2年間で応募数「1.7倍」 求人サイトを運営するディップが、データを活用して見つけた意外な求職者ニーズ:アドビが聞く「実践! CX改革」(1/3 ページ)
アルバイト、パート、派遣、社員の求人情報を求職者に提供し、企業とマッチングを図る人材サービスを提供しているディップは、Webサイトやアプリにおける応募率向上に向けて、データ分析とテスト実行のサイクルを高速回転させる体制を構築し、大きな成果を挙げています。同社が運営する求人サイトの「バイトル」「はたらこねっと」は、UI/UX改善やレコメンド施策の強化に取り組み、2年間でサイト全体の応募率を1.7倍に向上させました。今回の記事ではディップが成功した背景を、アドビのコンサルタントが解説します。
アルバイト、パート、派遣、社員の求人情報を求職者に提供し、企業とマッチングを図る人材サービスを提供しているディップは、Webサイトやアプリにおける応募率向上に向けて、データ分析とテスト実行のサイクルを高速回転させる体制を構築し、大きな成果を挙げています。
同社が運営する求人サイトの「バイトル」「はたらこねっと」は、UI/UX改善やレコメンド施策の強化に取り組み、2年間でサイト全体の応募率を1.7倍に向上させました。
今回の記事ではディップが成功した背景を、アドビのコンサルタントが解説します。
求職者が1日でも早く仕事に就けるように 「ユーザーファースト」を重視
ディップは、アルバイト・パート求人情報「バイトル」、正社員・契約社員を目指す人向けの求人サイト「バイトルNEXT」、専門職の総合求人サイト「バイトルPRO」、そして総合求人サイト「はたらこねっと」などのWebサイト、スマートフォンアプリを開発・運営する人材サービス企業です。
同社がサービスを開発するうえで中心に置く考え方が「ユーザーファースト」です。サイトのユーザーである求職者が1日でも早く仕事に就けることを最優先に考え、提供する情報の精度向上、UI/UXの改善に取り組んでいます。
同社のサービスのユーザーである求職者のジャーニーは、次のようになっています(バイトルの場合)。
まずアルバイトや社員などの仕事を求める人の多くは、Googleなどの検索サービスを使用します。例えば「職種×エリア」などの掛け合わせで同社のWebサイトを探し当て、流入します。
この場合、入口としての最初に訪れるページは仕事一覧のページになることが多いのですが、この一覧のページの中で気になる仕事が見つからない場合にはWebサイトから離脱(直帰)してしまうことも。仕事一覧ページへ訪れたユーザーに対して、さまざまなパーソナライゼーション施策を実施し、求職者が探している仕事に出会いやすくすることが非常に重要です。
ユーザーは、気になる仕事があればその仕事の詳細ページに移動し、仕事内容や作業場所、給与などの内容を確認します。こうして「仕事一覧と仕事詳細」を行き来しながら仕事を選んでいく作業が続き、最終的に自分に合う仕事を見つけて応募します。もし、その場で仕事を決めなくても、気になる仕事を「キープ」しておき、翌日などに再びサイトを来訪して検討することもできます。
サービスを通じて、1人でも多くの求職者が仕事を早く見つけることを目指す同社では、サイトの来訪者が仕事を見つけた結果である「応募数」を主要なKPIに設定しています。応募数を増やすためには、Webサイトやアプリを利用し、求人を閲覧した訪問に対する応募数である「応募率」を改善する必要があります。そのためサイト自体のUI/UXを改善すると同時に、サイトを閲覧しているユーザーのニーズに最適化した仕事を、別枠でおすすめする「レコメンド情報」で興味をそそる情報を提供することも重要になります。
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