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第5回 (後編)ポイントは知識資本を持つスタッフが居やすい職場を作ること――パタゴニアのブランド戦略【連載】ブランド戦略としての「学びのコミュニティ」

各店舗スタッフが主役になって展開する“学びのコミュニティ”とイベント参加者の態度変容をゴールに見据えたテーマ設定の融合――。パタゴニア独自の店舗展開を参考に最先端のブランド戦略を考える。

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(前編)パタゴニアの店舗は「地域のギフト」――ただモノを売るだけでは終わらない」を読む。

パタゴニアの考える、「企業や消費者が本来負担すべきコスト」とは?

廣部 イベントの評価軸、そして目標設定を教えてください。

辻井 ストアは、存在そのものがメッセージだと言えます。例えばカタログは2次元ですが、店舗は3次元であり、ブランドとしての想いをストレートに伝えられる場だと考えています。そして、メッセージを伝達するには、お客さまに感動してもらったり共感してもらったりする必要があります。そのために、各イベントのクオリティを上げられるよう工夫します。参加いただいた方同士の垣根を低くするために、わたしが講演をするような場合には、自己紹介を兼ねて、“買い物へのこだわり”といったテーマについて参加者同士で語り合っていただく時間を作ったりもしています。

 ただし、イベントのゴールは「盛り上がる」ことではありません。参加者皆さんの行動や活動につながる“後押し”をすることがゴールです。

 例えば、パタゴニアは1996年以来、すべてのコットン製品をオーガニック・コットンに切り替えました。栽培従事者の健康や栽培地の土壌に配慮して農薬や殺虫剤を使わないで栽培されたコットンを使用しているのですが、手間を要している分、コストは高くなります。わたしたちは、これを「企業や消費者が本来負担すべきコスト」と考えています。“ストアイベント”に参加した方が、デザインや機能がよいという理由に加えて、この「本来のコスト」を考えながらモノを買ったり、迷ったりしていただければ、1つのゴールに達したと言えるかもしれません。

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