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» 2018年11月29日 14時00分 公開

マーケ×IT×HR:マルケトが自ら実践、マーケティングオートメーションは採用活動に使えるか (1/2)

人材採用のプロセスはマーケティングに似ている。ならば、それにふさわしいツールが使えるはず。しかも自社で提供しているツールが……というマルケト人事部門の取り組みを紹介する。

[水落絵理香,ITmedia マーケティング]

 人材確保は多くの企業の共通課題だ。そして、人事担当者は皆、従来の採用手法に閉塞感を覚えている。「広告が響かなくなってきた」「潜在層への長期的なアプローチが必要」「エージェントに依存し切っている」といった、どこかで聞いたような悩みを口にする担当者は多い。「どこか」とはどこか。そう、ITmedia マーケティングのコアな読者層である企業のマーケティング部門が抱える課題と人事部門の課題が似通ってきているのだ。

採用とはマーケティングである

 採用をゴールと見立てれば、自社を知ってもらい、自社への興味を喚起し、エントリーという名のコンバージョンに導くプロセスは、マーケティングそのものといえる。現代のマーケティングにおいては、課題解決を助けるためのテクノロジーが発達著しい。中でもマーケティングオートメーション(MA)は代表的なツールといえる。

 ならば、採用にもMAが活用できるのではないかと、マルケトではMAツールを人事部門へ提案することを模索し始めている。

(出典:マルケト)

 課題とツールが提供できる機能の方向性は一致している。導入の動機付けを強化するためには、実例が欲しいところだ。そこでまずマルケトは、自社の中途採用の現場にMarketoを導入することにした。「隗(かい)より始めよ」だ。

 超売り手市場で人材獲得競争が激化する今、採用の現場に必要なのは志望者(顕在層)向けの施策だけでない。現在マルケトのことは知らなくても業務に適性があり社風になじむ可能性の高い人(潜在層)にアプローチし、興味関心を喚起するナーチャリングの仕組みも必要になってくる。

 応募者の選考状況や評価を可視化するツールとしてはATS(採用管理システム)があるが、これはセールス・マーケティングのプロセスでいえばSFA/CRMに当たるものといえる。SFAを導入して営業の生産性を上げても、そもそものパイプラインが太くなければ意味がないのと同じで、まずはリード、つまり志望者を増やさなければいけない。

 マルケトの千葉修司氏は、大日本印刷やアクセンチュアで主に人事畑のキャリアを積み、現在はマルケトの人事部門長に当たるタレントエンゲージメント&オペレーションディレクターを務める。千葉氏は次のように指摘する。

 「これまでの人事部門は、応募やエージェント経由での紹介を受動的に受けているだけでした。その状態では、採用力がつかない」

マルケトの千葉修司氏

 コスト面の課題もある。エージェント経由で採用する場合、一人当たり数百万円単位のフィー(手数料)が発生する。100人採用すればそれだけで億単位の負担になる。しかし、それだけコストをかけて獲得しても、実際に入社してみるとマッチしなかったり、すぐに辞めてしまったりするケースはゼロにはできない。

 「マーケティング部門でMA導入というとROI(費用対効果)が課題になりますが、人事部門では現状を考えれば年間で2、3人採用できればペイできてしまいます。また、これまでリーチできていなかった層に適切なタイミングで適切なコンテンツをもって訴求することで副次的な効果も期待できます」と千葉氏は語る。

 これまでのマルケトの中途採用は、エージェント経由が8〜9割を占めていた。同社には毎月90本近い応募が来るという。その中で実際に採用につながるのはほんの2、3人にすぎない。一人の応募者に携わる面接官は5〜10人で、当然面接官ごとに評価は異なる。それらの評価をどうまとめ、誰に内定を出すのか、全て採用担当者の頭の中で完結されるという超属人的な採用体制だった。もちろん、こうした悩みはマルケト独自のものではない。千葉氏が複数社にヒアリングしたところ、同様の状態にある企業がほとんどだったという。

 今後、採用を強化するに当たり従来のやり方を続けてもらちがあかないと判断し、マルケトは2018年6月から新たな取り組みを開始した。それが、CMS(コンテンツ管理システム)とMA、ATSの連携による「採用マーケティング」の取り組みだ。

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