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» 2018年07月19日 16時00分 公開

B2Bマーケティング、今この人に聞きたい:ビズリーチ青山弘幸氏に学ぶ、事業を成長させるプロマーケターの仕事術 (1/2)

30年にわたりIT系B2B企業のマーケティング支援に携わってきたエキスパートが、マーケティング中心の経営を実践するB2B企業を訪ね、そのチャレンジについて聞く。

[濱口 豊,ビッグビート]

 今回、紹介するビズリーチは、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」をはじめ、さまざまなサービスを展開する。現在、事業承継M&Aプラットフォーム「BizReach SUCCEED(ビズリーチ・サクシード)」のプロデューサーとして活躍する青山弘幸氏に、マーケターの職域にとらわれず、事業を成長に導く秘訣を聞いた。

ビズリーチ青山弘幸氏(左)と筆者(右) ビズリーチ青山弘幸氏(左)と筆者(右)

何も作れないからこそできるマーケターの仕事とは

 人材領域を中心に事業を展開しているビズリーチが、事業承継M&Aの領域に乗り出し、「BizReach SUCCEED」をローンチしたのは2017年11月のことだった。「インターネットの力で、世の中の選択肢と可能性を広げていく」というミッションを持つ同社は、地方創生を目的とした、首都圏外の中小企業の採用支援に取り組む中で、後継者が見つからないために廃業を余儀なくされている企業が数多くあるという現実を目の当たりにした。

 「日本の中小企業は400万社しかないのに、2016年だけでも3万社が廃業していて、しかも、そのうち半分が黒字廃業です。もちろん、全てが後継者不足によるものではありませんが、経営者の高齢化による影響が大きく表れているところなんですね。日本には良いモノ作りの力があるにもかかわらず、多くの優良企業が廃業の危機にさらされてます。私たちが強みとするインターネットの力でこの大きな社会課題の解決の一助になれないかということで『BizReach SUCCEED』の立ち上げに至りました」(青山氏)

 青山氏の前職は、大手インターネット広告代理店のオプトだ。創業間もないビズリーチに転職を決めたのは、ビズリーチには、きちんと価値あるサービスを作る「プロダクトチーム」と、それをお客さまに提供する「ビジネス開発(セールス)チーム」と「マーケティングチーム」の3本柱の組織体制があり、マーケターとしてのキャリアを築けると考えたからだったという。マーケティングで事業を拡大していこうという思想が、青山氏をビズリーチに引き付けた。

 青山氏にとってマーケティングとは何かと聞いてみたところ、「良いモノをつくるためにできること、よりモノをお客さまに提供しやすくするためにできること、事業成長につながること全て」という答えが返ってきた。青山氏のマーケティングの師匠であり、青山氏をビズリーチに誘った創業期の取締役が発した「マーケティングの仕事は、エンジニア、セールス以外全部だ」という言葉が腹に落ちたのだ。

 事実、青山氏の仕事の範ちゅうは多岐にわたる。「BizReach SUCCEED」の立ち上げに当たり、2017年8月に新規事業推進室が設置された。そこに召集された6人のうち3人がエンジニアとデザイナーであり、残りの3人が青山氏を含むビジネス開発のメンバーだ。そこで青山氏は、ビジネス開発の2人の仲間に、事業を譲渡したい人(売り手)と、事業を買って成長したい人(買い手)を集める仕事を託し、青山氏自身はプロダクトの要件定義をエンジニアと共に行いつつ、広報チームと連携した記者会見の準備、マーケティングプランの策定まで、まさにプロダクトを作ることと、お客さまに提供すること以外の全てを請け負った。

青山氏 新しいチャレンジを続ける青山氏。不退転の覚悟で望むと未来が開けたという
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