Amazonになれない企業でもCriteoと組めば戦える――CEOが語る新たな成長ステージ:「フルファネル」「AI」「日本市場」(1/2 ページ)
パフォーマンスマーケティング企業としてEC事業者を中心に支持されるCriteo。CEOに復帰したJB リュデル氏がこれからの戦略を語った。
2005年にパリで設立されて以来、リターゲティング広告のパイオニアとして業界をけん引してきたCriteo。世界30カ国以上にオフィスを持ち、導入企業数も2万を超えてパフォーマンスマーケティング領域で独自の築いた同社が今、変革期を迎えている。
2018年4月には、創業者で2016年からは会長職に退いていたJB リュデル氏がCEOに復帰。従来のダイナミックリターゲティング広告だけにとどまらないフルファネルでのサービス提供へと舵を切る戦略の転換を発表した(関連記事:「Criteoが2018年の事業戦略を発表、「リタゲ」から「フルファネル」へサービス内容を拡張」)。
2018年7月には戦略の柱の1つとなる新製品「Criteo Customer Acquisition」を発表した(2018年10月に一般提供開始)。既存顧客の引き合いに加え、新規の問い合わせも順調に増えているという。Criteoは今後、さらなる成長に向けてどういう地図を描いているのか。来日したリュデル氏に話を聞いた。
JB リュデル氏 Criteo創業者で最高経営責任者兼会長。Criteo創業以前は、モバイルコンテンツ事業のK-Mobileを創業し、CEOを務めていた。同社は2004年6月にAG Interactive(American Greetings Corporation)によって買収されている。
Criteoを始めたきっかけ
――パフォーマンスの高い広告手法として日本でも評価の高いCriteoですが、そもそも広告ビジネスを始めたきっかけは何だったのでしょうか。
リュデル氏 もともと私たちは純粋なテクノロジー企業で、創業間もない頃は私と2人のスタッフで、インターネット上のユーザーと情報のマッチング精度を上げるといった課題に挑んでいました。オフィスもなく、私の妻が経営するサラダ店のバックオフィスが最初の仕事場でした。
――Criteoのルーツはパリのサラダ店にあるのですね(笑)
リュデル氏 インターネット上には無数の情報が漂っています。雑多な空間の中で、自分が欲しい情報を探すのは非常に難しい。そこで、ユーザーの行動を先読みして好みの商品にたどり着けるような仕組みがあればいいのではないかと気付いたのです。しかし、テクノロジーがあることとそれをビジネスとして成功することはまるで違うのです。3年間試行錯誤した末に、われわれのテクノロジーを適切に市場に展開する方法としてたどり着いたのが、広告というビジネスモデルです。今から考えると当たり前のことではありますが。
――市場にフィットしたビジネスを生み出すのは難しいことであったと。
リュデル氏 トテモムズカシイ(笑)。成功するまでには忍耐強く、長期的にものごとを見て続けていかなければいけないというのが、私たちの大きな学びです。
――困難を乗り越え、広告ビジネスを成功させることになったきっかけは何でしょうか。
リュデル氏 多くの企業がそうであるように、われわれが最初に当たった壁の1つが料金設定です。当社も最初は適正な価格設定が分かりませんでしたが、最終的にクリック課金(CPC)型の料金体系にたどり着きました。アクションに対してコストが発生するという考え方は広告主側からすれば費用対効果が分かりやすく、メディア側からすれば、在庫がはけやすい。双方に対してWin-Winの関係が構築できると考えたのです。クリック型課金を導入してから急成長を遂げ、2013年にはNASDAQに上場しました。
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