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進化した教科書――HTML5で表現された豊富な映像資料が学びを深めるAdobe Digital Publishing Forum 2013

「Adobe Digital Publishing Forum 2013」で紹介された東京書籍の電子教科書アプリは豊富な映像資料とアプリ独自の機能が盛り込まれた、まさに新時代の教科書だった。

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 東京書籍が制作した電子教科書アプリは全部で9種類(9科目)。いずれもアドビのDTPツール「InDesign」で作られた紙版が存在していたため、DPS(Digital Publishing Suite)でのアプリ版制作がスムーズに進んだ。デモンストレーションで紹介されたのは高校生向けの「化学」と「世界史」のアプリだった。

 縦スクロールでページが進み、横にスライドすると練習問題が表示される。図はタップで拡大し、解説の間に置かれている「問い」もタップで大きくなり、リアルタイムに解答が表示される仕組みだ。また、紙の教科書では数枚の写真で表現されていた実験の様子が動画によって具体的に分かるようになった。書き込みやマーキングもできる。

 紙の教科書でできることは基本的に再現されている。加えて、紙のままでは表現力不足だった要素がHTML5によって実現された。デモンストレーションで印象的だったのは、製鉄所内部の様子だ。「あたかも工場見学に訪れたように、製鉄所の中を“歩き回れる”」(東京書籍 ICT事業本部 制作部 長谷部直人氏)。

 「世界史」の教科書アプリで特徴的だったのは、20世紀以降の歴史を記述した箇所である。例えば、ロシア革命時の労働者のストライキの状況を現存する動画で紹介するなど、文字による説明を超えた説得力が追加された。また、戦争時の国境線の変化をタップによって切り替えたり、1つの画面の中に複数レイヤーの情報を盛り込むことも可能となった。

 東京書籍の電子教科書アプリのほかにも、アドビ システムズは、同イベントを通じて、日経ナショナル ジオグラフィック社やコンデナスト・ジャパンの雑誌のアプリ版、キヤノンのデジタルレンズカタログを紹介した。いずれも同社のDPSを活用した新しいメディアであり、その表現性は、“静的な”紙メディアの限界を超えるものだった。

 来日したNick Bogaty氏(Adobe Systems Inc. Director Business Development)はアドビのイメージについて、(従来のような)クリエイティブツールだけの企業ではなく、マーケティングまでも包含した統合的なソリューションを提供できる企業への(イメージ的な)脱却を目指しているとアピールした。

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