クリックテック・ジャパンが提供する「QlikView」は、連想技術によりさまざまなデータを関連付けることが可能なため、データの意味を探る上で“予想外の視点”を導入できる。本記事では、このQlikViewがどのようにデータの詳細を探索していくのか、その道筋を明らかにする。
最近、有識者のブログやWebメディア、雑誌の記事で、さまざまなデータを分かりやすく加工したインフォグラフィックを見かけることが増えている。業界の勢力図だったり、国家間の政治バランスだったり、人口構成比であったり、その内容はさまざまだ。デザイン性に優れたインフォグラフィックはパッと目を引くし、その内容も「そうだったのか」「知らなかった」と感心するものばかりだ。
だが、これと同じことをビジネスの現場で行ったらどうだろうか。地域ごとの販売実績や売れ筋商品、競合企業の動向などが美しく見やすいデータでまとめられており、経営層はそのレポートを一目見て「なるほど、そうなのか。よく調べたな」と感心するかもしれない。メディアの記事ならこれでも充分だが、ビジネスの現場であれば「で、この状況に対して何をするのか」と具体的な施策の提案を求められる。データを美しくまとめただけではビジネス現場としてはぎりぎり及第点のレベルに到達したに過ぎない。次の戦略につながってこそ、データを可視化する意味がある。
残念ながら、データを巡る多くのビジネスの現場では「(データを)可視化すること」や「(データを)見やすいレポートにまとめること」で疲弊してしまい、施策策定の段階にまで至っていないのが現状だ。特にマーケティング部門のような、営業実績を見据えてキャンペーンを立案し、予実管理をするような業務関連部門は、数字をまとめ、それらを可視化するだけで精一杯である。BIツールや分析システムは現状の把握には役立つが、それらが次の施策につながる仮説や打ち手を示すわけではない。一方で、レポート画面の開発、データ整備、分析軸の作り込みには非常に工数がかかる。昨今、ビッグデータの流行に伴いマーケティング分野におけるデータ活用が注目されているが、マーケティング部門のROIがなかなか向上しない理由はここにある。これを解決するのが、連想技術によりデータの自由な視点で多角的に分析できるBusiness Discovery プラットフォーム「QlikView」だ。
例えば、前述した「マーケティングのROI」についても、従来の分析ツールでは計測することが難しい。そもそもROI達成を判断する指標は何なのかが明確になっていないケースも多い。イベントや展示会などを実施した場合、それが売り上げに直結しているかを見るよりも、来場者の人数や名刺の数、イベントに来場した役員の数などをカウントし、「効果があった/なかった」と判断する企業も多いのではないだろうか。営業実績データや財務データを統合するのは、コストも工数もかかるし、分析軸を設定するのも難しい。
QlikViewの特長は、複数のデータソースにあるデータを1つに統合し、連想技術でデータ同士の関係性を見出し、自動的に紐付けること。分析軸を事前に設定する必要はない上、あらゆるデータソースから関連するデータを次々に表示し、必要ならば元の明細データまで掘り下げることができるので、思わぬ「発見」や「仮説」を見つけることができる。
下図は、案件や顧客を管理する営業支援システムと、マーケティング・キャンペーンを管理するマーケティングシステム、そして財務システムなど社内のあらゆるデータソースを統合したQlikViewの画面だ。ユーザーは、ITシステムを開発/提供しているベンダーだ。ダッシュボードには現在の営業パイプラインのステージやリードの状況などが示されている。左側にある[リードの状況]を見ると、2011年に比べ2012年の方がリード数は若干下がっているが、その下にある[キャンペーンの反応]を見ると、キャンペーンから営業案件につながった数は2012年の方が増えていることが分かる。マーケティングデータと営業実績データが乖離していれば、見つかることがなかった「気付き」だ。
では、効果があったキャンペーンは何か。2番目のタブ[キャンペーン統計データ]をクリックすると、実施したキャンペーンと、そのキャンペーンが生み出した金額が右側の[上位のキャンペーン(名称別)]表示されている。
これだけで終われば、一般のレポーティングツールと同じだが、QlikViewの場合、「では、これらの案件におけるマーケティングの貢献度はどれくらいなのか。案件の進捗はどの程度進んでいるのか」など、興味/関心が赴くままに自由に掘り下げることができる。[マーケティングの貢献]タブを見ると、2010年から2012年までの3年間で、金額に占めるマーケティングの影響度合いが青色で示されている。とすると、次に知りたいのは、年度別の案件進捗状況だ。QlikViewの場合、事前に分析軸を設定しなくても明細データまでドリルダウンできるので、案件の進捗も知りたければ即確認できる。
下図の左下に表示されている「マーケティングの影響」という棒グラフを見ると、2012年に実施したキャンペーン結果にもかかわらず、2010年に作成された案件の顧客が少しだけ反応している(青色表記:マーケティングの影響あり)ことが判明する。
2010年のわずかな青色部分をクリックすると、案件名や担当営業までドリルダウンできる。営業支援(SFA)ツールのデータも取り込まれているため、案件やプロジェクトの詳細まで明らかになる。そこから、営業担当者に再度アプローチを促すなどして、売り上げを伸ばすための具体的な施策にまでつながるわけだ。
前節では、ITシステム企業の場合を見たが、品数が多い卸売り業でも同様に、自由なデータの探索ができる。売り上げベースで見ると、どうしても月ごとや取引先ごと、地域ごとといった「どんぶり勘定」ベースになるが、QlikViewなら自由に深く/広くデータを見られるのだ。
例えば、商品ごとの利益率を確認したい場合。収益を上げるには、利益率の高い商品は何かを知らなくてはならない。下図は単価と数量で商品ごとの利益率を分析した画面だ。
この中から、例えば「利益率が8%を上回る商品」を散布図で選択すると、その商品を購入/販売している取引先が、下図のように白くハイライトされる。
通常の分析ツールであれば、明細があるといってもここまでしか分からない。しかしQlikViewなら、すべてのデータが連想技術で紐付けられているため、全取引先の中から「すでに購入/販売している取引先」を除外することができる。残るは、「利益率の高い商品を購入していない取引先」だ。画面を見ると、未購入の取引先がグレーで表示されており、右横にある顧客リストで担当者名や連絡先も確認できることが分かる。
グレーの表示は、営業的に未着手の取引先であり、今後キャンペーンなどのマーケティング施策や営業強化で売り上げが伸びる部分といえる。一般の分析システムやレポーティングシステムでは、「できている」実績は見えるが、「できていない」グレーの部分を見つけることは難しい。QlikViewではこのグレーで表示する機能の真価を「パワー・オブ・グレー」と呼び、普通にデータを見るだけなら分からない仮説や戦略立案のきっかけとして大きな意味を持つとしている。
従来型の分析システムやレポーティングツールは、確かに現状把握に役に立つ。だが、使いこなすためにはIT部門やSI会社が作り込む必要があり、結果として「このデータではなく、別の分析軸で状況を確認したい」「さらに踏み込むようなレポートが欲しい」という現場のニーズにはなかなか応えられないのが現実だ。それはもともとの仕組みに、「あらかじめ分析軸を決めておく」という要件があるため。これを解決するためにデータサイエンティストという存在が注目されているが、現場部門とデータを操作する部門との間にあるギャップを埋めることは難しく、結局は当人が自分の思考に基づいて自由に分析することがベストといえる。
QlikViewは、「セルフサービスBI」と言われ、マーケターが自分で自由にデータの関連性を見出し、時には掘り下げ、明細データを確認して具体策に落とし込むことができるツールだ。自由に分析できるということは、自分自身で「仮説を見出す分析軸」のセンスを磨いていくことが必要になる。QlikViewを使えば、誰もが簡単に仮説を見つけられるわけではないが、思考や関心のままにデータを探索することで、分析軸のセンスも身に付くし、誰もが見落としていた取引先や、営業の可能性を見出すことができるのは間違いない。「データ分析を一生懸命やっているが、なかなか効果が出ない」というマーケターこそ、一度試してみる価値がある。
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提供:クリックテック・ジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia マーケティング編集部/掲載内容有効期限:2014年6月9日
鈴木その子氏による創業後、食品、化粧品事業などを手掛けるSONOKOでは、30万人を超える既存顧客のロイヤリティ向上と新規顧客の獲得が課題となっていた。これまでIT部門に頼っていた顧客情報のデータ分析を現場で迅速に行うために同社が取り組んだ解決策とは?