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ブランドと顧客の出会いの場としてのオープンインターネットCriteo Exec Connect 2019レポート(2/2 ページ)

出会いは壁に囲まれた庭の外にある。タイ・チェンマイで開催されたイベントでCriteo幹部が語ったビジョンから今日のデジタル広告の課題を考える。

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オープンインターネットを企業が活用すべき理由


ジェイセン・ガレスピー氏はデューク大学(学士号)卒業後、スタンフォード大学で修士号を取得。IPG-owned Foote、Cone、Beldingなどの代理店、事業会社で分析チームを率いた。2013年にCriteoへ参画し、分析、インサイトおよびデータサイエンスの責任者へ就任。データ駆動型の洞察する主要な担当者として、クライアント、プレスをはじめとした幅広い広告テクノロジーコミュニティーと関わる。Eコマース会議では定期的に講演しており、Eコマースの動向に関する分析はメディアの報道で引用される。現在に至るまで20年以上の「データをインサイトに変える」経験を持つ。

――企業がオープンインターネットで戦うために必要なものとは何でしょう。

ガレスピー氏 オープンな場で勝負するためには、マーケターがさまざまなことをコントロール可能にするテクノロジーが必要です。自分たちの施策を可視化しあらゆる成果が計測可能になる世界です。認知、検討、コンバージョンといった異なるフェーズでマーケターが目的を達成するためにはAIの支援が欠かせません。われわれは2018年にAIの研究開発拠点をパリに設立するなどAIに積極的に投資しており、安全で有効にデータをつかえる環境を整えて企業のマーケティングを支援します。

―――なぜオープンインターネットを活用すべきなのか、あらためて理由を教えてください。

ガレスピー氏 マーケターがオープンインターネットを活用すべき理由は4つあります。

 1つは、普通の人はオンラインで過ごす時間の半分をオープンインターネットで残りの半分をSNSなどウォールドガーデンで使っているといわれます。にもかかわらず、そこに投資されているマーケティング予算は30%程度にとどまっているのが現実です。ユーザーの利用実態に合わせてオープンインターネットに投資することで、高い費用対効果を得ることができると確信しています。


人々がオープンインターネットで過ごす時間と広告投資の割合

 2つ目はデータにアクセスすることが可能なことです。オープンインターネットに集中することでさまざまな洞察を得られます。自分たちが打ち出しているキャンペーンだけでなく一般的な消費者の行動を知って、マーケターはよりスマートに動くことができる。

 3つ目が効果測定です。マーケターはキャンペーンの効果測定について常に一番いい方法を模索しています。ラストクリックだけでなくマルチタッチアトリビューションなどいろいろな手法を試したいと考えていても、閉じられた世界では自由なトライアルが難しい場合もあります。

 最後にチャネルの多様化です。1つのプラットフォームにトラフィックが集中すると、そこへの依存度が上がってしまいます。FacebookやGoogleはスケールの大きい素晴らしいプラットフォームですが、完全にそこに依存してしまっていいのかというと懸念もあります。

―――とはいえIDベースでデバイスを越えてユーザー行動を統合できるなど、巨大プラットフォームならではの強みもあります。オープンインターネットとどちらか一方を選ぶというものでもない気がしますが。

ガレスピー氏 その通りです。マーケターとしては検索とソーシャルとオープンインターネットと、それぞれの良さを理解して使いこなす必要があります。「or」ではなく「and」であるべきですね。

―――オープンなプラットフォームで小さな会社が大企業と互角に戦うという意味では、昨今アパレルやコスメなどのD2C(Direct to Consumer)ブランドの台頭が見逃せません。これらの新興ブランドにCriteoが貢献できることは何でしょう。

ガレスピー氏 D2Cは従来型のビジネスと異なりディストリビューションチャネルに頼れない分、マーケティングがより重要になってきます。普通の企業以上に顧客理解が求められるでしょう。D2Cのプレイヤーがより効果的にマーケティング予算を活用するためにCriteoは貢献できます。D2Cは素早く動かなければならない。今まさに起きているトレンドに追い付かなければいけない。成功するためにはテストアンドランをしっかり回す必要がある。

―――D2Cが独自性を訴求するためにも、オープンインターネットの活用は不可欠になりそうです。

ガレスピー氏 まさに。D2Cは既存のビジネスモデルを破壊するものです。Casperはマットレスを販売するD2Cですが、お店で買うのが当然だったマットレスを直販にすることで中間コストを削り、その分をカスタマーサービスやキッティング、輸送などに投資しました。既成概念にとらわれず自由なフォーマットで消費者が求める新しい購買体験を作るため、オープンインターネットの利用は欠かせないでしょう。

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