エリアマーケティング――地域によって異なる戦略を立案する意義とは?トレンドキーワードを知る

地域(エリア)に関するさまざまな情報を調査し、地域の特性に合わせたビジネスを展開するためのマーケティング施策が「エリアマーケティング」である。古くから行われてきた手法だが、テクノロジーが進展した近年は、地図情報システムや統計解析によって確度のより高いマーケティング戦略を立案できるようになった。

» 2016年08月15日 10時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

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地域の特性を調査・分析して確度の高いマーケティング戦略を立案

 エリアマーケティングは新しい出店計画、近隣競合との差別化、特定地域限定のターゲティングなどに利用される。人口分布や年代・性別などの構成、市場動向といった公的統計データを利用するとともに、店舗の分布状況や競合との商圏の重複、歩行者交通量などを個別に調査し、その地域の持つ独自性を見極めてマーケティング活動を行うのだ。エリアは都道府県/市町村/町丁といった行政区分単位、半径4〜5kmの円を描いた地域など複数のパターンがある。いずれもエリアの特性や地域差を見据えてマーケティング戦略を組み立てることになる。

 テクノロジーが不十分だった時代は、マーケティング担当者の勘と経験に頼る部分が多かったが近年、エリアマーケティングの事情は一変した。

 まず大きく変化したのが、エリアの調査や市場分析の分野である。近年は多種多様な統計データが国や地方自治体から公開されている。例えば町丁単位の人口構造、住宅面積や地価などの経済構造、小売店舗数や販売額などの流通構造、工場数や工業出荷額などの産業構造を、過去からの推移も含めて入手することが可能だ。

 それらの膨大なデータの中から必要なデータを地図に取り込み、マッピングしたり色分けしたりできるGIS(地理情報システム)が急速に発展したことも、エリアマーケティングに大きな影響を及ぼした。エリアマーケティングにとって地図は切り離すことのできない存在だが、過去には紙の白地図に手で書き込むものだった。それが現在は、コンピュータの高性能化によって膨大なデータの取り扱いが容易になり、時系列データの推移をリアルタイムに表示することも可能だ。さらに異なる複数データの関連性を探り出す統計解析技術の進展により、人間が見つけられないデータの関連性を発見できるようにもなった。

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