「よなよなエール」の飛躍を支える熱狂ファンと熱狂社員の育て方「熱狂ブランドサミット 2017」レポート(1/2 ページ)

クラフトビールの世界で成長を続けるヤッホーブルーイング。顧客を熱狂させ、社員を熱狂させるために必要な考え方とはどのようなものだろうか。

» 2017年11月09日 07時00分 公開
[林 渉和子タンクフル]

 「よなよなエール」をはじめとするクラフトビールを製造販売するヤッホーブルーイング。創業以来8年間赤字続きだった同社が国内クラフトビールメーカーの中で圧倒的なシェアを占めるに至り、単なる「お客さま」を超えた「熱狂的ファン」を持つ企業になった背景には、ビールを通じて顧客に喜びと幸せを届けたいと一致団結する「熱狂社員」の存在があった。

 2017年10月26日に開催された「熱狂ブランドサミット2017」では、同社社長の井手直行氏とトライバルメディアハウスの代表取締役社長 池田紀行氏が、熱狂社員を生み出す社内のカルチャー作りについて語った。本稿ではその概要を紹介する。

2shot 左からトライバルメディアハウス代表取締役社長の池田紀行氏とヤッホーブルーイング代表取締役社長の井手直行氏

売り上げは無視してもいいから顧客を感動させよう

 顧客を囲い込むための値引きやプレゼントキャンペーン、ポイントカードといった従来の施策は、競合がまねしやすく、持続可能なブランド戦略にはなり得ない。また、今の消費者は機能的価値ではなく、プロダクトの向こう側にある文脈価値や精神的な価値を求めている。故に「何となく買っている」顧客ではなく、製品やブランドに愛着を持ち、夢中になってくれる「熱狂顧客」を多く生み出すことが重要である――これが、池田氏の唱える「熱狂ブランディング」だ。

 顧客を熱狂させるにはまず、社員が熱狂することが必要だ。井手氏率いるヤッホーブルーイングは、どうやって熱狂社員の育成に成功したのか。

 その答えを探る前に、ヤッホーブルーイングについて簡単に触れておく。同社は「よなよなエール」を看板製品とするクラフトビールの製造販売会社で、国内に200社強あるクラフトビールメーカーの中で高いシェアを占め、業績も12年連続で増収増益を達成している。

 業績もさることながら、同社はマーケティングに携わる人々の間では「顧客を感動させる会社」として有名だ。井手氏自ら社員に対し「売り上げは無視してもいいから顧客を感動させよう」とずっと言い続けている。この考えは井手氏の体験に基づいたものだ。

beer ヤッホーブルーイングのクラフトビール
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