まとめ
» 2017年06月08日 11時00分 UPDATE

業績好調の企業ほど顧客体験に注目:「C Channel」「パーソル」「ショップジャパン」――顧客体験の向上へ、デジタル変革先進企業がやっていること (1/2)

顧客への良質な体験の提供は企業が成長するための第1歩。それを実現するために欠かせないのがデジタル変革だ。急成長中のスマホ動画アプリ「C Channel」提供企業をはじめとする先進事例に学ぶ。

[冨永裕子,ITmedia マーケティング]

 2017年5月23日、アドビシステムズは「デジタル×エクスペリエンスフォーラム2017」を開催した。アドビシステムズ代表取締役社長の佐分利ユージン氏は冒頭の基調講演でAdobe Summit 2017で話題となったエクスペリエンスビジネス(関連記事:「なぜ“マーケティング”だけでは足りないのか――『Adobe Experience Cloud』誕生の理由」)について触れ、「業績好調の企業ほど顧客体験に注目している」と述べた。

 顧客体験の向上は戦略的な優位性確立につながる。デジタル変革を経営やビジネスそのものと考えると、見える景色は違ってくる。順調にデジタル化を進める企業のリーダーたちは今、何を考えているのだろうか。

 本稿では同イベントの中から「先進企業の挑戦!〜最高の顧客体験を提供するためのデジタル変革」をテーマに繰り広げられたパネルディスカッションの概要を紹介する。


 登壇者はオークローンマーケティング デジタルマーケティングディビジョン ダイレクター 高芝康二氏、テンプホールディングス 取締役執行役員 グループCIO 小澤稔弘氏、C Channel 取締役 CCO(チーフクリエイティブオフィサー)三枝孝臣氏の3人。モデレーターはアドビシステムズ DMSコンサルティング部 部長の祖谷考克氏が務めた。

 ディスカッションは、祖谷氏がそれぞれのパネリストに、どのようにデジタル変革を進めているかを聞くところから始まった。

オークローンマーケティング――購入後まで続く体験に着目

オークローンマーケティング オークローンマーケティングの高芝康二氏

 オークローンマーケティングは、テレビショッピングで有名な「ショップジャパン」を運営している。同社のビジネスモデルは海外からえりすぐりの商品を調達して販売するものであり、29分の番組型広告(インフォマーシャル)を通して徐々に購買を喚起するというものだ。腹筋マシンの「ワンダーコア」のようなフィットネス分野の商品発掘は同社が最も得意とする分野といえる。

 高柴氏によれば同社は「Before/After/After」の考え方を重視しているという。「Before/After」までならよくある話だが、それに加えて、ダイエットや筋肉増強に成功した結果、ライフスタイルがどう変わったかまでを映像に反映させるようにしているのだ。

 「ダイエットや筋トレは挫折が大敵だ。商品を売ったら終わりではなく、一人一人の顧客とのコミュニケーションの中で、それぞれの自己実現をサポートすることを将来的な強みにしていきたい」と高柴氏は語る。

テンプホールディングス――経営統合を機にビジネスプロセス変革

テンプホールディングス テンプホールディングスの小澤稔弘氏

 グループブランド「PERSOL(パーソル)」を打ち出し、人材ビジネスの世界で存在感を増すテンプホールディングス(※)。紙のやりとりが膨大な人材企業がデジタル変革に期待しているのはどんなことだろうか。

 小澤氏は、企業文化が全く違うテンプスタッフとインテリジェンスが経営統合したときの苦労談を紹介した。「インテリジェンスが業務プロセスをできるだけシステム化する企業だったのに対し、テンプスタッフは正反対だった」と小澤氏は振り返る。

 デジタル化に踏み切った背景には、「働き方改革」によるコンプライアンス要件の厳格化があった。デジタル化のメリットは大きい。小澤氏は「電子サインの領域ではコスト削減効果が大きい。さらに証拠が残るのでコンプライアンス対応の効果も期待できる。最大の効果はスピードだ。スピードは自分達の意思でコントロールできる」とデジタル化のメリットを挙げた。

※2017年7月1日付でパーソルホールディングスに社名変更予定。

C Channel――スマホ動画に最適な顧客体験は「1分間で縦型」

CChannel C Channelの三枝孝臣氏

 C Channelが提供する「C CHANNEL」は、F1層(18〜34歳の女性)をターゲットとしたメディアだ。商品特性を動画で伝えて関心を持ってもらい、行動、購買につなげることができるよう動画コンテンツに強みがある。同社が注力するのは、ヘアケアやメーク、料理にネイル、DIYなど、若い女性が興味を持つ分野だ。カテゴリーごとに1分間のハウツー動画で情報を配信している。また、コンテンツをFacebookやTwitter、Instagramといったメディアに合わせて再編集し、同時配信している。いわゆる「分散型メディア」としてのアプローチだ。

 三枝氏によれば、動画の尺を1分間に決めた理由は、それがスマートフォンのユーザー体験に適した時間であったためだ。スマホの場合、途中で離脱するタイミングが平均45秒から1分だという。そこで動画の制作時は、早回し(タイムラプス)を使って映像にスピード感を持たせることにしている。また、当初は横型だった撮影規格を縦型に改めた。これも、スマホ撮影の場合、横より縦の方がより優れた体験を提供できると考えてのことだ。この発見は、情報を発信するインフルエンサー(C Channelではクリッパーと呼ばれる)が、誤って縦型で撮影したチョコレートショップの動画が思いの外素晴らしかったことが貢献したという。

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