見だけでなくアクションにつながる」と、広告やプロフィールでアクションを促す機能を実装していることに触れ、消費財、食品、アパレル、旅行など、幅広い業種で成功事例があると語った。
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