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» 2018年02月23日 13時00分 公開

ロジカルに解き明かすEC・通販の成功法則:EC・通販の広告クリエイティブは「製品・サービスを手に取ってもらう」ことに割り切る (1/2)

豊富な実務知見に基づき、EC・通販で成功する方法について解き明かしていく本シリーズ。今回は、新規獲得のための広告クリエイティブについて掘り下げていきます。

[川部篤史,JIMOS]

 前回「 EC・通販における広告の基本的な考え方」では、EC・通販業界において広告活動に取り掛かる前に押さえておくべき基本的な考え方について整理しました。今回はそれを踏まえた上で、広告クリエイティブの具体的な制作手法について5つのステップで考えてみましょう。

1. キャッチコピー

 Web媒体のディスプレイ広告や紙媒体での広告クリエイティブは、文字要素であるキャッチコピーと、画像要素であるキービジュアルを骨格として構成されます。この2大要素のうち、まず着手すべきはキャッチコピーです。文字要素は受け手の印象によって判断のブレが起きにくく、他者と認識のズレが生じにくいからです。また、制作作業の過程で変更が生じても柔軟に対応しやすく、迷ったときに本来の出発点に立ち返りやすいのです。

 キャッチコピーを制作する際、最初に考えるべきは、製品の価値を端的に整理し直すということです。具体的には、製品の価値を表す要素を単語や文節に区切って、それぞれを「スペック寄り」から「ベネフィット寄り」への座標軸にプロットし、関連のある要素を線で結んでいくという手法を取ります。

 このように、単語や文節に分けて整理することで、キャッチコピーで端的にアプローチする切り口が多数あぶり出されてきます。続いてこの中から、キャッチコピーになりそうなエッジの利いた切り口を選別します。

酵素サプリメントでの事例。まずは切り口を整理する《クリックで拡大、以下同》

 選別の基準はもちろんですが、排除する基準も重要になります。ここではひとまず反転させた項目を選び出してみました。直感的に「あまり魅力を感じない」「小難しそう」「理解されにくそう」「そもそも薬事的に無理がありそう」と思われるものは、この段階で候補から落とします。

 使うべき切り口を選別したら、それぞれ20〜30程度のキャッチコピー案を制作します。コピー案の中には似ているものも出てきますが、それはそれで構いません。全て合わせるとこの段階で少なくとも100〜200のキャッチコピー案が生まれているはずです。なお、後述しますが、この段階で、キャッチコピー案のストックを多く持っていることは、以後のステップで非常に役に立ってきます。

 こうして生み出した数多くのキャッチコピー案の中から、反応のありそうなものに目星を付けて絞り込みます。なるべく多くの切り口から選ぶことが大事ですが、同じ内容であっても「言い回し」の違いで捨て難いものがあれば、残しておきましょう。「てにをは」レベルで大きく反応が変わってくることがあるのも、キャッチコピーの特性です。

制作陣とディスカッションし、方向性を整理。Attention&Interestをとれるキャッチを「多数」作る

2. キービジュアル

 次のステップは、選んだキャッチコピー案それぞれに、キービジュアルを組み合わせることです。ここでいったん振り返ってほしいことがあります。「良いキービジュアル」とは何かということです。

 これにはさまざまな考え方がありますが、私は、キャッチコピーと組み合わせることで伝えたいメッセージのスピードが上がるものが良いキービジュアルであると考えています。

 キャッチコピーは文章ですから、読み込まなければ、言いたいことの全体像が理解されません。しかし、キャッチコピーに適切なビジュアルを組み合わせると、その両者の行間を埋めるように言いたいことの全体像が浮かび上がってきます。その組み合わせを一目見れば、言いたいことの全体像が瞬時に伝わるようなビジュアルがあり、それを追求することでクリエイティブ全体の訴求力を高める事につながります。

 この段階でのビジュアル案は、デザイナーの手描きでも構いません。あるいはその後の広告制作のステップを見据えて、一足飛びにアマナイメージズやアフロといったストックフォトサービスから選ぶことができれば、その後の制作スピードが上がります。

 この順序で制作されたクリエイティブはメッセージが明確なため、製品ベネフィットに対して明確にニーズが表れている顕在層を対象にした広告では、大きな威力を発揮します。

 ちなみに、あえてキャッチコピーとビジュアルに関連を持たせず、「違和感」をフックにした手法もあります。ニーズがまだ顕在化していない潜在層を対象にしたクリエイティブ制作手法としては、その有効性も示されています。とはいえ、あまりに露骨に悪目立ちするようなビジュアルの利用には、気を付けた方がよいでしょう。確実に視聴者のアイキャッチは取れるのでしょうが、対象とする製品やサービスが提供する価値とズレているならば、結果的には購買後の顧客満足度に悪影響を及ぼしかねませんので、要注意です。

気になったものは取りあえず残しておき、キャッチと組み合わせることでより訴求の強くなるキービジュアルを考える
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