マーケティングオートメーションやCRMは導入コストも高く運用負担も重い――。本当にそうでしょうか。
マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを活用してリード(見込み客)を獲得・育成し、顧客化する。そして、顧客管理(CRM)・営業支援(SFA)ツールでさらに売り上げを増やす――。マーケティングテクノロジーベンダーが発信するこのようなメッセージを聞いても、中小企業の経営者であれば、魅力的と感じるより先に、自社で導入するにはハードルが高いと感じてしまうのではないでしょうか。
マーケティングのデジタル化が叫ばれてはいるけれど、結局のところ、これらのツールは大企業が代理店と一緒に使うものというイメージがぬぐい切れません。初期導入コストやランニングコスト、運用の難しさを考えれば、中小企業は簡単に手が出せないないのです。
しかし、実はそのハードルの高さは既に解消されつつあります。現在注目されるMAは、むしろ中小企業こそが積極的に導入するべきツールとして進化しているのです。そうしたツールの代表格といえるのが「HubSpot(ハブスポット)」です。
大企業をターゲットにしたMAツールが多い中、HubSpotは会社の規模や業種、業態を問わず導入が可能です。HubSpotによりMAは一部特権階級だけのものではなくなりました。まさに「マーケティングの民主化」を実現したといえるでしょう。
この連載では、HubSpotの活用方法や機能に触れながら、今こそ中小企業のマーケティングがデジタル化されるべき理由を紹介していきます。
最初に、HubSpotでできることについて簡単に説明しておきましょう。HubSpotは見込み客獲得や顧客管理、顧客育成のコミュニケーション、営業など、売り上げにつながるための活動を一貫して支援するツールです。
例えば、見込み客の獲得では、自社のWebサイト上にホワイトペーパーやeBookといった資料などを用意します。そして、資料をダウンロードしようとするユーザーからフォームを通じて(許諾を得た上で)顧客情報を取得するわけですが、この一連のプロセスがHubSpotを使えば簡単に実現できます。また、オンラインで獲得した情報だけでなく、イベントや展示会、営業活動などで獲得した見込み客の情報もHubSpotに統合することで、一元的に管理できます。
獲得した見込み客に対しては、メールや電話などを通じてコミュニケーションを取ります。そこで自社への興味・関心の高まりをスコア化し、購入意欲が高まった段階で適切なフォローをする際にも、HubSpotが活躍します。
よく、MAツールが全く使いこなせず、単なるメルマガ配信システムになってしまっているという失敗談を耳にします。それにはさまざまな問題が考えられますが、そもそも顧客の状況を理解して正しく分類し、適切な情報提供ができていなければ、MAツールがMAツールとして機能しません。導入で失敗しないためには、まず自社のマーケティング課題を正しく認識し、その上で課題に合ったツールの選定と、導入時の設計が非常に重要になります。
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