「ゼロクリック検索」とは? SGE時代の検索の変化と5つの対策を解説SEOタイムズ編集部が初心者向けにわかりやすく解説

SEO専門家やマーケター、そして情報を求める人々にとって、「ゼロクリック検索」はどのような影響を及ぼすのでしょうか。

» 2024年03月28日 09時00分 公開
[谷川祐一SEOタイムズ]

 近年、「ゼロクリック検索」と呼ばれる現象が定着しつつあり、検索エンジンの利用方法に大きな変化が起きているのをご存じでしょうか。

 この記事では、ゼロクリック検索が何であるか、これからの検索対策がどのように変わるのかを探ります。

ゼロクリック検索の定義と重要性

 ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索エンジンで情報検索した際に検索結果ページ(SERP)上で直接答えを得て、Webサイトへ訪問せずに検索行動を終了させる現象です。

検索エンジンのアップデートなどにより、ユーザーは検索して求める情報をSERPだけで得られるようになりました。ユーザーにとっては、迅速に情報を得られるメリットがありますが、Web担当者にとっては、Webサイトへの流入数が減少する恐れがあるため、SEO対策やマーケティング戦略の見直しが必要になります。

 Googleなどの検索エンジンは昨今、ユーザーが必要とする情報を検索結果ページだけで提供できるように機能を充実させています。強調スニペットやナレッジパネルなどがその代表です。詳細は後述しますが、これらの機能により、ユーザーはWebサイトを訪れることなく情報を得られるようになりました。

 一方、情報へのアクセスがますます簡単になった現代社会では、ユーザーの側にもより早く答えを得たいという心理が働きます。検索結果ページだけで満足してWebサイトへの訪問を省略する傾向があり、こうしたこともゼロクリック検索の増加を後押ししていると考えられます。

ゼロクリック検索とSGEとの違い

 SGE(Search Generative Experience)は、Googleが開発した新しい検索機能で、生成AIを活用してユーザーと対話形式で情報を検索できるようにするものです。AIが生成した回答を検索結果ページに表示することができるため、ユーザーが自身でWebサイトに訪問しなくてもジりたい情報が得られるようになりました。SGEには以下のような特徴があります。

  • 対話形式で検索できる
  • 関連するWebページへのリンクが表示される

 SGEが普及すればさらにゼロクリック検索が加速していくと予想されますが、SGEとゼロクリック検索は同じではありません。主な違いは以下の2つです。

  • SGEは対話形式での情報提供が可能
  • SGEは生成AIが表示コンテンツを見極めている

 ゼロクリック検索では、検索結果ページに直接答えが表示されます。シンプルな質問の場合にはこちらの情報が非常に便利です。それに対しSGEは対話形式で回答し、ユーザーが追加の質問をすることもでき、内容を引き継ぎながらの検索が可能です。この対話形式の検索は、ユーザーがより詳細な情報を得るために有用で、情報の精度を向上させることができます。

 ゼロクリック検索は、検索に対して最も適当とされる答えが表示される形になっています。その内容は既存のコンテンツから探し出すのに対し、SGEではAIがユーザーの検索クエリを理解し、それに対する最適な回答を生成する仕組みです。

ゼロクリック検索の影響

 現代では、より素早く情報収集をしたい、答えが欲しいという傾向が強まっています。この傾向はゼロクリック検索率にも反映されています。SEO専門会社のSparkToroのレポート(外部リンク/英語)によると、ゼロクリック検索は2020年6月時点で64.82%を占めています。現在はさらに高い数値となっているかもしれません。

 セロクリック検索のSEOへの影響は大きく、Webサイトのトラフィック減少につながる可能性があります。検索結果ページで直接情報を提供することにより、ユーザーがWebサイトを訪れる機会が減少するため、ページビューやセッション数の減少が予想されます。特に天気予報や単純な事実の確認など、簡単な情報を求める検索では顕著です。

 またGoogleがユーザーの利便性を向上させるために検索結果の上部に回答を記載する「強調スニペット」など、現在も新しい機能が次々に導入されています。そのため、強調スニペットの対策ができていなければ、競合に読者を奪われてしまう可能性が高いでしょう。

 一方でゼロクリック検索によってモチベーションの高いユーザーのみが流入することで、結果的にコンバージョン率が高まるという見方もできます。

ゼロクリック検索への対策5選

 セロクリック剣先への対策としては、以下の5つが考えられます。

対策1:強調スニペットに選ばれるコンテンツを作成する

 一番の対策は、強調スニペットに表示されることです。検索結果ページのトップに表示されることで、Webサイトを見てもらえる可能性が上がります。強調スニペットに表示されるために以下の2点を心がけましょう。

  • 適切な回答とキーワードを使用する
  • 興味を引くタイトルを作成する

 まずは基本として、ユーザーがどのような情報を求めているのかを理解し、それに対する明確な回答を用意します。検索されやすいキーワードやフレーズを選び、それらをコンテンツに適切に組み込みましょう。検索されやすいキーワードは、競合記事を調べてニーズを分析したり、関連キーワードを指標としたりして選択できます。その上で検索クエリに対する直接的な回答を、記事の冒頭や見出しに配置することで、Googleが回答として抽出しやすくなるようにしましょう。

 投稿した記事が検索エンジンに登録・評価される際には、コンテンツの内容以外にタイトルも評価基準になります。検索エンジンは、タイトルがユーザーの検索クエリに対して関連性があるかどうかを確認し、そのコンテンツの価値を評価します。

 検索キーワードを記事に組み込むのはもちろんのこと、記事の内容が分かるようなタイトルを付けましょう。読者に対して信頼性を与え、クリック率を向上させることができます。例えばゼロクリック検索に関する記事であれば「ゼロクリック検索時代のSEO対策は?」「SGEにも対策が必要?」など、ユーザーが自分事として捉えられるようなタイトルも一つの案です。ユーザーの悩みや興味を引くような言葉などを取り入れて、興味を引くタイトルを作成しましょう。

対策2:ナレッジパネルを活用する

 ナレッジパネルを活用することでユーザーが求める情報を迅速に提供でき、より良いユーザーエクスペリエンスを提供できます。ナレッジパネルは検索結果の右側にボックス型で表示され、特定の人物、場所、事物などに関する詳細情報が表示されるものです。

ナレッジパネルの表示例

 ナレッジパネルに表示されるためには以下の準備が必要です。

  • Googleマイビジネスで情報更新する
  • 企業情報の詳細を記載する

 ビジネスプロフィールに登録し、必要な情報を提供することで、ナレッジパネルに表示される可能性が高くなります。検索結果の目立つ場所に情報が表示されるため、ぜひ利用しましょう。Googleマイビジネスに企業情報を登録し、確認済みオーナーになることで、住所、連絡先情報、ビジネスのタイプ、写真などを指定または編集できるようになります。さまざまな情報が登録できるため、検索したユーザーがページにアクセスせずともすぐに情報を確認できる可能性が高まり、ユーザーの利便性向上につながります。

 なお、こちらは主に店舗型ビジネスを行っている方向けのサービスであるため、全ての人に当てはまるわけではないことは知っておいてください。

対策3:画像検索へ対応する

 ゼロクリック検索に対応する上で、視覚的アプローチも一つの手段です。文章を「読む」のとくらべて、画像を「見る」方が情報量も多く一目で理解しやすいため、画像検索での訴求は高まっています。画像検索時にオリジナリティーがあり分かりやすいと判断されれば、検索エンジンの評価も上がります。視覚的要素を取り入れることで、ゼロクリック検索においてもユーザーに価値を提供できるでしょう。

対策4:リスティング広告を活用する

 リスティング広告とは、検索結果の上部に表示される広告のことです。強調スニペットよりも上部にサイトが表示されるため、Webサイトを訪問してもらえる可能性が上がるでしょう。

 しかし、リスティング広告で上位に表示されるには、競合状況次第ではコストが高くなるため、注意が必要です。また、ユーザーのニーズと合致した広告を提供し、品質スコアを上げることも重要です。広告を最適化し、ユーザーの関心を引き付ける要素を組み込むことが必要でしょう。

対策5:SNSなど他の媒体からの集客を狙う

 集客をSEOだけに頼らずに、他の媒体を用いて自社の情報発信を増やすことも対策の一つです。検索してサイトを見てもらう以外に、SNSからの流入を狙うことで、よりユーザーがアクセスしてくれるでしょう。InstagramやX、Facebookなどの投稿内にリンクを張り付けることで、SNS運用次第では通常の検索にも劣らないアクセスが見込めるかもしれません。

 これらの対策を行った後は、必ず検索順位の確認をして有効な対策であったかを確認しましょう。

これから検索はどうなるのか?

 ゼロクリック検索により、ユーザーが検索エンジン上で直接回答を得られるため、今後もWebサイトへの訪問は減少する可能性があります。

 また、SGEの登場により検索エンジンはユーザーの質問にAIが回答を生成し、表示するようになりました。AIも続々と登場しているため、検索エンジンとAIの連携は高まっていくと考えられます。

 ユーザーは検索結果だけで必要な情報を得られる傾向が高くなり、ユーザーの満足度が上がる一方、Webサイトへのアクセスがさらに減る可能性があるでしょう。

 しかし、SGEは検索クエリに回答するだけでなく、関連するwebページへのリンクも提供するため、これを活用した新たなトラフィックの流入が生まれるかもしれません。


 ゼロクリック検索はWebページへの訪問を減少させる一因となっています。また、SGEもWebページへの訪問に影響を及ぼす可能性があります。そんな時代のSEOは、強調スニペットやナレッジパネルの活用、画像検索への対応、SNSによる発信など、さまざまなやり方で対応していく必要があります。今後もゼロクリック検索をはじめ最新の動向をみつつ、柔軟な対策を行っていくことになるでしょう。

執筆者紹介

谷川祐一さん

谷川祐一

たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム マネージャー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(マネージャー)としてSEO初心者向けオウンドメディア『SEOタイムズ』とSNS運用代行サービスの立ち上げをおこなう。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。


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