デジタルアシスタントの台頭でブランドと消費者の関係が根本から変わる:「Future Focus 2018」を読む(1/2 ページ)
新時代を生き抜くマーケティングコミュニケーションとはどういうものか。iProspectの未来予測「Future Focus 2018」から考察する。
前回「いつでもどこでも購入が可能な世界――顧客のインスピレーションとコンバージョンの距離が近づきつつある」では、コマースの拡大と動向について紹介しました。今回はその拡大と進化を加速させている「デジタルアシスタント」の今後の可能性について記述します。
「FutureFocus 2018」とは
iProspectでは、マーケティングビジネスのトレンド予測レポートを毎年リリースしています。その2018年版である「Future Focus 2018」(注:外部リンク)においては、2017年末にグローバルのクライアント企業250社を対象に、2018年に彼らの事業が直面する重要課題と、急速に変化し大きな期待を集めるデジタルエコノミーで成長し続けるための優先事項について分析しました。本年度は、以下のトピックスを中心にまとめられています。
- AIと機械学習がマーケティングを変える
- いつでもどこでも購入が可能な世界
- デジタルアシスタントの台頭
- カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の強化
デジタルアシスタントとは何か
デジタルアシスタントとは文字通り「人を手伝ってくれるAI(人工知能)」といえるでしょう。Amazon.comの「Alexa」、Googleの「Google Assistant」、Appleの「Siri」などがこれに該当します。音声による会話が可能で、人々の日常生活をより便利に、そしてシンプルにするためにさまざまな機能を搭載しています。
具体的にデジタルアシスタントがこなしてくれるタスクには、天気予報や最寄りの店舗検索などの情報提供、スマートホームの操作、買い物、タクシー予約などが挙げられます。しかし私は、これらの機能はデジタルアシスタントが持つ大きな可能性の端緒にすぎないと考えています。
現在のデジタルアシスタントは質問を聞き、情報を探し、答えるという行動を取りますが、今後は学習機能が強化され、徐々にパーソナライズされた、より人間らしいコミュニケーションができるようになると考えられます。
デジタルアシスタントの普及状況
iProspectは2018年4月にAPAC(オーストラリア、中国、インド、インドネシア、シンガポール、日本)における18〜50歳のスマホユーザーおよそ1800人を対象に調査を実施しました。ここではVoice(音声AI、音声検索、音声によるアプリ操作など)をテーマに、デジタルアシスタントの使用頻度から使用理由まで深く調査しています(関連記事:「今日のリサーチ:日本の音声技術普及率、アジア太平洋市場の中では低調――iProspect調べ」)。
同調査によると日本のスマホユーザーの40%がVoice関連サービスを利用しており、そのうち3分の2は週に少なくとも1度は利用しています。全体の利用者のうち、使用頻度が過去6カ月で減少したと回答した利用者はわずか4%で、継続して利用されていることが分かります。PCやスマホのようなタイピングでなく、しゃべることで操作するため、容易に使えることが一因と考えられます。
かつてVoice関連サービスは限られた人々が使う有料のものしかありませんでしたが、現在は無料で利用できるものが大半であり、スマホ一つで利用が可能です。こうしたことから、Voice利用は今後ますます拡大すると考えられます。
使用目的はさまざまですが、最も多い使用目的は音声検索(59%)とパーソナルアシスタント利用(44%)の2つとなります。ComScoreの調査(外部リンク/英語)によると、2020年までには検索の50%が音声検索になるといわれています。音声による検索はより口語的なため、今後はそうした検索クエリに対応するためのSEO対策も必要になってきます。
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