「Everything as a Service」時代のB2Bマーケティングについて語ろう:数字に裏打ちされたロジックが売り上げを高める(1/2 ページ)
あらゆるモノがサービスとして提供される今日、B2Bマーケティングはどうあるべきか。「HPE Partner Ready Marketing Pro Academy 2020 Tokyo」で有識者が語り合った。
Hewlett Packard Enterprise(以下、HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカードは2020年2月14日、「HPE Partner Ready Marketing Pro Academy 2020 Tokyo」と題したパートナー向けのマーケティングイベントを開催した。
HPEは、2022年までに全ての商品をサービスとしてサブスクリプションまたは従量課金で提供する「Everything as a Service」を掲げている。それに伴って同社のビジネスの手法が大きく変わることを受け、デジタルが中心となる時代のB2Bマーケティングについて、ゲストスピーカーや同社のマーケティング担当者が自らの考えや最新事例を語った。
本稿では、マーケティングの有識者によって行われたパネルディスカッションをレポートする。スピーカーとして登壇したのは、フロムスクラッチ執行役員CMOの三浦將太氏、シネックスジャパン執行役員の伊藤弘泰氏、アイティメディア リード研究所所長の小柴 豊氏、日本ヒューレット・パッカード デジタルマーケティングスペシャリストの吉原昭裕氏の4人。モデレーターはインパクトMマーケティングコンサルタントの冨田 浩氏が務めた。
まずは全ての顧客接点の数値化から
冨田氏は、会場の参加者に対して現在抱えているマーケティング上の課題についてアンケートを取りながら、スピーカーに課題解決のためのアドバイスを求めた。
冒頭、「マーケティングはうまくできていると思うか」という質問に対し、ほとんどの参加者の回答は「うまくできていない」「うまいのかダメなのか判断できない」というものだった。
フロムスクラッチはマーケティングプラットフォーム「b→dash(ビーダッシュ)」の開発・提供を中心に事業を展開し、急成長を遂げている。2019年には総額100億円の第三社割当増資を実施するなど勢いを増している。同社でマーケティング責任者を務める三浦氏は、マーケティングを成功させるための出発点として「まずは全てを定量化し、数式に起こした上で何をどう変えれば数字が上がるのかを考えること」の重要性を強調した。
具体的には、自社の製品と顧客の接点を全て抽出し、それらを全て数値化する。例えば、リアル店舗で販売している商品であれば、お店の認知率や店舗前通行客数、入店率、棚にある商品の視認率、そこから手に取る割合、購買率など、多くの顧客行動を数値化できる。「商品をもっと売りたいと考えると、POPを作ろうとか値下げしようとかいった手法論ばかりに陥りがちだが、マーケティングの本分は課題解決。どの数字がボトルネックになっているかをあぶり出して、それをどの程度改善したら売り上げがどう変わるのかを考え、それを実現するためのアイデアを出す。POPを作ることで、どの数字がどれくらい上がるのか。それによって売り上げにどれくらいインパクトがあるのかまで考えなくてはいけない。プロモーションだけでなく、ときには商品や販売チャネル、価格を変更した方が、数字が上がるのであれば、経営者やパートナー企業を巻き込み提言していく。マーケティングを単なるプロモーションと捉えなければ、マーケターはもっと売り上げ貢献することができる」と三浦氏は語る。
しかし、数字はよしあしが目に見えるだけに一喜一憂しやすい。そこで冨田氏は「数字に振り回されないために、数ある中でも特に押さえるべき数字は何か」と吉原氏に問いかけた。吉原氏は「われわれが集中すべきだと考えているのは、やはり売り上げにできるようなKPI。今はいろいろなKPIが独立しているので、それらが最終的に売り上げにどう貢献しているかが明確になるような仕組み作りをしている」と、実際の取り組みを話した。
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