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» 2017年06月19日 14時00分 UPDATE

「Krux」がブランド変更:「Salesforce DMP」がB2Cマーケティングを成功に導く3つの要素 (1/2)

「Salesforce Marketing Cloud」傘下で「Salesforce DMP」として生まれ変わったDMP製品「Krux」。国内提供開始に当たって説明された製品ビジョンとは何か。

[冨永裕子,ITmedia マーケティング]

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 セールスフォース・ドットコムは2017年6月13日、「Salesforce DMP」の国内提供開始を発表した。同製品は2016年11月に米Salesforce.comが買収したKrux Digital(以下、Krux)が提供していたデータマネジメントプラットフォーム製品をリブランドしたもの。新生Salesforce DMPは「Salesforce Marketing Cloud」の傘下に入り、主にB2Cのマーケターが顧客のセグメンテーションやターゲティングの精度をさらに向上させるためのデータマネジメントを支える製品になるという。

 本稿では、Krux 共同創業者で現在は Salesforce.comにてSalesforce DMP CEOを務めるトム・チャベス氏の講演内容を基に、Salesforce DMPの製品ビジョンについて解説する。


買収までの経緯

トム・チャベス氏

 セールスフォースが開催したイベント「Salesforce for Marketing Executive Networking Day」のために来日したチャベス氏は、現在の企業と消費者の間に必要のない摩擦が起きていたこと、モバイルやモノのインターネット(IoT)の登場で膨大な量のデータが生まれていることの2つに着目し、2010年にKruxを設立した。

 企業にとって、データとは顧客がどんな個人かを理解するためのシグナルだ。Krux設立当初は、さまざまなソースからデータを収集し、顧客接点とデータをつなぐ「コンシューマーデータファブリック」の構築を考えた。後にDMPとなるKruxのビジネスが成功に至った鍵は、「信頼を最大の前提条件にしたこと」とチャベス氏は振り返る。

 B2Cのマーケターにとっては、データの所有権を尊重することが重要だ。中には、ブランドとつながりたくないと考える顧客もいる。だからKruxではDMPを提供する際、データセキュリティや信頼感を大事にしていることを前面に出すようにしたというのだ。また、Kruxのビジネスでは、「全てのデータは捨てることのできない貴重なもの」と位置付けられた。

 「KruxがSalesforce.comという顧客中心主義の大きなファミリーの一員になったことで、スタンドアロンの製品を提供するより大きなインパクトをマーケターに提供できるようになった」とチャベス氏は語る。

新生Salesforce DMPが顧客に提供できる価値

 KruxがDMPで実現してきたことは何か。チャベス氏によればDMPの中核的な機能とは、「あらゆるデータを収集すること」「集めたシグナルを1つにまとめること」「セグメンテーションを行うこと」の3つだ。では、それらの機能を使うことで具体的に何ができるか。チャベス氏は以下の5つの分野におけるDMP活用事例を紹介した。

プランニング

 ブランドに関心がある広告メッセージの受け手(オーディエンス)を特定し、その人々と類似するオーディエンスを探すプロセスだ。ターゲットを探す場合、属性情報に頼りがちだ。Heinekenのようなビール会社であれば、国によって差はあるが概ね18〜46歳ぐらいの男性をターゲットに考える。また、「Bud Lightが好きな人はカントリーミュージックが好き」「Corona Extraが好きな人はサッカーの試合が好き」というイメージも影響する。Heinekenの場合、属性情報に加えて、購買履歴、嗜好、行動データなどさまざまなデータを基に、ターゲットについてもっと詳細なモデルを作れば、Heinekenブランドを好む人に的確にリーチできるはずと考えた。Kruxで特定したオーディエンスに対してメディア連携キャンペーンを実施した結果、ターゲットリーチを25%改善できた。

アクティベーション

 特定したオーディエンスにタイムリーにリーチすること。化粧品会社のL'Oréalでは、Kruxユーザーのメディアパートナーを介して、特定のシャンプーブランドを好む女性たちをターゲットに設定した。さらにそのターゲットの住む地域まで特定する絞り込みを行い、リアルタイムにターゲットオーディエンスにリーチできるようになった。その結果、ターゲットリーチが30%改善した。

パーソナライゼーション

 適切な形で適切なメッセージを適切なタイミングで配信することだ。食品メーカーのConagra Foodserviceは、Hunt'sのトマトソースの販売を伸ばそうと考えた。メディア会社のMeredithが運営するレシピサイト「Allrecipes」を介して、まさにその日の夕食にパスタを作ろうと考えている女性に絞り込んだアプローチもできるようになった。詳細なパーソナライゼーションが可能になった結果、ROAS(Return on Advertising Spend、広告費用対効果)が10%向上した。

オプティマイゼーション

 最適なメディアバイイングを行い、広告配信をコントロールすることはマーケティング予算の最適化に役立つ。シリアルメーカーのKellogg'sの場合、マーケティング予算は数十億ドル規模になる。同社ではポイントプログラムを運用していたが、会員のロイヤリティー(忠誠心)にはそれぞれ差がある。一律にアプローチすると、本来ならば重点的にアプローチしなければならないターゲットに十分なお金をかけることができない。会員一人一人の広告表示回数をリアルタイムに確認し、誰にメッセージを送るべきかをコントロールできるようにした結果、年間2000万ドルものコスト削減を達成した。

インサイト

 インテリジェンスはマーケターの意思決定全てに役立つ。Subaru Australiaは、アトリビューション分析に積極的だ。Web解析担当者としてはクリック数やCVR、CPAが気になる。しかし、動画で自動車が走っているところを見てもらうことよりも、ディーラーに来てもらい、試乗して購入を決めてもらうことが本来の目的のはずだ。その目的を達成までの最初の一歩がクリックとすると、最後の購入に至るまでの中間プロセスで全てのイベントが購入にどう貢献しているかを可視化する必要がある。これがアトリビューション分析であり、取り組みの結果ROASの15%向上を実現した。

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