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TikTokをマーケティングに活用する企業がショートムービーでユーザーの心をつかむためにやっていることコンテクストをつかむ(1/2 ページ)

TikTokをマーケティングプラットフォームとしての可能性に注目している企業は多いだろう。TikTokにはどのような特徴があり、どう活用できるのか。運営会社の中の人が語った。

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 若い世代から火が付き、今や幅広い年齢層に急速に普及が拡大しているショートムービーアプリ「TikTok」。世界150の国と地域をカバーし、日本においても2018年第1四半期時点で月間アクティブユーザー(MAU)数は950万を超えた(関連記事:「TikTokはコミュニケーションプラットフォームとして2019年の日本でどう進化するか」)。アプリのダウンロード数においても、AppAnnieによるランキングでは「LINE」など並み居るライバルを抑えてダウンロード数日本一の座を占めている(関連記事:「アプリパブリッシャー世界ランキング、日本発のアプリの現状は?――App Annie調べ)。

 TikTokを運営するByteDanceは2012年に中国で生まれた企業だ。中国国内向けのショートムービーアプリ「抖音(ドウイン)」をはじめ各種スマートフォンアプリの開発を手掛け、日本には2016年に進出している。

 本稿では、ByteDanceでブランド広告事業を統括する田村千秋氏が2019年4月5日に「コンテンツ東京 2019」で行った講演から、TikTokが幅広い支持を集めつつある背景と、TikTokをマーケティング活動に活用するためのポイントを紹介する。


ByteDanceブランドソリューション事業部統括部長の田村千秋氏

TikTokの強みはエンゲージメントとテクノロジー

 高速常時接続のインターネット環境とスマートフォンの浸透により、誰でもいつでもどこでも気軽に動画を視聴できるようになった。そうした中、人々のインターネット上における自己表現の手段がテキストや写真から動画中心へとシフトしつつある。

 「TikTok」は、ユーザーが15秒以内の動画を撮影し、共有してハートやコメントを送り合う場だ。田村氏はTikTokを「ソーシャルショートムービー(SSM)プラットフォーム」と位置付けている。

 よく知られるように、TikTokは当初10代のユーザーを中心に火がついた。さまざまな歌に合わせたリップシンク(口パク)動画や「#踊ってみた」のハッシュタグを付けたダンス動画は特に人気のコンテンツで、ここから数々のインフルエンサーも生まれている。

 そして、その勢いは10代だけにとどまるものではなく、2018年8月以降は20代以上のユーザーも着実に増加している。支持層が広がり続けるTikTokの強みとして、田村氏は「高いエンゲージメント」と「機械学習テクノロジーによる配信アルゴリズム」の2点を挙げる。

 エンゲージメントの高さは、例えばTikTokユーザー対象のアンケートで52%が「ハッシュタグを付けて動画を投稿したことがある」と答えていることからもうかがえる。TikTokのコンテンツはユーザーの投稿によるものがメインで、他のプラットフォームに比べても圧倒的にユーザーの参加率が高い。また、21%のユーザーがTikTokで見た情報に喚起されて検索などの行動を起こしている。田村氏は「もともと感度の高いアクティブユーザーから利用が広がったプラットフォームということもあるが、TikTokはフルスクリーンでの視聴なのでコンテンツへの反応率が高いという特徴がある」と見ている。

 もう1つは、ByteDanceの強みである機械学習テクノロジーによる配信アルゴリズムだ。TikTokでは、検索やタップといったユーザーの動作を基にすぐに関連するコンテンツがフィードに表示される。このアルゴリズムが、一度見始めるとつい長時間にわたって見続けてしまうTikTokの中毒性を加速させるのだ。

誰もがクリエイターになれる世界

 TikTokが支持される理由をユーザーの視点から見たとき、発信する立場と視聴する立場、それぞれにおいて他のプラットフォームにない優位性が挙げられる。

 まず発信。田村氏が強調するのは、TikTokにおいては「誰もがクリエイターになれる」ということだ。TikTokには、投稿に使えるさまざまな楽曲やエフェクトが用意されており、スマートフォン1つで自分なりのコンテンツを豊かな表現で作り上げることができる。このことが魅力となり、多くの投稿につながっているのは言うまでもない。

 必ずしもクオリティの高いコンテンツが作れなかったとしても、新しいエフェクトを試したり流行の撮影方法を実践したりして、友人同士で送り合うだけでも仲間とたくさんの楽しい時間を共有できる。TikTokは仲間との時間を楽しみ、体験を共有できる場でもある。そこが、先述したソーシャルショートムービープラットフォームと呼ばれるゆえんだ。

 また、視聴する立場としては、次々と生まれるコンテンツの豊富さも大きな特徴だ。ポップで楽しい動画だけでなく感動的な動画もあり、最近ではメイクやレシピなどハウツーものの動画も充実している。ゲーム実況も人気だ。これらのさまざまなコンテンツをスワイプしながら見られるUI(ユーザインタフェース)も心地よい。アプリの使い勝手とコンテンツの内容の両面で、飽きずについ見入ってしまう作りになっているのがTikTokなのだ。

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