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» 2017年04月18日 07時00分 UPDATE

「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」レポート:「新しいEC(Engagement Commerce)」の時代とは――オイシックス 奥谷孝司氏が語る (1/2)

新しいオムニチャネル、そして「新しいEC(Engagement Commerce)」とは。「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」から、オイシックスの奥谷孝司氏によるスペシャルセッションをダイジェストで紹介する。

[下玉利尚明,タンクフル]

 ガートナー ジャパンは2017年2月21、22日の2日間、東京・有明の東京コンファレンスセンター・有明で「ガートナー カスタマー 360 サミット 2017」を開催した。ゲスト・スペシャルセッションには、有機野菜や自然食品のEC事業を展開するオイシックス執行役員 統合マーケティング部部長 Chief Omni-Channel Officer 奥谷孝司氏が登壇し、「Omni-Channel時代のマーケティング戦略 〜お客様と時間を共有し、絆を深めるDigital Marketing〜」と題した講演を実施した。

 良品計画で長きにわたりデジタルマーケティング部門をけん引し、Webとリアル店舗をつなぐ施策をけん引してきた奥谷氏。現職でもオムニチャネルを推進するこの道のエキスパートは、顧客を購入へ導くための小売店の販売戦略についてどう語ったのか。本稿で概要を紹介する。


商品購入に至るまでの「顧客時間」をいかに可視化するか

奥谷氏 オイシックス 奥谷孝司氏

 オンラインショップに限らずリアル店舗でも、顧客が品物を比較・検討し、購入を決定するまでの過程は決して単純ではない。例えば、1本のペットボトルをコンビニエンスストアで買う際にも、「ポイントが付与されるかどうか」などを考えて店舗を探したり、商品を選んだりする。奥谷氏は、この顧客の意思決定プロセスを「顧客時間」と定義する。

 顧客を購入へと導く戦略において、顧客時間を可視化することは重要な意味を持つ。顧客時間は、大きく3つの段階に分類できるという。まずは商品購入前に商品を「検討」する段階、次が実際に商品を「購入」する段階、もう1つが実際に購入した商品を「使用・消費」する段階だ。

 顧客時間のうち、店舗の運営側にとって最も気になるのは、「購入」のフェーズだ。店舗運営側はこれまで、商品がどれだけ売れたのかという購買時点のみに注目しがちだった。どれだけ売れたのかは調べればすぐ分かる。しかし、顧客がなぜその商品を買ったのかということまではなかなか分からない。

 特に同じ商品を何度も繰り返して購入してもらうには、顧客時間全体を把握して買ってもらえる理由を理解し、適切な施策を打っていく必要がある。そのために何ができるか。奥谷氏は、無印良品で展開しているモバイルアプリ「MUJI passport」を例に挙げて説明した。

 MUJI passportは、無印良品で商品を購入するとアプリに「マイル」がたまるというサービスだ。特徴的なのは、商品に対してコメントを送る、あるいは来店するだけでもマイルがたまること。マイル獲得というメリットを顧客に提供することで店舗は、顧客の商品に対するコメントや来店頻度などの情報を得ることができる。取得した情報を詳細に分析していくことで、広告に対する反応や、どの商品を検索したのか、購入するまでのサイト閲覧数はどれくらいかといったことを把握し、検討段階の顧客時間を詳細に理解できるのだ。

 奥谷氏は、「MUJI passportのような取り組みによって顧客時間全体を可視化していくことが、これからのマーケティングにとって重要」と述べる。

「MUJI passport」における顧客時間の把握イメージ
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