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AccentureのCMOが「エクスペリエンスエコノミー」時代のマーケティングを語る市場、自社の戦略、組織の役割と個人のキャリア(1/2 ページ)

これからのマーケターは社内の組織、そして社内外をつなぐコラボレーションの担い手へ――AccentureでCMOを務めるエイミー・フラー氏に話を聞いた。

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 Accentureは世界最大級のコンサルティングファームだが、近年はその守備範囲を拡張し、広告・マーケティング領域でも圧倒的な存在感を持つようになっている。

 2013年にデジタル部門を担うAccenture Interactiveがデザイン会社のFjordやEC専門企業のAcquity Groupを買収。その後も英国のKarmaramaやドイツのSinnerSchrade、日本のアイ・エム・ジェイを傘下に収めるなど、世界各国で地歩を固めてきた。2019年4月には世界有数のクリエイティブエージェンシーであるDroga5も買収した。「AdAge」のAgency Reportは2016年から、Accenture Interactiveを「World's Largest Digital Agency Network(世界最大のデジタル・エージェンシー・ネットワーク)」に4年連続で選出している。

 そんなAccentureでCMO(最高マーケティング責任者、社内での正式な肩書はチーフ・マーケティング・コミュニケーション・オフィサー)を務めるのがエイミー・フラー氏だ。広告業界にルーツを持つフラー氏は現在、Accentureのブランド、広告、調査、コンテンツおよびデジタルマーケティング、ソーシャルメディア、IR、広報など、マーケティングおよびコミュニケーション全般を担当し、2000人規模のグローバルチームを率いている。

 2020年2月に来日したフラー氏に、Accentureの強みと自社のブランド戦略、今日におけるCMOとマーケティング部門の存在意義、そしてマーケターとしてのキャリアパスなど、幅広いテーマで話を聞いた。


エイミー・フラー
Accenture チーフ・マーケティング・コミュニケーション・オフィサー。同社のグローバル経営委員会およびダイバーシティ委員会にも所属する。2017年に入社する前はDeloitteでグローバルブランドのシニアマネージングディレクターを務めていた他、Mastercardで「プライスレス」キャンペーンを統括したり広告代理店で数々のグローバルアカウントの責任者を務めたりと、マーケティングや広告分野で幅広い経験を持つ。2019年にはAmerican Business Awards の「年間最優秀マーケティングエグゼクティブ」に認定され、「Forbes」では「世界で最も影響力のあるCMO50人」に選ばれる。

エクスペリエンスエコノミーの中で高まる存在感

――Accentureが近年、広告・マーケティングの領域に積極的に進出するようになってきているのはなぜでしょう。

フラー まず「エクスペリエンスエコノミー」という背景があります。この言葉が出てきて以降、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)こそが他社との差別化に重要であるとされてきました。しかし、それを実現するのは簡単ではありません。クリエイティビティーから出発してそこにテクノロジーを実装することが求められるので、全ての能力を網羅している必要があるからです。今日、マーケティングというものがデジタルマーケティングとほとんど同義になりつつあり、高度な技術を使いこなすことはエージェンシーにとって基礎的な条件となっています。そうした中、クライアントが求めていることにかなう能力・スキルを備えているのが私たちです。Accenture Interectiveのような企業が成長していることは、広告の世界で何十年とキャリアを積んできた私のような者の立場から見ると、とても印象深いことです。

――従来型のエージェンシーも含め競合の少なくない領域です。他社との差別化についてどう考えますか。

フラー Accentureは戦略立案からデジタルマーケティングの実行まで網羅し、さらにさまざまな新しい技術に対応してきた経験も豊富です。これは他社と比べてもとてもユニークなことだと思っています。

――Accentureは2019年にDroga5を買収するなど、クリエイティブ領域にも注力していますね。

フラー Droga5を迎えたことでクリエイティブ面での能力はさらに高くなりました。クリエイティブなアイデアはマーケティングにおける差別化要因であり、全てのビジネスにとって非常に重要です。それはAccentureとしての戦略でもあります。ただ、エクスペリエンスエコノミーはこれまでのマーケターの在り方を全く変えてしまっていますから、クリエイティブの強化はほんの始まりにすぎません。究極の目標はエンドユーザーの体験を高めることであり、そのためにはもっとたくさんのことをやらなければいけないと思っています。

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