Amazon Echoが切り開く未来にマーケターはどう対応すればいいのか「Future Focus 2018」を読む(1/2 ページ)

新時代を生き抜くマーケティングコミュニケーションとはどういうものか。iProspectの未来予測「Future Focus 2018」から考察する。

» 2018年08月09日 07時00分 公開
[的場啓年iProspect Japan]

 はじめまして。iProspect Japan(アイプロスペクト・ジャパン)の的場です。

 当社は1996年にボストンで設立され、現在は電通の海外本社である電通イージス・ネットワークの代表すべき10のブランドの1つとして、デジタルパフォーマンス領域を中心に活動しています。当社の強みとしては、デジタル広告における戦略立案から予約・運用型まで広告商品全般を取り扱うことに加え、オウンドメディアの最適化やAmazon.comなどサードパーティーeコマースの領域まで幅広く対応していることが挙げられます。また、グローバルネットワークを保有していることから、ワールドワイドに展開するビジネスを支援しています

 iProspectでは、マーケティングビジネスのトレンド予測レポートを毎年リリースしています。その2018年版である「Future Focus 2018」(注)においては、2017年末にグローバルのクライアント企業250社を対象に、2018年に彼らの事業が直面する重要課題と、急速に変化し大きな期待を集めるデジタルエコノミーで成長し続けるための優先事項について分析しました。本年度は、以下のトピックスを中心にまとめられています。

  • AIと機械学習がマーケティングを変える
  • いつでもどこでも購入が可能な世界
  • デジタルアシスタントの台頭
  • カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の強化

 各トピックスについては第2、3回でiProspect APACのネイト・シュリラが詳細に解説しますが、今回は今起こっている変化にマーケターがどう向き合うべきかというテーマで、私の大まかな考えを述べてみたいと思います。

注:「Future Focus 2018」は文末の関連リンクからダウンロードできます。

自身が体験することで見えるもの

 私たちのようなデジタルエージェンシーのプランナーやブランド側でマーケティングを担う人たちは、新デバイスや新サービスの流れをいち早くくみ取って、コミュニケーションの形や方法を考えていかなくてはなりません。最近ではスマートフォンやスマートスピーカーなどがそれに当たるでしょう。

 全てのサービスやデバイスを利用したり保有したりするのは難しいことです。しかし、やはり実際に自分で使ってみないことには、新しいデバイスがもたらす世界とそこで巻き起こるコミュニケーションの形は見えないということを実感しています。なぜ私がそう実感したのかというと、世の中的に騒がれているAmazon Echoに触れてみて、まさにコミュニケーションの形の変化を体験したからです。

 私は「Amazon Prime」会員なのでEchoが抽選販売されていたときから購入するか悩んでいましたが、結局ずっと先送りしていました。しかし、EchoがPhilips Lightingのパーソナルワイヤレス照明「Philips Hue(ヒュー)」と連携できると知り、購入を決断したのです。

 AmazonではEchoとHueをセットで販売しています。Hueは以前から持っていましたが、この機会にとEcho対応の新しい「Hue ブリッジ」に買い換えました。

 正直にいうと、購入するまでもスマートスピーカーのことを表面上は分かった気でいたし、今はまだトレンドとして何となく知っている程度で十分だと思っていました。しかし、いざ使用してみると認識が変わりました。特に、Hueがこれまでと異なる製品なのではないかと感じる程に便利になったことに、大きな驚きがありました。

 過去に私はHueに仕事で携わったことがあるのですが、その頃もしスマートスピーカーがあれば、全く違う打ち手があったのではないかと考え始めました。同時に、実体験なくして新しいプラットフォームやデバイスを軸にしたコミュニケーションプランなど、できるわけがないことも確信したのです。

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