SaaS企業として驚異の継続率97% ServiceNowが考える、CX向上にDXが不可欠である理由:デジタルトランスフォーメーション(DX)推進は待ったなし(1/2 ページ)
「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット 2019」におけるServiceNow Japanの李 広泰氏による講演内容を紹介する。
企業向けサービスマネジメントクラウドサービスを提供するServiceNowは、サブスクリプション型ビジネスとして驚異の継続率97%を実現する注目企業だ。
同社の提供価値であり、同社自身の成功の礎ともなるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)といえる。企業はいかにしてDXを推進すればいいのか。そしてDXをCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)の向上につなげる上でどういう視点求められるのか。2019年2月19日に開催された「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス&テクノロジ サミット 2019」におけるServiceNow Japanカスタマーサービスマネジメント事業部長の李 広泰氏の講演から探る。
CXにはDXが必要だ
李氏は冒頭「多くの企業のカスタマーサービスリーダーにとってCXは必要不可欠であり最優先事項」と切り出した。
顧客満足度は売り上げに相関する。近年、事業のKPIとしてNPS(ネットプロモータースコア)が注目を集めているのも、満足度の高い顧客に推奨意向を持ってもらい、新たな顧客を呼び込むことが重要であるという今日中認識が出来上がりつつあるからだ。
一方で、顧客満足度を高くするのは言うほど簡単なことではない。製品の選定から購入、継続といったカスタマージャーニーの中で顧客はさまざまな体験をするが、どこかに至らないことがあると、その積み重ねが企業全体の満足度を低下させてしまうことになる。不満の要因は大きく分けて以下の3つに集約できる
- 部門のサイロ化
- ニーズにこたえられない
- 自分で解決できない
カスタマーサポートに電話をかけても、担当が枝分かれしていてたらい回しにされ、すぐに解決しない。どうにか解決はするものの、何が問題だったのかすっきりとせず、解決後も満足感を得られない。デジタル化が進んでおらず、ちょっとした問い合わせもいちいち営業時間内に電話しなければならない。そもそも自分解決するための仕組みが整っていない。
CSMとは何か
これらの不満を、デジタルの力で解消するための仕組みがCSM(カスタマーサービスマネジメント)であり、ServiceNowはCSMを支援するサービスとして「ServiceNow CSM」を提供している。
ServiceNowは2004年、創業者のフレッド・ラディ氏が49歳のときに起こした会社だ。「普通の人々の日常業務の生産性を高めるクラウドベースのプラットフォームを構築する」というビジョンを掲げ、2018年Forbes TOP100 Innovative(世界で最も革新的な企業)では初登場1位に選ばれている。
上記のビジョン通り、日常業務の生産性を高めた先には「付加価値の高い人にしかできないいFuture of Work(新しい仕事)を創造したい」という思いがある。DXを推進することで、人にしかできないことは人がやるが、自動化できるところは自動化してセルフサービスで自己解決する仕組みを整えようというのだ。
DXには大きく分けて3つのフェーズがあると李氏は語る。1つ目が業務の生産性の変革。すなわち標準化や可用性の向上であり、ITを活用して社内の定型業務プロセスを簡素化・自動化することがそれに当たる。2つ目が従業員体験の高度化。働く人の満足度を高め、オンボーディング(教育・訓練)のスムーズさを高めることだ。そして3つ目が顧客エンゲージメントの再構築だ。
ServiceNowは顧客サービス部門向けのSCMの他、DXの3つのフェーズを通じてIT部門向けや人事部門向けにもクラウドサービスを提供する。
順調に業績を伸ばすServiceNowだが、特筆すべきはサービス継続率の高さで、実に97〜98%になるという。これはSaaSの中でも群を抜いて高い数字だ。
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