解約したいのに引き止められるのは「良い顧客体験」なのか:デジタルコミュニケーションに「おもてなし」の心を(1/2 ページ)
「コト売り」「サービス」で稼ぐ企業であれば、顧客との良好な関係を長く維持し、解約されないようにしたいのが本音だ。しかし、それはあくまで企業からの見方にすぎない。出発点はあくまで顧客。「解約防止」される側の視点に立ってみると……。
サブスクリプションモデルが浸透しあらゆるビジネスがサービス化する時代、ユーザーの継続率を上げ、LTV(顧客生涯価値)やリテンション率を高めることは最優先の課題といっても過言ではない。これらの課題解決を支援するため、当社Macbee Planetは解約分析・防止のチャットbotを提供している(関連記事:「『バンダイチャンネル』が実践する解約防止術」)。
このサービスも開始からおよそ1年が経過し、いろいろな業種の方から相談をいただくようになった。その中には「とにかく、徹底的に解約を止めてほしい」という依頼もあれば、「ゴリゴリに防止をしなくても、解約希望者にはすぐやめられるような導線を作ってほしい」と求められることもある。先日は「解約のフローは作らなくていい、結局解約できないような流れで構わない」というようなオファーもいただいたが、さすがにそれはお断りさせてもらった。
「解約防止」を顧客視点から考える
いずれにせよ、この解約というタイミングは、顧客との最後のタッチポイントであり、非常にセンシティブでデリケートなものだ。チャットbotの会話レポートを見ると「すぐに解約させろ」「この最後に出てくるチャットbotが面倒くさい」というようなお言葉を少なからずいただいている。解約防止の取り組みが顧客から必ずしも好意的に捉えられていないのは事実である。
ただ、少し補足をさせていただくと、チャットbotの設置場所により顧客体験は大きくかわる。チャットbotの設置場所がかなり深い階層にあると、ようやく解約画面にたどり着いた人にとっては邪魔なものに感じられるかもしれない。同じ文言を表示させるのにしても、もっと早いタイミングで出てくれば、印象は変わる可能性がある。実際、チャットbotを上位階層に設置した場合、会話が適度に進むことが多い。会話の結果として魅力的なオファーを発見したりリーズナブルな別プランに選択し直したりすることができれば、顧客と企業双方にとって望ましいはずだ。
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