連載
第5回 「PDCA」の意外な歴史と本質:【連載】清水誠のWeb解析ストラテジー(2/2 ページ)
略語が1人歩きし「改善は継続が大事。がんばろう」で終わっていることが多い「PDCAサイクル」は、デミング博士によって1950年に日本に輸入され、サンプリングと分布という統計的なアプローチと品質管理の概念は日本の産業に大きく影響を与えた。100年の歴史から学ぶべきことについて、改めて整理する。
USへ逆輸入された1980年代
一方、不振が続いていた米国では、1980年にNBCによるドキュメンタリー番組「If Japan Can... Why Can't We?」(日本にできるのに、なぜアメリカができないのか?)が放映されたことをきっかけに、デミング博士の活動と実績にようやく注目が集まるようになりました。すでにPDCAサイクルを単なる品質管理から経営哲学にまで発展させていたデミング博士は、フォード社やゼロックス社など数多くの企業に対してコンサルティングを行い、実績を残しました。デミング哲学は製造業に限らず幅広い業界や行政機関によって急速に受け入れられ、Total Quality Management(TQM)として広がっていきます。そして1990年代のUSの国際競争力回復に大きく貢献したといわれています。
60年かけて進化、派生した「PDCA」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第1回 レポート分析のプロトタイピングで意思決定フローを作る
ページビュー、ユーザー数、広告のビューやクリック数……。Webのアクセス解析で一般的なこれらの指標は果たして、あなたの会社の経営判断に寄与しているだろうか? 「清水誠のWeb解析ストラテジー」第1回では、メディアサイトを例に、適切な意思決定を支援する指標の定義方法およびレポーティング方法を解説する。 - 第2回 メーカーサイトでもここまで分かる貢献度
ページビュー、ユーザー数、広告のビューやクリック数……。Webのアクセス解析で一般的なこれらの指標は果たして、あなたの会社の経営判断に寄与しているだろうか? 「清水誠のWeb解析ストラテジー」第2回では、製造業のサイトを例に、適切な意思決定を支援する指標の定義方法およびレポーティング方法を解説する。 - 第3回 「メルマガ」ではなく、「newsletter」では?
言葉の持つイメージによって、理解が制約を受けることがある。企業が配信するメール=メルマガと比喩的に表現すると、面白い文章を書いて全員に一斉配信するもの、と思い込んでしまいがち。米国生活中に実際に届いたメールの内容とタイミングについて具体的に紹介する。 - 第4回 「アクセス解析」でも「Web解析」でもない
Web Analyticsは「アクセス解析」や「Web解析」と訳されますが、実はどちらも微妙に異なります。「分析」と「解析」の違い、「アナリシス」と「アナリティクス」の違い、「ログ」や「アクセス」ではない理由など、紛らわしく悩ましい現状について整理しつつ、注意点をまとめました。 - 第5回 「PDCA」の意外な歴史と本質
略語が1人歩きし「改善は継続が大事。がんばろう」で終わっていることが多い「PDCAサイクル」は、デミング博士によって1950年に日本に輸入され、サンプリングと分布という統計的なアプローチと品質管理の概念は日本の産業に大きく影響を与えた。100年の歴史から学ぶべきことについて、改めて整理する。 - 第6回 データはアウトプットではなくインプット
Web解析=効果測定、というイメージがあるが、終わった施策の効果を後で調べ、改善の余地があれば改善するのは従来型の古いWeb解析。データの取得と解析を最後のアウトプットではなく、最初のインプットとして位置づけることのメリットについて紹介する。 - 第1回 ここからはじめるオウンドメディア
自社サイトをマーケティングコミュニケーションのHUBにしたいけれど、さて、どこから手をつけたらいいのか……。そんなマーケターの悩みに答える新連載。「オウンドメディアコミュニケーション 成功の法則21」(ソフトバンククリエイティブ)を再編集してお届けする。 - 第1回 統計データから紐解くマーケティングの「デジタルシフト」
コミュニケーションの場がデジタルにシフトしつつあるいま、マーケターにはいったい何が求められるのか。アドビ システムズ 井上慎也氏によるデジタルマーケティング論第1回は各種統計データを元にしたデジタルシフトの現状考察である。 - 第4回 マルチチャネルのハイブリッド分析で“儲かる”Webサイトを構築
「Webサイトから生成されるデータ」と「その他の顧客接点から生成されたデータ」を組み合わせて分析することで、Who、Whyの解明が実現する。ポイントは、顧客体験を分析視点の中心に据えること。これまで見えなかった顧客の動きが明らかになる。 - 第2回 世の中のあらゆる事象を数値化し、ビジネスに反映させる
世の中で起きているあらゆる事象を数値化し、ビジネスに反映させるにはどうすれば良いか? 情報処理速度数msというポテンシャルを活かせば何ができるのか? デジタル技術の革新により、今や、マーケターには常識を超える想像力が求められている。