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第2回 「社会の役に立ち、生活者から共感を引き出す、自社でしかできないこと」を考える【連載】共益価値創造とマーケティング

共益価値創造は新しい競争戦略になりつつあります。今回はその目指すべき方向性をイメージするために、代表的な先行事例を通して、共益価値創造とこれからのマーケティングを考えていきたいと思います。

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 BILCOM, Inc.の小川です。

 「第1回 目指すは企業、生活者、社会のTriple-Winモデル、共有価値創造の実現が競争優位を創造する」を掲載後、前職、現職の先輩、後輩をはじめ、競合の戦友達からも自分が想像していた以上のお声がけを頂きました。ブログを書かなくなって久しい自分としては、けっこう刺激的なインタラクションで、改めてアウトプットの重要性をひしひしと感じ、猛省している次第です。

 さて、気を取り直して。

 前回のコラムでは、共益価値創造が新しい競争戦略になりつつあることをご紹介しました。

 今回は、目指すべき方向性をイメージするために、代表的な先行事例を通して、共益価値創造とこれからのマーケティングについて考えていきたいと思います。

1. ボルヴィック/「1L for 10L(ワンリッター フォー テンリッター)」

 いまさら皆さんにご説明するまでもない程に知られている事例ですよね。

 日本では2007年からスタートしている社会貢献プログラムで、ミネラルウォーター・ボルヴィックの売り上げの一部をユニセフに寄付、そしてユニセフが水不足に悩むアフリカのマリ共和国に井戸を作ることで、安全な水を供給されています。この施策は毎年継続されていて、5年目の2012年までの累計で30億リットル以上の水が供給されているそうです。スタート当初、CMや店頭での宣伝活動を見た記憶は今でも印象的で、それまではミネラルウォーターといえばファッショナブルなイメージのブランドを選択していた私も、それ以来、ボルヴィックを「手に取る機会」が増えたことを思い出します。

2. MINEWATER/「BARCODROP(バーコードロップ)」

 続いて、お隣の韓国で2011年に行われた事例をご紹介します。韓国のミネラルウォーターブランドMINEWATERが昨年実施、約250%の売り上げ向上に貢献したのがこの「BARCODROP」キャンペーンです。私は昨年、釜山国際広告祭の審査員をさせていただいたのですが、その審査過程で初めてこの事例を知りました。シンプルなアイデアで大きな効果を上げた優れた事例だと思います。まずこちらのビデオをご覧下さい。

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 バーコードがボトルに2つ付いていますよね。

 1つは商品購入用のバーコード、そしてパッケージ上部にシールされている水滴型のバーコードは寄付用のバーコードです。購入時にこの寄付用のバーコードも合わせてスキャンしてくださいとリクエストするだけで、寄付行為は完了します。そして生活者がこの寄付用バーコードをスキャンしてもらうアクションを起こせば、それに追随して、MINEWATERを発売しているメーカー、そしてMINEWATERを限定販売している流通の2社がドネーションを行います。つまり、個人の社会貢献アクションをメーカーと流通が支援し、3倍の寄付をすることができる仕組みとなっています。

 マッチング・ギフト制度と呼ばれるこれらのやり方は、さまざまな思いでなかなか寄付に踏み出せない消費者に対して企業が「共にアクションしよう!」と手を差し伸べる方法として近年注目されています。

 2つの事例をあえて今回のテーマである、共益価値創造(Creating Shared Value、以下CSV)という考え方に当てはめて考えてみます。

 まず、社会的なニーズとしては、アフリカを中心に水問題が存在しており、両ブランドが実施したプログラムが作用することで、汚れた水が引き起こす健康問題の解消として寄与しています。ブランド側へのメリットという観点では、ブランドの差別化が考えられます。

 従来、ミネラルウォーターは差別化が難しい製品だと言われており、これらの社会貢献プログラムがあることで、消費者側に“ブランドを選ぶ新たな理由”を付加できているでしょう。

 「採水地の素晴らしさ」や「ミネラル分の多さ」といった機能的選択理由と、「パッケージのかっこ良さ」や「広告表現の面白さ」といった情緒的選択理由、2つの軸だけではなく、消費行動自体が社会貢献に参加できるという“新たな選択理由の創出”に成功しています。

 その上で「BARCODROP」はダブルバーコードという目新しさと水滴バーコードがシールとして剥がせる楽しさといった情緒的選択理由を強化している点が素敵です。

 また、企業がこういったプログラムに取り組む際、ビジネスインパクトがないとどうしても短期的な取組みになりがちな中で「1L for 10L(ワンリッター フォー テンリッター)」のコミュニケーションは5年に渡り継続されているという事実。マイケル・ポーターが唱えるCSVにおいて、サステナビリティが必要との考えをまさに実現している素晴らしい事例です。

3. アメリカン・エキスプレス/「スモールビジネスサタデー」

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