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ブランドと顧客の出会いの場としてのオープンインターネットCriteo Exec Connect 2019レポート(1/2 ページ)

出会いは壁に囲まれた庭の外にある。タイ・チェンマイで開催されたイベントでCriteo幹部が語ったビジョンから今日のデジタル広告の課題を考える。

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 2019年7月3〜4日の2日間、Criteoはタイ・チェンマイのFour Seasons Resort Chiang Maiにおいて、日本を含むAPACの広告主向けエクスクルーシブイベント「Criteo Exec Connect 2019」を開催した。

 同イベントではCriteoが2018年に発表した新ビジョン「オープンインターネット」の真意とこれをベースとした戦略、そして新たな注力分野であるモバイルアプリ広告における今後の展開についてCriteo幹部が語った。また、各国のゲストが登壇してパネルディスカッションも行われた。本稿ではそのうちオープンインターネットにテーマを絞って紹介する。

GAFA支配を超えてゆけ

 今日のインターネットについて語るとき「GAFA」を無視することはできない。「Google」「Amazon」「Facebook」「Apple」に代表される少数の巨大プラットフォームは圧倒的なデータを基に新たな価値を築く一方で、データそのものはプラットフォームに閉じて他社には自由にならない世界を生み出してしまった。この状況は「ウォールドガーデン(Walled Garden:壁に囲まれた庭)」と表現されることもある。

 Criteoはインターネットにおける多様性を重視し、特定のプラットフォームに依存しない世界であらゆる企業がビジネスを成功させられるよう、広告を通じて企業のマーケティングを支援することを理想として掲げている(関連記事:Amazonになれない企業でもCriteoと組めば戦える――CEOが語る新たな成長ステージ)。

 「検索、ソーシャル、そしてオープンインターネットという3つのチャネルはそれぞれ重要だが、APACのマーケターにとってとりわけ大事なのはオープンインターネットだ」

 そう語るのはCriteoバイスプレジデントでアナリティクスとデータサイエンスチームを率いるジェイセン・ガレスピー氏だ。


ジェイセン・ガレスピー氏

 ガレスピー氏はCriteoが2019年第一四半期に実施した消費者調査「Why We Buy」から興味深いグラフを紹介した。さまざまなデジタルチャネルの中で何がブランドとの出会いのきっかけになっているか尋ねたもので、欧米ではFacebookが強いが日本と韓国では「Webサイト」と「YouTube」が2トップを占めたのだ。特に日本ではWebサイトが強い。

 「メールやブログなども含めれば、さらにオープンインターネットの比率は高まる。消費者にとっては、オープンインターネットこそが新しいブランドを発見する場になっている」とガレスピー氏は語る。


Criteoによる調査結果

オープンインターネットで求められる広告の役割

 消費者のいるところにはコミュニケーションが発生する。企業と消費者の関係でいえば広告も重要な顧客接点だ。広告を通じて自社の商品を知ってもらうだけでなく、検討し、購入してもらうために、顧客のステージに応じた施策が必要になる。

 以前のCriteoは購入の場面での訴求(リターゲティング)を強みにしていた。だが、現在ではフルファネルでサービスを提供しており、認知のフェーズでも広告商品を投入している。つまり、Criteoはブランディングにも使えるようになっている。

 認知を得た後、消費者をつなぎ止め再購入を促す要因はさまざまだ。「安い」「品質が良い」「ポイントが付く」などインセンティブは多岐にわたるが、結局のところブランドに価値を感じてもらえるか否かというところが大きいようだ。

ちなみにCriteoの調査によると、APACの国別ではブランド価値に購入行動を左右されると答えた人の割合が最も高いのはインドだが、自分の価値観に合ったブランドから繰り返し購入したいと考える人の比率は日本が最も高い。


ブランド価値が購買行動に及ぼす影響

 APACの消費者のトレンドに関してガレスピー氏がもう1つ指摘するのはモバイル比率の高さだ。APACにおけるモバイルショッピングの利用比率は75%と他の地域より圧倒的に高く、アプリからのアクセス比率も高まっている。Criteoはモバイルアプリ広告を2019年の注力分野と捉えている(関連記事:Criteoがモバイルアプリ広告事業を強化、新規獲得と既存顧客活性化のためにできること

 移り行く消費者のトレンドを押さえ、最適なタイミングで最適なチャネルを通じて最適な人にアプローチするにはテクノロジーの力が不可欠だ。AmazonやFacebookやGoogleなどの強みがデータにあるのはガレスピー氏が冒頭に述べた通りだが、Amazonになれない小さな会社が彼らと戦うためには武器がいる。

 「データの持つ可能性をあらゆる企業に開放したい」とガレスピー氏は明言する。次世代の消費者の行動をキャッチアップする広告システムを提供し、かつ広告主のデータは広告主に帰属したままで、壁に囲まれた庭のオルタナティブを打ち立てるという高らかな宣言だ。

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