2012年の日本の広告費は5兆8913億円、前年比103.2% 、電通調査:総広告費は5年ぶりに増加
電通は2月21日、国内の総広告費と、媒体別/業種別広告費を推定した「2012年(平成24年)日本の広告費」を発表した。
2012年の日本の総広告費は5兆8913億円、前年比103.2%であった。総広告費は2008年から2011年の間、4年連続して前年実績を下回ったが、2012年は東日本大震災(2011)による広告減の反動増もあり、5年ぶりに前年実績を上回った。マスコミ4媒体の広告費は2兆7796億円と、震災前の2010年の水準を上回った。媒体別では、「テレビ広告費」が前年比103.0%、「新聞広告費」が同104.2%、「雑誌広告費」が同100.4%、「ラジオ広告費」が同99.9%という結果だった。
広告費が大きく増加したのは、衛星メディア関連広告費(同113.7%)であり、3年連続で2ケタの伸びを示した。これは、地デジ化(2011年)/オリンピック中継(2012年)などが、BS放送での視聴を中高年層に習慣づけ、併せて男女35〜49歳以上向けの番組編成が定着化した結果、番組への広告出稿が伸長したためである。
「インターネット広告費」(107.7%)も引き続き増加となった。電通は今回のインターネット広告調査において「運用型広告」(アドエクスチェンジ、DSP/SSPなど)を新たに広告費調査の分類項目として設定した。「デバイスの多様化や広告関連技術の進展による業界構造の変化に伴い、調査分類を見直した」(電通)。
インターネット広告媒体費は、2011年に震災などの影響で市場の伸長が鈍化したこともあり、2012年は前年比で高い成長率を示した。オリンピック/衆院選などのイベントにおいてインターネット広告の活用が進み、成長を後押しした。市場の内訳では、「スマートフォンの普及拡大」「RTB、DSPといった新テクノロジーへの注目」などの影響により、運用型広告が、3391億円(前年比118.9%)という成長を遂げた。一方で、「枠売り広告」は引き続き堅調だが、フィーチャーフォンの広告市場縮小などにより、伸びが横ばいになりつつある。
マスコミ4媒体の業種別広告費は、「自動車/関連品」(前年比126.9%、軽自動車などが増加)、「情報/通信」(同110.5%、スマートフォンサービス、衛星放送、Webコンテンツなどが増加)、「飲料/嗜好品」(同107.0%、美容/栄養ドリンク、乳酸菌飲料、炭酸飲料などが増加)など、21業種中16業種で前年を上回った。減少業種は、震災後の大量出稿による反動減の影響を受けた「官公庁/団体」(同30.6%、広告団体などが減少)、「案内/その他」(映画など)の5業種だった。
インターネット広告費を業種別でみると、「情報/通信」「不動産/住宅関連」「金融/保険」「アミューズメント」などが伸長した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 【連載】高広伯彦が聞くソーシャルメディアとマーケティングの今後:第4回 ソーシャルメディアはマーケティングの“ブラックボックス”を可視化した――基礎化粧品「RICE FORCE」のFacebookページに学ぶ
ソーシャルメディアの普及によって、広告主である企業がデータを持ち、リアルタイムの分析ツールも簡単に手に入るようになった。基礎化粧品「RICE FORCE」のFacebookページからソーシャルメディアマーケティング運用の基礎を学ぶ。スケダチの高広伯彦氏がアイムのゼネラルマネージャー 山下省三氏に聞いた。 - デジタル時代の紙DM:“リアル”ならではの特性を生かすことが効果の最大化につながる〜紙のダイレクトメール〜
紙DMにはデジタルメディアにはない良さが数多くある。優位点を生かした紙DMの有効活用は、デジタル時代のコミュニケーションに大きなインパクトを与えるだろう。 - 【連載】高広伯彦が聞くソーシャルメディアとマーケティングの今後:第3回 電話やはがきで培った“通販リテラシー”が鍵――基礎化粧品「RICE FORCE」のFacebookページ運営術
香川県に本社を構えるアイムが化粧品ブランド「RICE FORCE」のFacebookページを開設したのは2010年。日本版と海外版の2つを運営しており、ファン数はそれぞれ約6万人と約25万人だ。電話やはがきで培った“通販リテラシー”がFacebookページの運営に生かされている。スケダチの高広伯彦氏がアイムのゼネラルマネージャー山下省三氏に聞く。 - 【連載】高広伯彦が聞くソーシャルメディアとマーケティングの今後:第2回 AIDMAの「I」(Interest:関心)を大きくするため――日清のソーシャルメディアマーケティング
ソーシャルメディアマーケティングにおいて非常に重要なテーマである「エンゲージメント」をどう考えるか。日清食品のマーケティング部 三宅隆介氏は「興味を持ってもらうこと」と定義する。つまり、AIDMAの「I」(Interest:関心)だ。 - ソーシャル×商品開発:“遊ぶ心”のある企画設計が生活者の積極的な参画を促す
従来の生活者参加型商品開発は、あくまでも企業が主体であり、生活者は企業の求めに応じて情報を提供するというかたちが一般的であった。しかし、“ソーシャル時代”においては、企業と生活者が同じ地平に立って、“一緒に商品を創り上げる”取り組みが加速している。生活者の積極的な参加を促す仕組みづくりが、成功のカギとなると言えるだろう。 - 【連載】ARをマーケティングに応用する:第3回 仮想空間で試着できる時代――拡張現実技術のマーケティング応用事例
実物と見間違うほどのAR腕時計「TISSOT」、帰宅途中のビジネスマンが地下鉄のホームで商品を購入できるTESCO(テスコ)のAR事例……。今回は主に海外の拡張現実導入事例を紹介する。 - 【連載】オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21:第7回 「購買の障壁」を乗り越えるには、「背中の一押し」を実装できるかどうかにかかっている
「購買の障壁」で問題となるのは「背中の一押し」。これが“実装”できずに多くのユーザーを離脱させてしまっているケースは少なくない。 - 発想が豊かになる会議室?:電通と東北大学、エイジング社会研究センターが産学連携で「スマート・エイジング・ラボ」を開設
電通と東北大学の加齢医学研究所スマート・エイジング国際共同研究センター、特定非営利活動法人エイジング社会研究センターは11月22日、産学連携の組織「スマート・エイジング・ラボ」の設立に合意したと発表した。 - 【連載】オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21:第6回 コミュニケーションシナリオの精度を高めるために超えるべき「4つの障壁」
今回はコミュニケーションシナリオを活用していく上で越えなければならない4つの「障壁」を紹介する。「初動「経験」「購買」「共感」。これらの「障壁」をいかに乗り越えていくか、その“超え具合”によって、コミュニケーションシナリオの精度が変わってくる。 - 消費者の潜在意識を言語化:「感性工学」で購買行動を解明するサービス「ULHINT」を開発、電通
電通と電通マーケティングインサイトは11月21日、買い物客の潜在意識下での購入プロセスを読み解くことで販売促進を図る調査/分析サービス「ULHINT」を発表した。