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エキスパートが語る「高速PDCA」の回し方――シナリオ設計から組織と仕組み作りまで成果につながる考え方(1/2 ページ)

PDCAの重要性は頭では理解していても実践が難しいと悩むWeb担当者へ、シナリオ設計から組織と仕組み作りまで実践的なノウハウを紹介する。

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エキスパート2人が実践トーク

 2016年10月26日、行動観察による顧客体験設計を軸にデジタルマーケティング支援サービスを提供するビービットとUNCOVER TRUTHの2社が「コンバージョンUPにつながる! 実践できる高速PDCAサイクルセミナー」を共同で実施した。

 「Webサイトの運営においてコンバージョンが伸びない」「施策の効果が頭打ちになっている」「改善のPDCAがうまくいっていない」といった課題を持つマーケターやWeb担当者に向け、両社を代表するWeb解析のエキスパートが語った実践的なノウハウをダイジェストで紹介しよう。


「大きなPDCAを回す」ということ


生田 啓氏

 最初に登壇したのは、ビービットでデジタルマーケティングのコンサルティングや効果測定ツール「WebAntenna」のサービス開発を担当する生田 啓氏だ。「成果を挙げるPDCAの回し方 ウェブ集客施策を位置付けから抜本的に見直す手法と成功事例」をテーマに掲げた生田氏は冒頭、「Web広告を運用する企業から、今年に入って同じ悩みを何度も相談されている」と語った。その悩みとは「新規顧客獲得における運用型広告の最適化は限界に達しており、成果が伸び悩んでいる」ということだ。

 これに対して、各企業ではデータ分析やマーケティングオートメーションを活用して潜在顧客の獲得と育成を模索しているわけだが、めざましい成果を得られない企業が多い。この原因として生田氏は、「長期のコミュニケーションシナリオの設計ができていないこと」「顧客とのタッチポイントがデジタル寄りになったことでデータ分析の難易度が上がり、データを使いこなせていないこと」を挙げる。

 テクノロジーはあくまでも手段にすぎず、テクノロジーだけで成果は出ない。「伸び悩みの壁をブレイクスルーするためには、企画から実施、検証までの流れを抜本的に見直すことが必要。長期的な視野に立って『大きなPDCA』を回す必要がある」と生田氏は強調する。

 大きなPDCAを回すため、主に広告枠やクリエイティブのプランニングを行うイメージがある企画段階の枠を広げ、プランニングの前段階でWebのゴール設定やユーザー理解をしっかり行う必要が生じる。具体的には、以下のようなことがポイントになる。

ゴール設定

 Webはあくまでビジネスの成功手段の1つである。そこで、Webのゴールはビジネスの目的に結びついている必要がある。「定石を疑う」「既存のゴールにこだわらない」「ゴールの有効性を見直し、検証する」といった視点が重要。

ユーザー理解

 起きている事実を基に具体的なユーザーを描く。ターゲティング広告の配信条件だけでユーザーを理解することはできない。データだけでなく生のユーザーに触れるためにアンケート調査を実施したり、顧客ごとのログや購買データを見たりする必要がある。店舗に立つ、コールセンターで電話応対をする、知人や家族の意見を聞くなど、事実に触れる努力も大切だ。

プランニング

 見直したゴール、ユーザー理解に則した施策を実施する。きめ細やかなフォーム設計やクリエイティブの見直しによってCVR(コンバージョンレート)が2.5倍に向上したケースもある。


Web集客で達成すべきゴールから考え直す

 大きなPDCAを回すのは手間が掛かる。現実的には月次や四半期といったタイミングで抜本的な見直しをすることになる。また、大きなPDCAと同時に日々の業務として確実に回すべき「小さなPDCA」についても、まだまだ改善の余地があると生田氏は指摘する。「そもそも日次でPDCAを回している企業はほとんどない。PDCAはトライ&ラーンの連続であり、いろいろな失敗も糧になる。この糧を蓄積するためにも、小さなPDCAを高速化して日々回すことが大切」というわけだ。

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