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» 2016年02月29日 10時00分 UPDATE

単なるWebポータルからビジネスに貢献するサイトへ:富士通のパートナーサイト再構築、「デジタルマーケティング」の手法で目指すもの

2001年から続くパートナー向けサイトの再構築を行った富士通。ユーザーインタフェース改善はもちろん、エンゲージメント強化や売り上げ向上も狙った「攻め」のリニューアルはどう行われたのか。

[ITmedia マーケティング]
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 富士通では、2001年から公開していたパートナー向けサイト「PFP(PORT FUJITSU PARTNER)」を再構築し、2015年10月に「ALL-WAYS」へとリニューアルした。目指すゴールは国内500社、1万8000人のユーザーが活用するこのサイトを、パートナーのビジネスを支援する情報プラットフォームとして一新することだった。

 大企業が提供するパートナー向けサイトといえば、社内のさまざまな部門から寄せられる情報が集約される場であり、かつ多くのパートナーと情報を共有するためのハブとなる場でもある。そこに関わる全ての人々が満足のいくサイトを構築するのは並大抵のことではない。

 一方で、せっかくのリニューアルの機会が各部門の利害調整に終始するだけで終わっていいはずもない。今回、「単なるWebポータル」から脱却し、ビジネスに貢献するサイトへ進化するということが求められていた。

 Webサイトを刷新する際に、第1の難関となるのが、数ある製品の中から、どれを採用するかを決めることである。マーケターの視点、コーダーの視点、システム部門の視点など、立場によって重視するポイントが大きく異なる。関わる人数が増えれば増えるほど、意見を集約して前に進むことが困難になるものだ。

 エンドユーザーはもちろん、リニューアルに関わる人々にもできるだけ負荷を掛けず、しかもハードなミッションをクリアするため、担当チームは何を選択したのか。以下で見ていこう。

レガシーなシステムからの大幅リニューアルプロジェクト

 今回、これまで運用を続けてきたPFPのリニューアルのきっかけとなったのは、サーバの保守切れのタイミングだった。これまでは、1つのポータルに複数の製品サイトが寄せ集められるように存在し、それぞれを各部門が独自のやり方で運営していた。

 そのため、PFPのトップページから各サイトへ移動すると、デザインやメニュー構成が異なっていることに加え、サイト間を移動する際には都度IDやパスワードを入力し直さなければならないなど、エンドユーザーであるパートナーにとって、非常に使いづらいものとなっていた。

三原氏 富士通 パートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部 三原千加氏

 「過去にアンケートをしたところ、『いろいろなサイトがあって使いづらい』『情報を探すときに、複数のサイトを横断して検索ができない』といった声をいただきました。ユーザビリティの面から、パートナーさんにとって使いやすいサイトへリニューアルする必要性を強く感じていました」と、リニューアルプロジェクトをけん引したパートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部の三原千加氏は語る。

 PFPを利用するのは、パートナー企業の担当者約1万人と、富士通のグループ会社社員約1万人だ。サイトにコンテンツを提供している部署は約80に上る。三原氏は、この大規模なリニューアルプロジェクトに挑むに当たり、まず現状の問題点を洗い出し、同社の情報システム部門であるIT戦略本部 グローバルコミュニケーション基盤推進室 シニアマネージャー 吉田貢久氏に相談した。

吉田氏 IT戦略本部 グローバルコミュニケーション基盤推進室 シニアマネージャー 吉田貢久氏

 「PFPリニューアルの相談を受けた当時、システム部門では全く別の角度で問題を抱えていた」と話す吉田氏。富士通ではメーラーやスケジューラーといったコミュニケーション基盤をグローバルで統一することで、ロスを減らそうという取り組みを進めていた。Webサイトの管理に関しては、「Microsoft SharePoint」で統一しようとしていた。しかし、SharePointはナレッジを整理して格納することに長けているが、パートナーサイトのように情報をプッシュで届ける必要のあるサイトでは使いにくい部分がある。

 吉田氏がミドルウェアを評価する上で重視したのは「全社共通のインフラになり得るだけの品質や信頼性」「海外でも使えること」「社内での実践事例をお客さまにも提供でき、ビジネスに直結できること」の3点だったという。

 「サイト内で『デジタルマーケティング』を実践して個々のお客さまに最適化を図り、売り上げ向上につなげたいという考えもありました。そこで、SharePointで共有した社内のデータをパートナーサイトにもワンソースマルチユースできるように、SharePointに登録したコンテンツを自動的に取り込むことができるツールを探しました。そのため、Microsoft製品と相性がよくパーソナライズ機能が最も充実した『FUJITSU Business Application Sitecore Experience Platform(以下、Sitecore)』に決めました」(吉田氏)

全体像 Sitecore Experience Platformの全体像

「慣れた方でやりたい」人々をいかに説得するか

 2014年4月に開始したリニューアルプロジェクトだが、12月になってからようやく実際に構築に入ることができた。しかし、そこからがまた大変だったという。

 まず、プロジェクトに関わる20〜30人を説得して、Sitecoreに統一することで合意してもらう必要があった。さらに、過去10年間で蓄積されたデータを精査して移行するデータを絞り込んでもらうところにも、かなりの時間が必要だった。

宇野氏 富士通 パートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部 宇野久美氏

 パートナービジネス本部 ビジネス戦略統括部 商品企画&プロモーション部の宇野久美氏は「皆さんSitecoreを知らないところからのスタートだったので、三原と2人で各部署を回って、直接会って説明しながら理解してもらえるよう努めました。部署によって事情も異なりますから、一方的にSitecoreの機能紹介をするだけでは、なかなか対応してもらえませんでした。取りあえず新しいツールが良い悪いではなく、『慣れた方でやりたい』という声が根強かったですね」と、当時を振り返る。

 個々のサイトではページの更新に都度、HTMLを書き変えている部門もあった。独自のやり方で全てを制御してきた分、そのイメージから脱却するのが難しい人がいるのも仕方のないことではある。

 「どうしても『今までのUI(ユーザーインタフェース)のまま移行したい』と思いがちです。しかし、実際にご利用になるパートナーの皆さまにとって使い勝手が良いページ構成にして、デザインも分かりやすく統一していきましょうと、根気強く説得するしかありませんでした」と三原氏。統一したデザインにするために、ビジネス戦略統括部でテンプレートを作成し、何度か説明会も開きながら、移行の手順を伝えた。移行の前には、不要なデータを減らすための断捨離も敢行。残すページ量の目標値を10分の1と定め、1年以上見られていないページやリンク切れになっているページなど、過去のアクセスログを基に抽出したデータを各部門へ配布した。「今回のリニューアルをきっかけに、そうした整理ができた」(宇野氏)というのは、リニューアルの思わぬ副産物だ。

Sitecoreがもたらしたもの

 使いやすくMicrosoft製品と相性がよく、拡張性に優れたSitecoreだが、ユーザー属性などにより表示するページを制御するパーソナライズ機能、そしてユーザーの行動履歴を分析しスコアリング(重みづけ)するデジタルマーケティング機能もまた大きな特長だ。このため、Sitecoreといえば、どちらかというとB2Cに強い製品のようなイメージもある。なぜB2B目的のパートナーサイトでこれを採用し、ワンツーワンマーケティングに取り組む必要があったのだろうか。

 「パートナービジネスというのは、『どれでも好きなものを、できるだけたくさん売ってください』というものではなく『このパートナーさまにはこれ』という狙いが個別にあります。だからパートナーA社とB社では、見てもらいたい情報が異なってきます。そこで、各社との関係に合わせて出す情報を細かくコントロールできる必要があるわけです」と宇野氏は語る。そういった細かい調整ができるのが、Sitecoreの強みだという。

 紆余(うよ)曲折を経て、ようやく立ち上がったALL-WAYSは、大きな変革を遂げた。PFPは、どこに何があるかあらかじめ分かっている人が使うことを前提としていたため、ただ製品名が羅列されていただけだったが、ALL-WAYSではトップページからパーソナライズの機能が活用されている。例えばログインが5回以内の人にはユーザーガイドを見せ、それ以上の人には違うコンテンツを見せるといった具合だ。

 また、自動的にバナーが切り替わるカルーセルを使い、新モデルの告知やマイナンバーのような旬な情報を提供する場としても活用できるようになった。テキストは極力削減し、画像で見せるようにした結果、アクセス数の向上にも結びついている。

 「以前は、サイト内で迷ってしまって、不必要に行き来したPVもアクセス数としてカウントされていましたが、それがなくなった今でもアクセス数は上昇傾向にありますので、より見られている実感はあります」と、宇野氏は手応えを語る。

 当然のことながら、Sitecoreを導入したことで、情報の更新にかかる作業時間は格段に短縮された。各部署の独壇場となっていた個別の製品サイトが統一されたことで、サイトの情報を更新するフローも明確になった。

UI 直感的で使いやすいUI

 また今回、レスポンシブルデザインに対応したテンプレートを使って、どんなデバイスからでも最適な形でページを見られるようにしたのも、大きな革新だ。企業内のクライアントPCは徐々にタブレットへ移行していく流れになってきており、今後スマートフォンも無視できない情報端末になってくるという考えからである。実際、パートナー企業においても営業部門にはタブレットが配布され、外でも業務をするケースは多い。外出先からALL-WAYSにアクセスして、その場でお客さまにカタログやPDFの資料を見せられるようなコミュニケーションができるようになった意義は大きいといえる。

 同社の次のチャレンジは、Sitecoreのスコアリング機能を活用しながら、ユーザーがどのコンテンツにどのくらい接しているのか計測し、その度合いに応じて適切なタイミングで次の施策を打つ「マーケティングオートメーション」的な取り組みを強化していくことだ。Sitecoreではエンゲージメントプランで条件を設定し、それに合致したユーザーに対するアクションを自動的に実行することができる。例えば、「ニュースレター購読候補」とスコアリングされたユーザーには登録特典付きの勧誘メールを送ったりすることが可能だ。パートナーサイトではあるが、こうしたデジタルマーケティングの実践を進めることで、売り上げにつながる場に育てていこうというわけだ。

MA マーケティングオートメーションの実行例

 「Sitecoreの数ある機能を各部門が上手に活用していけるよう、まずはわれわれが実践して各部門に展開しながら、データに基づいたアクションを起こせるカルチャーを作っていけたらと思っています」と三原氏は締めくくった。

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提供:富士通株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia マーケティング編集部/掲載内容有効期限:2016年3月28日