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» 2017年07月10日 07時00分 UPDATE

【連載】ニューロマーケティングで「1つ上」のCRM 最終回:そのとき顧客の感情が動いた――Yahoo! JAPAN、花王グループカスタマーマーケティング、京都市役所の事例 (1/2)

脳科学の知見を応用して顧客の本音を探る「ニューロマーケティング」。今回はYahoo! JAPAN、花王、京都市役所における活用事例を紹介する。

[和田直之, シナジーマーケティング]

 「ニューロマーケティング」を使った顧客理解の手法について解説する本連載もいよいよ最終回。前2回では顧客の無意識に“刺さる”テレビCMや商品パッケージのデザイン選定にニューロマーケティングの知見が生かされている例を紹介しました。最終回ではより幅広い用途、ユーザー企業像に目を向け、ニューロマーケティングの高いポテンシャルについて知っていただきたいと思います。

その広告は見られているのか

 ネット広告は本当に見られているのか、それとも単に目に入っているだけなのか。広告主サイドで予算を預かる立場にある人ならば誰でも気になるところです。

 Yahoo! JAPANは、画像や映像を用いた多彩な広告表現が可能な同社の広告商品「Yahoo!プレミアム広告」におけるクリエイティブ評価を行いました。

 被験者へ数種類の「Yahoo!プレミアム広告」を提示し、その際の生体反応(脳波、アイトラッキング、表情認識)を測定することで、どこをすればもっと反応が良くなるのかといった修正すべき点を見つけられるか、市場に投下した際の広告効果の予測が可能かどうかを検証しました。

 それぞれの広告が持つ刺激要素と、それらを体験した被験者の情動(感情の動き)を抽出すことで、単に被験者が「広告を見たか」「どの部分を見たか」だけでなく「集中して見たか」「見てどう感じたか」を可視化でき、広告のインパクトと好感度の分布を掲載面のエリアごとに評価することができました。

 残念ながら実際の評価結果はお見せできないのでサンプルで説明しますが、今回は下図のように可視化しました。前回「競合の中から選びたくなるデザインとは? 『無意識』を探って決めた『白鶴 まる辛口』の新パッケージ」で紹介した白鶴酒造のパッケージ評価と同様に、あらかじめ評価する興味関心領域(AOI)を定義し、見たときの「感情価」(快/不快)を色分け(右図緑と赤の●)した上で、広告面のエリアごとにユーザー反応を集計しました(グレー、青、オレンジの棒グラフ)。

 また、市場に投下した際の広告効果の予測を確かめるため、ニューロ調査結果と各広告の市場反応のCTRを比較したところ、脳波とCTRに相関関係が確認できました。

 近い未来には、事前にニューロ調査を実施することで、その素材(広告)を実際の市場に投下した際の反応を予測できる可能性が出てきたといえます。

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