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» 2019年07月22日 10時00分 公開

デジタル活用で製造業のマーケティングと営業が変わる:製造業のデジタルマーケティング、リード獲得から育成まで無駄のない打ち手とは

B2B企業のデジタルマーケティング支援で実績豊富なエキスパートが、「Web」「メール」「オンラインセミナー」などを活用した実践的なノウハウを語った。

[PR/ITmedia]
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 日本BtoB広告協会は2019年6月20日、ALUHAおよびアイティメディアと共同で製造業の営業・マーケティング担当者向けプライベートセミナーを開催した。

 デジタルマーケティングへの関心は製造業でも高まっている。だが、関心はあっても何から始めたらいいのか分からない担当者は多い。既にWebやメールを用いた施策に着手はしたものの思うような結果を得られないで悩んでいる人もいるだろう。

 本稿ではB2B企業のデジタルマーケティング支援で実績豊富なエキスパートが、成果の出る施策の進め方について語ったセミナーから、ポイントをまとめてお届けする。

B2BならではのWebサイトの役割を知ろう

 最初の登壇者は、石川県金沢市を地盤にB2Bマーケティングのコンサルティング事業を展開するALUHA 代表取締役社長の荻野永策氏だ。荻野氏は、製造業などのB2B企業がデジタル(Webサイトやメール)を活用して新規見込み客(リード)獲得と育成を行うためのポイントを、事例を交えて紹介した。

荻野永策氏 ALUHA 代表取締役社長の荻野永策氏

 まず荻野氏は、B2B企業がWebでリードを獲得するまでの過程とそこで取るべきKPIを以下のように整理した。

  1. 集客強化
    • KPI:アクセス数
    • 流入元(検索エンジン・SNS・リスティングなど)から自社Webサイトへの集客を増やす
  2. フォームへの誘導
    • KPI:フォームへの誘導率
    • Webサイトの各ページから、資料請求・見積もり依頼などのフォームへの誘導を増やす
  3. 問い合わせ数を増やす
    • KPI:コンバージョン率
    • フォームからの問い合わせを増やし、新規のリードを獲得する

 この3点を意識して数字の向上を目指すことが確実にリード獲得につながるとして、荻野氏はある企業での事例を挙げた。

 化成製品を取り扱うその企業では、もともとWebサイト活用に積極的ではなかった。製品がニッチであることからWebサイトでの大量集客は難しいという意識があったからだ。実際、詳しい担当者がいるわけでもなく、問い合わせは年間数件程度と、社内でのWebサイトの位置付けは低い状態だった。

 そこで、まずは実績を作って効果を実感してもらうことに注力した。製品群の中から無料でサンプル提供できるものを選び、申し込みページを作ってWebサイト内の関連ページにリンクを設置したのだ。

 実際にやってみると、アクセス数は従来同様ながら問い合わせ件数が増加し、受注に至るケースも出始めた。社内でもこの結果は評価され、Webサイトの改善に継続して取り組むことが決まったという。

 荻野氏は、「ニッチな製品でも、現状のアクセスを生かしてリードの獲得や育成はできる」と断言する。部門間の壁があったりデジタルマーケティングへの認識が低かったりする場合には、まずは小さな成果を出すこと。デジタル活用の可能性を数字で実証することで、社内の理解を得られ協力体制が強くなるのだ。

メールを使ったリード育成

 次に荻野氏は、メールを活用したリード育成について紹介した。

 ある企業では、数万件のリードを保持しながらも案件創出につながっていなかった。その背景には、社内の事業部間にコミュニケーションの壁がありリード育成に使うコンテンツ作成がうまく作れていないことと、加えて代理店が入っているために顧客ニーズを明確につかめていないことがあった。

 そこでまず、デジタルマーケティングの有効性を各部門に説明し、コンテンツ作成に向けた社内の協力体制を作ることを提案した。その上で、データからユーザーのニーズを確認できるように、資料ダウンロードのページをサイト内に作成し、その案内メールを配信することでコンバージョンの発生状況をリサーチし、データからユーザーのニーズを確認できるようにした。その結果、メール配信をきっかけに50件近い案件を獲得でき、社内でのデジタルマーケティングへの意識も大きく変化したという。

 最後に荻野氏は、「部門間の壁があったりデジタルマーケティングへの認識が低かったりする場合には、まずは小さな成果を出すこと。デジタル活用の可能性を数字で実証できたら、社内の理解を得られ協力体制が強くなる」とまとめた。

獲得したリードを商談に結び付けるオンラインセミナーの力

 続いて、アイティメディアにおいてイベント事業推進部 部長を務める滝沢 渚が登壇した。「ITmedia マーケティング」を含む多数のIT系オンライン媒体を展開する当社は、「MONOist」などにおいて製造業向けの情報も数多く提供している。また、さまざまな企業と共催する形でオンライン/オフラインのイベントも手掛けている。前半の内容を受けて滝沢は、リード獲得の先にある課題とそこでの有効な打ち手について言及した。

滝沢 渚 アイティメディア イベント事業推進部 部長の滝沢 渚

 B2Bマーケティングにおける第1の課題は、Webサイトや展示会などを通じてできるだけたくさんの名刺情報を収集することだ。そして、獲得したリードをどうやって商談に結び付けるかが、第2の課題となる。

 一口にリードといっても、その見込み度合いはさまざまだ。予算(Budget)は確保できているのか、その人に決裁権(Authority)はあるのか、今どの程度自社の製品に必要性(Needs)を感じているのか、導入時期(Timeframe)は見えているのか――。この、いわゆる「BANT条件」の見極めなしに、取得した連絡先にやみくもにアタックしても、成約は難しい。まずはメルマガを送付するなどして、興味関心を醸成することが大切だ。

 では、獲得したリードを育成(ナーチャリング)するために、メルマガで何を送付すればいいのか。最初は業界コラムや調査レポートなどから始めるのが一般的だ。そこから自社製品への関心が高まってくるにつれ、徐々に製品カタログや事例集、セミナーの案内などを送ることになる。

 滝沢は、リード育成における「期待値に見合った情報を提供すること」の重要性を強調する。その意味で特に難度が高いのがセミナーだ。セミナー参加者が受講前に期待したことと受講を通して得た情報の量や質ギャップがある場合には、当然ながら高い満足度は得られないものだ。セミナーに参加するためにはスケジュール調整や移動など手間もコストもかかる。その分、参加へのハードルも高いことになる。

 期待を裏切らないため、そしてそもそも足を運んでもらうため、主催者側はゲストを呼ぶなどコンテンツを作り込んで入念な準備をしなければならない。また、内容の作り込みだけでなく集客にも注力する必要が出てくる。

 一方で、それらに注ぎ込むリソースには限りがあるし、作り込んだコンテンツへの満足度が高くても集まったのが情報収集を目的とした人ばかりでは、商談に結び付かない。最初から購入検討段階にある人だけ集めて商品に関する詳しい話だけできれば、その方が効率は良い。

 そこで有効になるのが「オンラインセミナー」だ。滝沢が紹介したある企業では、内容を商品説明に特化してオンラインセミナーを実施している。間口は狭くなるが、その分購入検討段階のユーザーだけを絞り込むことができるし、オフラインのセミナーと異なり会場を用意する必要がないので歩留まり(実際の参加数)を厳密に気にする必要もない。また、話者は変えるが講演資料は毎回同じものを使えるなど、運営コストを比較的低く抑えられるというメリットもある。

 オンラインセミナーは場所の移動を伴わないので、参加者にとってもアクセスしやすい。アーカイブを残して好きなときに見てもらうという使い方もできる。ただし、前述の企業ではあえて配信をライブ限定としている。これは、オンデマンド視聴では途中離脱が多くなる傾向があり、視聴しない人もいるためだ。不要な長期公開を避けることで本当にホットな状態にあるリードをリアルタイムで見極めることを狙っているのだ。

 同企業では、ライブ配信後一両日中にインサイドセールスが架電してBANTと競合に関する情報を聞き出し、可能であれば電話で提案内容を固めて訪問の日程調整まで行っている。アポイントメントが取れたら営業は架電内容を基に提案を作成し、直近で案件化しない顧客はメールでフォローを継続している。このようなサイクルをうまく回すことで、高い商談獲得率を実現しているのだ。

 この企業ではオンラインセミナーの配信に、アイティメディアが販売する米ON24の「Webcast Elite」を利用している。同ツールはセミナー登録ページの作成から事前事後のメール配信、レポート作成など、オンラインセミナーに必要な機能を一通りそろえており、少ない準備と機材で誰でもすぐにオンラインセミナーを実施できる。ビデオカメラがなくても、フロントカメラ付きPCと有線 LAN+ネット接続さえあればオンラインセミナーが始められるのだ。また、マーケティングオートメーションやCRMツールと連携させ、視聴ログデータやアンケート内容などの登録項目をリード管理に統合できる。

図 Webcast Eliteでできること

 マーケティング施策全体の中にオンラインセミナーを位置付けることで、他の施策との連携もスムーズに進む。

 ある企業では、展示会に出展する1週間前にオンラインセミナーを開催して来訪予定者のニーズや質問を聞いておき、展示会当日はその内容に即した対応をするといった使い方を実践している。B2Bにおいては最終的には製品を見て購買や導入が決まるため、展示会が果たす役割はまだまだ大きい。一方で展示会単体ではコストに見合うだけの効果を発揮できない面がある。オンラインセミナーを含めた施策全体を一元管理することで、来訪者には実りのある時間を提供できる。また同社では、社内の情報共有がスムーズにできるようになった実感もあるようだ。

図
図 「Webcast Elite」ではレポーティング機能も充実している。上はセミナーごとのレポート。下は複数セミナーの横串分析

 過去1年間で企業主催のセミナーに参加したことのある人を対象にアイティメディアが実施したアンケート調査によると「同じ内容で通常のセミナーとオンラインセミナーが開催される場合、どちらでの受講を希望するか」という質問で、回答の割合はほぼ同数だった。オンラインセミナーは比較的歴史の浅い施策だが、昨今動画の視聴環境が著しく改善していることに加え、働き方改革の機運の高まりもあってユーザーの意識は変化しているのだ。

 B2B企業、とりわけ製造業においては、商品が高額で購買プロセスが複雑であることから、検討段階のコミュニケーションはより重要になる。

 滝沢は「製造業こそ、オンラインセミナーの活用で成果を生み出す可能性は大きい。リードを獲得することと同様、それをフォローアップすることが大切。デジタルをうまく活用することで営業機会損失を防ぎ、さらにあらたなオポチュニティーの創出につなげていただきたい」と締めくくった。

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提供:アイティメディア株式会社
企画:アイティメディア メディア・マーケティング部/制作:ITmedia マーケティング編集部/掲載内容有効期限:2019年12月31日