生成AIの進化によって、広告は大きな変革期を迎えている。
日本でビジネスを展開して15年になるモバイル広告プラットフォームのInMobiは、AIパーソナライゼーションの「Glance AI」との連携によって自社内でファーストパーティーデータとサードパーティーデータを掛け合わせた高度なデータ連携を実現した。ハイパーパーソナライゼーションを掲げる同社は今、広告業界の変革をリードしている。
消費者の購買行動が激変する中、企業は広告施策とどう向き合うべきか。InMobiのクナル・ナグパル氏に、AI時代の広告の未来について話を聞いた。
フルファネルの広告支援で「商品がやって来る」ショッピング体験を
InMobiが目指す変革の核がGlance AIとの連携強化だ。ナグパル氏は、InMobiの現状をこう語る。
「InMobiは2つの事業の集合体です。一つがモバイル広告プラットフォームであるInMobiのB2B事業。もう一つが、AIパーソナライゼーションで新しいショッピング体験を提供するGlance AIのB2C事業です」
Glance AIはスマートフォンのロック画面やコネクテッドTVに標準搭載されるAI機能。膨大な商品から探すのではなく、セルフィー画像を基に生成AIでお薦めのファッションを提案するなど「商品がやって来る」ショッピング体験を提供する。日本ではソフトバンクやシャープと連携している。
「創立から18年、私たちは単なるアドテクベンダーではなく、広告主や代理店のための“テクノロジーイネーブラー”へと進化しています。この2つの連携を強化することで、広告主のマーケティング課題を解決し、企業と消費者の双方にイノベーションを起こします」
企業マーケティングの2つの課題
デジタル広告分野では「ウォールドガーデン」の課題が指摘されている。FacebookやInstagram、YouTubeといった強大なプラットフォームが、自社サービスの外にユーザーやデータを出さない「閉鎖環境」を構築していることを指す。ナグパル氏は、この構造が広告主にもたらす不利益をこう説明する。
「プラットフォームがユーザーやデータを囲い込み、広告主には“どんなクリエイティブが誰に響いたのか”といったインサイトがほとんど開示されません」
プラットフォームがデータを蓄積して賢くなる一方で、広告主には知見がたまらない。そのような状況下でも、大手プラットフォームには膨大なユーザーがいるので出稿せざるを得ないのが現状だ。
InMobiはオープンWebで広告を配信し、広告主に「インサイトなどのデータを積極的に開示している」という。「広告主がシグナルやインサイトを活用し、ビジネスを成長させる手助けをすることがわれわれの役割です」とナグパル氏は語る。
企業のマーケティング課題はもう一つある。生成AIの進化によって大きく変化した消費者の購買行動にどう対応すべきか。企業は迅速な対応が求められている。
この変化は、企業にとってデメリットばかりではない。生成AIの登場で“最適な回答”にたどり着くことが容易になった。
「Glance AIを使えば、消費者は購入前に物理的に試着しなくても『どう見えるか』を確認できます。時間を無駄にせず、本当に欲しいモノだけを買う、シームレスな体験が可能になります」
広告主側も試着や返品の時間を短縮できるため「薄利のビジネスでは大きなコスト削減になる」と、ナグパル氏は双方のメリットを強調した。
高度なデータ連携で変わる広告配信
同社がハイパーパーソナライゼーションを実現できる背景には、高度なデータ連携がある。
Glance AIに登録されたユーザー情報をパーソナライズに利用する他、収集したファーストパーティーシグナルをInMobiの広告配信に活用できる。これによって顧客理解はさらに深まり、プライバシーを守りつつ効果的な広告配信が実現する。
同社はこれまで、購入に直結するローワーファネル(アプリのダウンロード、リテーラーのコマース促進、会員登録など)の広告に強みを見せてきた。この連携で精緻なパーソナライゼーションを実現し、フルファネルでのマーケティング施策をInMobiプラットフォームで展開できるようになった。
AIが利用履歴を通じてユーザーの興味関心を学習するため、使うほどにパーソナライズの精度が高まっていく。
InMobiは創立当初から、計測可能な成果(ROI)を出すことに強いこだわりを持ってきた。今回の連携でアッパーファネルでの広告配信を含め、フルファネルで投資対効果を意識したサービス提供体制が整った。
今後のマーケティング活動において、このハイパーパーソナライゼーションの力をどのように活用するかが、ビジネスを左右するはずだ。
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提供:InMobi Japan株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia マーケティング編集部/掲載内容有効期限:2025年12月8日


