連載
» 2018年11月16日 09時00分 公開

本気で考える広告運用の自動化:広告運用の自動化 できることとできないこと (1/2)

日本の広告運用の現場にも自動化がようやく浸透し始めています。とはいえ、全てが自動化に切り替わるかというと、それも現実的ではないようです。連載の最後に、自動化の現在地について解説します。

[竹下智視,Shirofune]

 広告運用における自動化というテーマで、広告運用の現場における業務特性および現在の自動化技術の特徴を踏まえつつ、過去2回に分けて筆者の見解をまとめさせていただきました。要点としては、以下の2点になります。

  1. 「データのみでの完全自動化」のアプローチでは、広告運用の現場での浸透は課題がある
  2. 必要なのは人と機械がそれぞれ得意領域を組み合わせた「半自動化」のアプローチである

 今回は最終回ということで、広告運用における自動化の現在地、つまり「実際に、何がどこまで自動化できているのか」について解説します。

自動化できる/できないの境界線

 広告運用における自動化できる/できないの境界線を探る上で、まず必要なことが広告運用の業務の定義を明確にすることです。今回は話を分かりやすくするために、具体的にリスティング広告というジャンルに絞って説明してみたいと思います。

 リスティング広告の運用業務は、広告パフォーマンスを最大化することをゴールとした場合、大きく2つのタイプに分類されると考えています。それは「正解がある業務」と「正解がない業務」の2種類です。ここでいう「正解」とは「何をどのように行えば広告のパフォーマンスが上がるのか」が明確な業務のことを指します。一方で正解がない業務には、広告パフォーマンスを上げるための明確なステップが存在せず、試行錯誤が必要になります。

広告運用業務における「正解があること」と「正解がないこと」

 正解を定義できる業務においては、広告のパフォーマンスが明確に数字で可視化されます。また、媒体社が提供するシステムを利用して広告配信を行うことができます。システムにはルール・仕様が存在しますので、それを正しく理解し活用することは、そのまま良い結果につながります。

 リスティング広告の運用業務において代表的なものを5つ挙げ、正解がある業務とない業務のに分類してみました。

リスティング広告の運用業務を正解の有無で分けると《クリックで拡大》

 例えば、「キーワード」については、正解がある方に分類されています。どういうキーワードが良いかは配信実績の結果が数字で明確に分かるからです。リスティング広告の場合、もう日本で展開されて10年以上の歴史がありますので、全く新しいジャンルのサービスを展開するのでなければ、類似したサービスも含めると過去に何らか配信した実績があるケースが多く、1年分ぐらい長期間データを分析することで、結果が良いキーワードを予測することができます。

 マッチタイプは、各登録キーワードについて実際にユーザーが検索したキーワードとどの程度一致したかで広告表示の有無を決定する設定ですが、これは媒体の「システム」が提供している機能ですから、その仕様が複雑だったり変化が激しかったりする部分はありつつも、明確なルールが存在します。そのため、どのキーワードにどのマッチタイプが適切なのかを丁寧に1つ1つ見極めて設定すれば正解にたどり着きます。

 予算・入札管理についても、競合環境や市場ニーズの変化など、読みきれない部分はあるものの、基本的には実績が数字で出てきますので、その数字を適切に解釈し、アクションを行うことが可能です。

 一方、正解がない業務に分類されるのがクリエティブです。特に新規でクリエィティブを作成する際には、数値化された目標値は存在しませんし、個別に個性の異なる多くの人に対して情報で訴求するものになるので、明確なルールや仕様がそもそも存在し得ない場所での勝負になります。そのため、必然的に正解がない業務と分類され、人間の経験や仮説を基にした、試行錯誤でのアクションが求められます。

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