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» 2012年07月27日 08時00分 UPDATE

【連載】ビッグデータアナリティクス時代のデジタルマーケティング:第1回 ビッグデータアナリティクスの全体像 (1/2)

情報技術とマーケティングの関係は今後ますます密接になっていく。では、ITの世界はいま、どうなっているのか? そして、今後どうなるのか? 伊藤忠テクノソリューションズの大元隆志氏が5つの技術トレンドと3つのパラダイムシフトを切り口に、マーケターにとっての「ITのいま」を読み解く。

[大元隆志,伊藤忠テクノソリューションズ]

新たな情報化社会の出現

 永らく続いたPC中心の時代は終わりを告げ、ITを取り巻く環境は大きく形を変えようとしている。その変化は単なる技術の変化に留まらず、利用する側をも巻き込み、新たな情報化社会を創りだそうとしている。

 大きな変化の渦は、従来の職業に対する概念にも変化を与えている。特定の職種だけに求められていたスキルが、職種の垣根を越えて必要とされるようになってきた。その中の1つにマーケティングも含まれるのではないだろうか。

 ITの発達により、従来から存在する専門職のマーケターはより高度な専門知識を必要とされ、その他の職種にもマーケティングという知識が、より多くの職種でビジネススキルの基礎として必要とされる時期が訪れている。本連載では「メディア」的な煽りを抜きにして、マーケターの方々にITの現場で起きている「リアル」を伝えたい。第1回の今回はビッグデータアナリティクスが必要とされる時代背景を解説し、ビッグデータはバズワードなのかという市場の疑問に答えたい。

急激に変化するIT

 現在、ITの世界では数十年に一度の大変革が起きている。マーケターにとって、これからの10年を理解するために重要な5つのキーワードを紹介する。

(1)コンシューマライゼーション

 「コンシューマライゼンーション」とは、2006年にアメリカのIT系調査会社ガートナーが提唱したキーワードだ。従来、最新の情報技術はまず軍が開発し、それを民間企業が利用し、消費者に提供するという流れがあった。しかし、現在は、まず民間企業で最新技術が開発され、それが消費者に提供される。消費者によって鍛えられたサービスをさらに企業や軍が利用するという、技術開発と採用プロセスの逆転現象が起きている。これをコンシューマライゼーションと呼ぶ。

 ここまでなら単なる用語の解説だが、コンシューマライゼーションとは大多数の消費者に支持された技術がやがて企業や政府も巻き込む「デファクトスタンダード」になるということを理解しなければならない。

 従来のように、最新技術を軍が保有し、それが民間企業に転用されるという流れであれば、政府が未来の技術革新をある程度予測することが可能であった。しかし、コンシューマライゼーションの流れは技術革新の主導権を、軍や政府から「民意」にゆだねることになった。

 政府予測に基づく技術革新が中心であった時代には、10年後の未来予測はある程度推測することが可能だった。しかし、「民意」主導の技術革新は「何が起きるかわからない」。コンシューマライゼーションの潮流によって、未来予測が非常に難しい時代が訪れていることを理解しなければならない。

(2)クラウドコンピューティング

 自社でリソースを所有するのではなく、インターネット上のリソースを利用することで、膨大な初期投資を行うことなく、巨大なストレージや無限とも思えるほどのサービスを瞬時に活用することができるようになった。

(3)ソーシャルメディア

 今や9億人が参加するFacebookやTwitterによって、情報にアクセスするための道具に過ぎなかったインターネットが、人と人を繋ぐプラットフォームに姿を変えようとしている。

 膨大な人々を瞬時に繋げるこの新しいテクノロジーは、変化を加速させるアクセラレータとしても機能する。

(4)モバイルグランズウェル

 これは、わたしの造語だが、スマートデバイスに代表されるモバイルデバイスの破壊的イノベーションを意味している。2009年前後からモバイルファーストという言葉が注目され出したが、この言葉は「WebアクセスはPCではなくモバイルから」という、単に「導線」の変化を指したものだった。

 しかし、スマートデバイスの急速な普及は、単なる導線の変化だけではない。キャリアはスマートデバイスによって垂直統合モデルの変化を余儀なくされた。テレビ業界は消費者の視聴時間をスマートデバイスに奪われている。ゲーム業界はスマートデバイスに大きな期待を寄せつつも、戦々恐々としている。モバイルグランズウェルのイノベーションは、従来のビジネスモデルを破壊しながら成長を続けている。

(5)Internet of Things

 物と物が通信するインターネット。ITUで研究が進んでいたNID(Network Aspects of Identification Systems)やUSN(Ubiquitous Sensor Network)に、Smart Grid、 ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)、 Home ICTなどさまざまなユースケース群が登場し、これらをまとめる概念的な存在としてInternet of Thingsという概念が登場した。

 2020年には500億の「機械」と50億人の人々がインターネットに接続され、人中心のインターネットから、「機械」中心のインターネットに変貌すると予測されている。

 人間1人につき、約10台のデバイスやセンサーが、人に代わってインターネットへ情報を伝える目となり耳となる。

 車のパーツや信号機、携帯電話の基地局などさまざまな物にセンサーが取り付けられ、走行中の車から道路の渋滞情報をリアルタイムに取得することで、より正確なナビを作ることができるようになった。携帯電話の基地局に取り付けられたセンサーから花粉の量を検出し、花粉症の被害を測定する試みも行われている。

 人に変わって物が状況をクラウドへ伝える。これにより、インターネットを利用していない人々の情報がインターネットに集約され、リアルな世界の情報がインターネットに反映されるようになった。

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